かなぶん

ベランダを開けて足元を見れば死に体が一つ

無造作に蹴るとひっくり返って六脚をもぞもぞと

生きていた

私は嬉しくなって問いかけた

「生きているのか?まだ生きているのか?」

と。

「生きているって言ってみろ!」
「生きているって言ってみろ!」

かなぶんは

ゆっくりとプラスチックの人工芝の

陰へと潜り込んでいった。

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