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bable「牧之原」

MAW2023で得られたもの〜牧之原編〜
僕自身は国内はもとより過去には海外でバックパックをするような類の人間でして、当時はまだモバイル情報なんぞを(幸か不幸か)得られない時代だったので、雑誌「ロンリープラネット」を小脇に抱え、現地で収集した生の情報を当てに未知の世界に踏み入ることを楽しんでいた。時にその情報の信憑性の無さから大失敗も経験したが、兎に角そう言ったことも含めて旅を楽しんでいた類の人間だった。視覚・聴覚だけでなく、行く先々の「におい」や「温度」というのは自分にとって非情に重要、且つ刺激的な情報であって、寧ろそういった感覚的なモノのほうがその後の記憶に留まりやすい気もした。

我々アーティストが旅を通じて、旅先から得た感覚をどうやって社会活動に、また自身の表現活動に繋げることができるだろうか?
MAW2023の募集を見つけた際にそんなことを考えた。

近年の動画配信プラットフォームの急速なインフラ化や発展に加え、covid−19の全世界的影響により”世界”というものが”極端に狭く”なっていくにつれて、自分自身の中でも新しい景色を見たり音を聞いたりする手段を”片手だけの作業”で終えるようになってしまった。容易に”画面”越しから得られるその単なる情報を、あたかも「新体験」として消化した気分になり、足を運ばずとも世界と繋がっているだろうというその勘違いを、少しずつ許容している自分も産まれてきてしまった。
"対ヒト"へのパフォーマンスを生業にし、
"対ヒト"へと強く発信しなければならない自分でさえそんな様である。

「良い旅は良いヒトとの出会い、繋がりである。」

当たり前のことながらも今回のMAW2023で改めて学んだことである。
牧之原エリアホスト「0548プロジェクト」の尾崎さんがふと漏らした「良いヒトと沢山繋がることのできるこの牧之原は最高ですよ!」という一言に、我々が旅をしなければならいない理由と旅の醍醐味が集約される。通信デバイスからでは体感できないこの感覚だ。

人との交わりを断つ生き方もそれはそれで尊重するが、
殊に地方在住となると僕個人的には「地域との繋がりを強く持てること」が最大の魅力であり、牧之原はそれを強く感じさせてくれる"まち"であった。
(地域は少し離れるが)滞在中に寄らせて頂いた「夢屋」さん(参考日記)は人里からかなり離れた場所で遁世という言葉がぴったりなライフスタイルをされているが、人との繋がりはむしろ強く、多くの方々が夢屋さんを訪れているし、また夢屋さんもそれを大事にされている。

ようやく開かれたこの”広い”世界で、旅を通じてしっかりと匂いや温度を感じ取り、ヒトと触れ合い、その後も繋がり合うことで自分自身が今そこに"在る"という感覚を強く覚えさせてくれる。MAW2023のお陰でまた大好きなまち、ヒト、そして自分を発見することができた。

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