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微生物たちとつくる自然酒


先日、千葉にある酒蔵、寺田本家に訪問させていただきました。

岡田屋では20年以上昔からお付き合いをさせて頂いている自然酒の酒蔵です。

ご存知の方の多いとは思うのですが、まだ知らないという方も見えるのでご説明を。

寺田本家とは
千葉県、神崎の地にて今年で350年を迎える酒蔵で、微生物の力を信じて伝統的な製法で自然酒を生み出しています。
その年の気候、微生物、人も含めて同じ環境はなく、その時々に味が違う。
でもその変化も含めて自然酒として楽しめる、身体も喜ぶ日本酒です。
現当主兼杜氏である24代目の寺田優さんが後を継いで、より自然酒として発酵の道を進んでおり、世界からも注目される酒蔵です。



自然酒を作るようになったきっかけと岡田屋との出会い。
先代である23代目、寺田啓佐氏が25歳で婿入りし、当初は効率よく生産できるよう考え、
酒作りをしようとしましたが、どれもうまくいかず、その間に自身が病にかかってしまいました。
病床で発酵のことについて深く考えるきっかけがあり、それまでの自らの行動は自然の摂理のバランスを乱していたことに気づき、本物のお酒とは「百薬の長たる酒だ」と、原点回帰の酒作りが始まりました。
ちょうどその頃、岡田屋も私の父、4代目である岡田昌が跡を継ぎ、調味料や酒を改革したいと思い、全国を巡りながら、自分たちのお店で扱うものを作る人々を探していました。
そんな中、神奈川県にある片山商店(現、株式会社片山)の片山雄介氏が主宰の、「和蔵会」という、伝統的な農と醸造文化を21世紀に継承することを目的とした団体の存在を知り、両親は「私たちもその思想に共感しており、三重県でそういった思いのあるお店をしたい」と伝え、和蔵会に参加。そこで寺田啓佐氏と知り合ったところから蔵への見学を重ね、今のお付き合いに繋がります。

前置きがとても長くなってしまいましたが、こういった経緯で寺田本家のお酒を岡田屋で
販売させて頂いているのです。
私が跡を継いでからもちろん寺田本家のお酒は飲んでいたし、好きではありましたが、
コロナもあり、なかなか行けずにいました。
しかし、そんなことを言い訳にしていてはいつまでも行けないと思い、訪問を決意し、無事その機会を得ることができました。

現在は東京駅よりバスが出ており、神崎、道の駅まで出ておりました。
そこに先代の奥様が、そこに迎えに来てくださり、蔵まで案内してくださいました。
そして蔵に着き、八重樫さん(メールのやり取りをしていた方)が蔵内を案内してくださいました。

その時、メインの酒作りは大方終わっており、蔵の掃除や 発酵中のお酒をチェックし、
どのタイミングで絞るか見たり、通年作っている「醍醐のしずく」や「むすひ」を作っておりました。
酒蔵を見た印象は本当に清潔に保たれているのと、近代的な機械などがほぼないということ。
そして手ぬぐいを頭に巻き、腰に前掛けをする蔵人の皆さんがとてもかっこ良かったです。
タンクの中の発酵中の酒を見せてもらったり、麹室に入らせて頂いたり、しっかりと見学させていただきました。
案内してくださる八重樫さんは
言いました。「うちのお酒は毎年味が違う、それを昔はよく言われたけど、今は酒屋さんも
お客さんもその変化を楽しんでくれていると。」
この辺も本当にワインに似ているなと。
毎年味が違う、「それはネガティブなことではなく、その年を思い出せるかね。」
と、僕のワインの先生のシリルさんが言っていたように、画一したものなど本来はなく、
自然に寄り添えば寄り添うほどに、その味は変化する。
もちろん飲めなくなるような方向にならないように人が見る。
微生物たちと蔵人が手を取り合いつくっているんだと改めて感じました。

その後、現当主である優さんにもお話を伺うことができました。

実は優さんも婿入りで、元々はバックパッカーやカメラマンを経て、酒蔵の次女である、
奥様の聡美さんとご結婚されて酒蔵には入ったそうです。
(海外の話や旅の話ももっとお聞きすれば良かったなあと、次回詳しく聞いてみます)

自然酒というものに(ただ無農薬とかナチュラルだからではなく)本質的に向き合う姿勢は
とても素晴らしく、それを扱わせてもらっている身として、しっかりと自分の中に落とし込み、みなさまに楽しんでもらいたいなと思います。
仕込みの時にも来てと言っていただき、次回は仕込みに伺いたいなと思います。
しっかり体力と筋力をつけます!冬までに!!!
どなたか一緒に行きましょう!



また、地元の蔵と開催する「お蔵フェスタ」には人口6000人の町に5万人以上が訪れる
人気イベントをしているそうです。
*コロナで数年開催できていないそう。

同じ敷地には聡美さんが運営しているカフェ「うふふ」があり、そこで酒粕や麹を使った
ランチやスイーツを楽しめるそうです。
*この日はお休みでした。。。次回必ずや、、、。
カフェの名前やノンアルコール飲料である「うふふのモト」の名前にもなっている
「うふふ」とはお酒の発酵中に麹菌や乳酸菌の働きで出る音が「酵母たちが、うふふと笑っているように聞こえたことに由来しています。
とても素敵なネーミングだと思いました。



そんなこんなであっという間に時間は過ぎました。
最後にお土産を買ったり、色々と持たせてくださり、、、。
そして最寄りの駅まで送ってくださいました。
ありがとうございました。

自然酒とは、本質とは。
自分はまだまだ経験も少ないですが、追求する方々が周りにいて、そんな彼らが作るものを
扱うお店をしているからにはまだまだ学んでいきたいなと思います!
その旅がとても楽しいのです。








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