Chat GPTの企画職・コンサルでの活用例
はじめに
Chat GPTの登場により、一般論として経営コンサルの仕事の仕方がどのように変化するかについて3月に考察しました。
当時はまだまだ浅いものでしたが、その後に発表されたChat GPTの新しいAPIや関連するサービスを使ってみて、具体的にできそうなことも見えてきたので更に活用方法について整理してみました。あくまでもこういう使い方ができそうという案ですが、実務での使い方の参考になればと思います。
なおこの文章では、一定上のエクセルスキルがあり、かつビックデータを使った分析・モデルづくりをある程度理解されている方が読むことを想定しています。
1)データ分析(Data interpreter)
活用方法の1つは、Chat GPTにエクセルやcsvファイル(データ)を渡し、非言語形式での分析結果を出力させるものです。
例えばのイメージとして、googleでのキーワード検索数の時系列データ(”france”と”cupcake”の過去10年分のデータ)を使った分析をしてみました。これはウェブサービスでのアクセス分析をイメージしたものです。なお、どなたかのブログを参考にして分析したのですが、見つけられなくなりました。。
簡単なデータ処理とグラフ作成
YearMonth単位での、キーワードの検索数データをChat GPTにインプット
そのデータを分析できるように整形させて、トレンドをグラフ出力
年別のグラフ、年別のグラフを重ねた形式
少し高度な予測モデル・精度検証
“cupcake”を用いて、”france”の検索数を予測する分析モデルを作成
作成したモデルの予測精度について主要指標を出力
GPTでデータ分析する利点
「簡単なアウトプット」は、エクセルのピボットテーブル機能+グラフ描画を使えば楽に作成できます。ですがChat GPTを使うことで、分析用のデータ整形を定型化できるところが良いところです。
実務的なデータ分析では、前処理に一番時間がかかります。データサイエンティストの基礎的スキルとしても求められるものです。また、高度な分析を目的としない場合、手作業で処理をすることになりますが(1行目は削除し、データを縦持ち化し、、)、この操作はあとから人に伝えるのが難しく、データ分析が属人化する要因でもあります。
Code Interpreterを介した分析では、pythonコードにより分析方法が定式化されており、同じデータ形式なら二度目の分析でも同じ操作を再現できます。
ただし、pythonはWindowsには標準搭載されていないプログラミング言語なので、作成したコードを実行するには環境整備が必要です。私は現在は、Google Colabolatoryというクラウドサービス上でpythonを使っていますが、より使いやすくなる可能性があります。
エクセル上でpythonが使えるようにされているので、Chat GPTで生成したpythonコードを、エクセル内で実行できるので、環境による制約を受けににくくなることが期待できます。逆にいうと、pythonの基礎知識は企画職においては今後必須になっていく可能性があります。
一歩引いた目で見ると、Code Interpreterはpythonを使ったデータ処理・情報処理を指示するものです。そのため、pythonでどのようなことができるか事前に理解している人ほど、使いこなせるものだと思っています。
2)社内外Q&Aアプリ
2つ目の使い方は、社内チャットボット的な使い方です。Chat GPTに普通に話しかけて答えてもらうのではなく、データ分析の方法などをマニュアル化しておき、そのマニュアルを使いデータ分析業務を定常化・更新等をする使い方です。
現状のChat GPTは、2021年までの情報で学習しているため、それ以降のデータはインプットされていません。また言わずもがなで、企業固有のデータは学習していないため、回答できないか誤答をしてしまいます。
Chat GPTに固有の情報を踏まえたQ&Aをさせるには、私の理解では3通り存在します。
①プロンプト自身に回答の元となる前提条件を入れる
②Lang Chainなどのライブラリを用いてインプットしたpdf等を読み込ませる
③Chat GPTの機能である「Fine Tuning」を用いてモデル自体をチューニングする
①は読み込む文章量に限界があり、かつユーザー側に入力を委ねることになるため実務で使うのは難しいと思っています。
そのため、②か③の方法を検討していくかと思います。②については、複数の方法がありますが、個人的にはにゃんたさん(にゃんたのAI実践チャンネル【Python × 機械学習 × ChatGPT】)の動画が最もよくまとまっています。
③はつい最近発表された機能で、学習のさせ方によってはまだ安定した回答が得られないとのことです。もう少し安定したら活用されていくだろうと見ています。
3)おわりに:私が考えるこれらの活用の具体ケース
最後にまとめとして、データ分析にて企画職・コンサルタントがどのような流れでChat GPTを使えるのかを書いて終わりにしたいと思います。
データ分析の仮説づくり・調査
人力でもよし、Chat GPTに壁打ちしてもよし
Chat GPTによる簡易的な分析、エクセルでの関数化
エクセルだけで分析してもよし
ただしデータの前処理はChat GPTを用いてプロセス化が望ましい
より高度な分析(python活用)
業務プロセスに組み込むコードを生成
一連の分析のドキュメント作成
極力構造化した文章を作成
エクセルで運用をする
データが更新されたら、pythonを実行してデータを再取得
わからないところがあったら、ドキュメントについてQ&Aをする
より積極的にChat GPTを使うのは太字にした部分です。これらの活動は、これまでのデータ分析・業務組み込みでは、属人化してしまい、スケール化・定常化させるにあたって企画職やコンサルが悩ましいと感じていた部分です。
Chat GPTを運用に組み込むことで、これまでワンショットで終わっていた業務・運用の課題を一定解決できるのでは、というのが私が感じていることです。
参考サイト
1)データ分析(Data interpreter)
2)社内外Q&Aアプリ
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