見出し画像

旭堂南湖「実話怪談、金色夜叉、曽我物語」(2日目)

昨日、熱海で伊豆急行に乗り換えたら、河津町には23時に到着していました。

大阪でしたら、この時間からホテルにチェックインすることはなんら難しくはないのですが、河津町では、この時間からチェックインできるホテルが見つからず、そこで熱海に一泊となりました。

熱海に来たのも初めてです。

駅を降りると、土産物屋さんがズラーッと並んでいて、夜遅いので店は閉まっていますが、いかにも温泉街といった風情です。

古くからある大きなホテルへチェックイン。大浴場がありました。

温泉に浸かりながら、息子との会話を思い出していました。

息子は、温泉に入ってブラブラすることを、ニートと表現しましたが、息子の友達は、

「お仕事はレビューライターですか?」

と聞いてきたので、今時の小学生は、そんな発想ができるんだと感心しました。

大浴場にサウナが併設されていましたが、どうした訳か休止中になっていました。

サウナと言えば、こんな話を聞いたことがあります。


実話怪談 サウナ
 四十九歳の男性、渡辺さんの体験。
 渡辺さんはサウナが苦手だった。若い頃、一度入ってみたが、モワッとした熱気が嫌ですぐに出た。
 今年、会社の後輩にサウナを勧められて、久方ぶりに入ってみると、実に気持ちいい。嬉しくなって、週に一度はサウナに足を運ぶようになった。ところが、まだととのったことがない。
 「ととのう」は、近年できたサウナ用語。昨年の新語、流行語にも選ばれていました。サウナに入って大量の汗を流し、水風呂に入る。その後で外気浴。外の空気を吸いながら椅子やベッドで休憩すると、恍惚とした状態になる。これが「ととのう」。
 渡辺さん、その日はスーパー銭湯に向かった。初めて入るお店。サウナ、水風呂、外気浴。これをワンセットとして、二回繰り返した。三回目。サウナを出て、水風呂へ。水温は十六・八度と表示されている。ここの水風呂は畳一畳よりも狭い。随分深い。一人用だ。
 水風呂に潜ってはいけない。プールじゃないんだし不衛生だ。ところが、毎週のようにサウナに通っていると、水風呂にザブンと潜る不届き者が結構いる。マナー違反だが、気持ちよさそうだ。渡辺さん、密かにやってみたいと思っていた。今日は空いている。チャンスだ。ゴボゴボッと潜ってみた。水中で目を開く。
 目の前におっさんがいた。ブクブク太っていて、やけに白い肌、ニヤーッと笑いながら、渡辺さんを見つめている。ギャーッと叫んだが、水中だ。声は出ない。風呂の水を飲んでしまった。こんなところにおっさんがいるはずないのだが、はっきり視えた。あまりの恐怖に腰を抜かし、ヨタヨタと這うようにして水風呂から出ると、リクライニングチェアに倒れ込んだ。目を閉じる。目の前が真っ赤になった。血液が全身を駆け巡っている。
「と、ととのったー」
 渡辺さん、初めてととのったそうです。
(終)


さて、朝起きて、熱海の海岸へ向かいます。

熱海と言えば、金色夜叉。

貫一お宮。

とある調査によりますと、小学生の99%は忠臣蔵を知らないそうです。

知っている1%はおそらく赤穂市の小学生だと思います。

12月14日、赤穂市では毎年義士祭が行われ、赤穂市の小学校は休校になるそうです。

子供の頃から、地元の歴史を学んでいます。

金色夜叉も、令和の小学生はおそらく知らないでしょう。

私の息子なら、一言、

「DVや」

で終わってしまいそうですが、実に素晴らしい物語があります。

さて、昨日の

一、なぜ河津町を選んだのか

の答えは、

河津三郎の史跡を訪ねたかったからです。

河津三郎と言えば、曽我物語。

十郎、五郎の父親です。

先日、第1回の放送があった大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。

河津三郎は、ちゃんと出ていましたよ。

(来週、弓矢で殺されるかもわかりませんが)

曽我物語も、小学生はほとんど知らないでしょう。

ひょっとすると、大人でも知っている人は少ないかもわかりません。

忠臣蔵も金色夜叉も曽我物語も、講談では有名なお話です。

河津町に向かう途中、伊豆高原で降ります。

河津三郎の血塚。河津三郎はここで息絶えたと言われています。

曽我物語、はじまりの地、椎の木三本。

ここから、大見、八幡の弓矢によって殺された河津三郎。

訪れる人は少ないのかも知れません。

さて、一体いつ河津町に着くのか!

続きは明日。

Working_Space_Bagatelleの和田さんがチラシを作ってくれました。
1/15(土)に河津町で「講談と怪談」のイベントがあります。感染症対策をして開催します。お近くの方はお越し下さい。
静岡新聞に掲載されました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?