ああ、そっか、わたし挫折したんだ

就職活動のときに見た、何冊かの公務員向けの面接対策の本に、絶対に書いてあった質問。

「今まで挫折した経験はありますか?」

当時のわたしは、そんなものある訳ないだろうと、本を投げ捨てたくなった。

ストレートで大学まで進んで、勉強でつまずくこともほとんどなかったから、挫折という挫折なんてしたことがなかった。

いろいろな失敗は数あれど、「挫折した経験」を持つ学生が、この世にどれだけいるのか。

友人たちは、わたしのようにくどくど考えずに、苦もなくこの質問に対する答えを用意していたのだが…。

話がそれた。
まあとにかく面接を受けたくないわたしは、挫折という言葉を忌避していた。そんなもの、順調な人生を歩んでるわたしには関係ない。わたしにそんな経験を聞く方がバカなのだ。


そしてそして現在。
わたしは「挫折した経験」の真っ只中にいる。現在進行形で、絶賛、挫折中なのである。

神経症になって休職してる、今のこの状況を「挫折」と呼ばずして、どうする。

わたしは、挫折したのだ。
24歳で、初めて、壁にぶち当たり、大怪我をし、血を流しながら、ぶっ倒れている。
これぞ、挫折。
なんと、手痛いものであろうか。
挫折がこれほどつらいものだとは…。
出口が見えない。光が見えない。動けない。

でも、ほんのちょっぴりだけ、ほんとのほんとにちょっぴりだけ、ウキウキしている。
挫折した。わたしが。
想像もしなかったことが、起こっている。
この先どうすればいいのか、まったく分からないし、なんなら命を絶とうかと思い悩むところまでいったときもある。

これが、挫折する、ということなのか。
今ならスラスラと面接で、答えることができるよ。

なぜだか分からないけど、スッキリした気分だ。わたしは、挫折した。ならば。
あとは、立ち上がるだけではないか。
「挫折した」経験を持って、進んでいくのだ。

まだ時間はかかるかもしれないけれど。