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知っているようで知らないキーワード No.2「アクセラレータ」

最近では企業のアクセラレータブームも一段落し自治体など公的機関がアクセラレータを始める動きが活発になってきているように思います。そもそもアクセラレータとは何かを知らずにやっていらっしゃるのかな?と思うようなケースも出てきており、「アクセラ疲れ」「PoC疲れ」とも言われて久しいので今回はアクセラレータを簡単にご説明します。
本noteはスタートアップ支援やオープンイノベーションの担当になったばかりの方の基礎知識となることを目的に浅く広くご説明するものです。


そもそもアクセラレータとは何か?

アクセラレータとは、元々はシリコンバレーのシードに特化したベンチャーキャピタル(VC)のことを言います。Y-Combinator(マサチューセッツ州ケンブリッジ)が世界最初と言われ、その後Techstarsなど多くのアクセラレータが登場しました。
彼らは、構想レベルの起業家に数百万投資し、3〜4ヶ月でプロトタイプレベルまで開発し、事業をアクセラレート(加速)します。こうしたVCはこの3〜4ヶ月の成果をお披露目する為、最後に多くの投資家を招いてDemoDayを開催し、スタートアップの次の資金調達に繋げ、さらに事業化を進めていく事になります。
アクセラレータは、より早く次のステージ(資金調達)へ引き上げるためのものであり、そのためにアクセラレータは初期の数ヶ月開発に費やせるだけの投資を行います。
このようにアクセラレータが運営する一連のプログラムをアクセラレータ(プログラム)と呼ぶようになりました。アクセラレータを構成する要素は以下の通りです。

アクセラレータの構成要素

日本企業のアクセラレータ

海外のアクセラレータに倣い、日本でアクセラレータを始めたのはKDDI♾️ラボだったと思います。その後、大企業のオープンイノベーションブームもあり、企業もアクセラレータプログラムを展開するようになりました。※オープンイノベーションについてはまた改めて書きます。
更にアクセラレータプログラムのプラットフォーマー(Crewwさんのような方々)の登場により、一層大企業のアクセラレータが増えていきました。

自治体のアクセラレータ

自治体が開催するアクセラレータは、企業誘致や産業振興が主な目的になります。最近では、自治体のDX推進等自治体自体の課題解決や地域の課題解決といった目的で開催されるケースもあります。
自治体としては、神戸市や大阪産業局のOsaka Innovation Hub(OIH)などがスタートしました。特に地域ではVCが少なく、特に「シード期にリード投資してくれるVCを見つけることが難しい」と言った課題が残っています。その結果、地域のスタートアップは東京にリード投資してくれるVCを探しにいかなくてはなりません。
OIH Startup Acceleration Program(OSAP)では、東京からリード投資が可能なパートナークラスのVCを集め、One on Oneの面談機会を提供することでこの課題を解決しています。地域にいないなら連れてくる、ということです。投資判断ができるクラスのVCを集めている点など、スタートアップにとってはより成果につながる工夫がされています。

自治体によるアクセラレータプログラムの例

さいごに

これからアクセラレータを主催される方へ
投資家がアクセラレータプログラムを行うのは投資先のバリューアップと言う「自分ごと」ですので、その分自然と本気度も高くなります。
一方で投資を伴わないアクセラレータプログラムは「支援」のスタンスとなりやすく、自分ごと化して高いエネルギーをかけるのが難しい構造です。
結果として「アクセラ疲れ」と言われてしまうことになりがちです。
アクセラレータの運営には相当な体力とリソースもかかりますので、徐々にプログラムを開催すること自体が目的化して来てしまったところもあるようです。
今一度、プログラムの成果として「お互いに」何を得たいのか?この点を明確に企画する事を切に願います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

参考文献
よくわかるオープンイノベーション アクセラレータ入門/三菱UFJリサーチ&コンサルティング著/日科技連
https://amzn.asia/d/0LgLgUW

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