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#22 エリザベト=クロード・ジャケ・ド・ラ・ゲール(Élisabeth-Claude Jacquet de la Guerre,( 1665~1729)Ⅰ

ノンムジュレを巡って約100年間のフランスの作曲家の作品を弾き繋いでいます。
ノンムジュレはアルペジオ化された音形のみで書かれたもの以外に後半快活な舞曲風の楽曲が付くものも多く、それは後のフランス風序曲の形式に繋がるものと思われます。
こんな楽譜です。


7月16日 第2回目のノンムジュレの会はヴェルサイユ宮殿の内側からの音楽をご紹介しました。これから少しずつまとめていきます。
まず最初はヴェルサイユ宮殿の紅一点 ド・ラ・ゲール。
彼女はなかなかの豪傑、仕事人です。
代々楽器製作家の家に生まれました。祖父JehanJacquetと父ClaudeJacquetはチェンバロ製作家でした。

この楽器は父Claude Jacquet 1652年作です。アポロとダフネの絵画で木製、塗装、金箔メッキとある。

ド・ラ・ゲールさんもこの楽器を弾き、ルイ14世がこの曲を聞かれた事でしょう。



続くアルマンドは隙間なく散りばめられた装飾音が美しいですが、チェンバリスト泣かせですね。



 
ド・ラ・ゲールの2冊のチェンバロ作品についての覚え書きはこちらです。
クラヴサン曲集第1巻(1687年出版)は4つの組曲から成り、冒頭部。1~3はPreludeで4はTocadeである。いづれもノンムジュレで書かれ自由な作風である。
クラヴサン曲集第2巻(1707年出版)は2組曲から成り、とは言っても完全な組曲の構成ではなく、小曲の寄せ集めである。さらにPreludeのような前奏曲もなくノンムジュレも存在しない。
第1巻、第2巻いすれもルイ14世に献呈されている。
Pieces de Clavecin qui peuvent se jouer sur le violonと表記されている。楽譜は大譜表(2段で鍵盤用)で書かれている。
ヴァイオリンの2重奏でも演奏出来るということなのか?もっとたくさんのアンサンブルも可能な気がする楽曲である。ヴェルサイユ宮殿の中でいかに自由な音楽ライフを繰り広げていたのか想像できる。
 
余談ですが、Wikipediaの飢餓一覧によると1693~1694年はフランスで飢饉があり、2百万人が死亡。(因みにフランスでは1661~1662年 にも飢饉がありました)その時に10歳の彼女の一人息子、彼女の母親、父親、夫、そして兄弟のニコラスを亡くしています。飢饉を乗り越えてなお活動をしていたのですね。





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