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ポートレイトとは? / フォクトレンダーで撮る②

ポートレイトって?! なんでしょう?

portraitを翻訳すると肖像画と出てきます。Wikipediaによると・肖像・人物写真・胸像・生写し・ポートレイト表示を指すのだとか。しばらく前に日本ではない写真品評の集い、お題は『portrait』に背中のヌード全身写真を提出したことがあり、その時も「ポートレイトとは?なんぞや」という討論の発端を演出したことがありました。日本人は他にはいないその場、英語でのやりとりだったので、細かな説明はしませんでした私にはこれもportraitだと主張して主宰には受理され、普通以上の評価はいただけましたが、個人的な結論としてはドイツでの"Michi's Angle"同様にたぶんまた”オリエンタルな個性”として処理されたのだろうと自分では想っています。

ちなみにその時に使用したレンズは35ミリでした。

写真を撮影する人の多くがイメージするポートレイト、肖像写真とはお腹あたりから頭の上までが写っているいわゆるバストアップなのではないでしょうか。なぜならば "いわゆる"ポートレイトレンズとして広く言われている画角は80ミリとか90ミリとかの中望遠だからであり、実際にGoogleフォトで自分の撮影した写真を「ポートレイト」で検索かけるとそんな写真しか出て来ません。

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フォクトレンダーが1840年に世界で一番最初に世に出した写真用レンズはポートレイト用のレンズであり、その初代ペッツバールレンズは今で言う開放値 f 3.6の現代でも通用する明るさを持ったレンズで、それは160ミリでした。<参照:フォクトレンダーで撮る①

世界初のポートレイトレンズは遠く離れないとそれこそ胸像としてしか撮影できない160ミリ、では逆に私のようにワイド側のポートレイト写真はどこまで引いても大丈夫なのだろうかと再びのWikipedia

肖像とは、特定の人間の外観を表現した絵画や写真、彫刻である。多くが個人の識別に有力な身体の部位である顔が含まれる。それぞれ肖像画、肖像写真、肖像彫刻と呼ばれる。肖似性が求められる場合もあれば、理想化が求められる場合もある。芸術的な造形や精神性を示すこともある。

要約すると「特定の人間の外観を表現すればポートレイト、多くの場合は個人の識別ができる顔が含まれている」ということ。つまりは個人の識別が出来る部位入りであればそれは肖像写真=ポートレイトと言って良いということ。全身の場合は体の有力な識別でもあるボディラインや部位が含まれていた場合、背中でも個人の識別が出来るから肖像であると個人的には主張します。

最初のポートレイトレンズが世に出て来た時、日本はまだ江戸時代。その江戸時代などに撮影された侍や町人の写真は当時も今も貴重な写真です。そして現存するそれらは全身写真が圧倒的に多い。これらもポートレイトなのだから全身もポートレイトであるのは当たり前と言えば当たり前な話でした。

余談になりますが、日本に最初にカメラが持ち込まれたのはフォクトレンダーが初のポートレイトレンズを開発した後の1843年でありました。1848年に長崎で蘭学者の上野俊之丞(うえのしゅんのじょう)がオランダ人から購入して撮影されたものは、撮影時間が30分かかった記されていることからフランス製暗いレンズのダゲレオタイプだったようで、さすがにフォクトレンダー最新版はまだまだ輸入できなかったようです。鵜飼玉川(うかいぎょくせん)は1861年に江戸の薬研堀(現在の東京都中央区東日本橋)で日本人による最初の写真館を開きました。翌1862年には下岡蓮杖(しもおか れんじょう)が横浜で、そして坂本龍馬を撮影した彼の次男、上野彦馬(ひこま)は長崎でそれぞれに写真館を開業し、それぞれ幕末・明治期の写真家となりました。

カメラ機材を手にすることすら難しかった時代、果たして当時、写真撮影は収入になったのかは不明ですが、撮影される側は魂を抜かれると言われていた当時の『写真』、撮影する側もきっと魂込めた1枚を丁寧に撮影していたことは現存する当時撮影された写真からもわかります。


次回フォクトレンダーで撮る③はポートレイトレンズの選択

<参考:一般財団法人 日本カメラ財団



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