メイカームーブメントの本を読んだ

珍しく本を読んでいるので引っかかったところを書き記してからKindle Unlimitedの貸し出しを解除しようと思います。ざっくり読んだので書いてないことを覚えているかもしれません。(以下読んだ順)

ハードウェアハッカー~新しいモノをつくる破壊と創造の冒険

筆者のバニーさんは他の本ではMaker Proとか言われる、メイカーからスタートして製品をバシバシ出してる人。開発・量産・販売の流れを自分の製品それぞれで細かく書いてあって面白かった。「ステンレス板の表面加工はつるつるときれいなマット加工だときれいなマット加工のほうが安くすむ」みたいな細かさで、この情報はちょうど役に立ってハッピー

価値は質だけじゃない
研究会に入って「量は質を生む」を知ったときになるほどと思ったけれど、製品制作において価値は品質・納品までの速さ・価格ってあってなるほどと思った。品質に固執するだけだと発明がおくれることもある、場合によって使い分けるのが賢い。

ハードウェアは原理的にオープンである
オープンソースとかの話をしたときに出てきたこと。ハードウェアは基本原理として分解すればわかるみたいなのがある。なので設計書を隠しても偽物を作ろうと思えば作れる。
本の中でAppleⅡとかでは製品買うと回路図がついてきたとあって、いいなあと思ったけれどたぶん今だと回路図に起こしてたら箱に入らないくらいの量になるか細かくて読めないかだと思う。分解すれば電子工作できるようになるという時代でもないんだろうなあ(意味がないということではなく別のことが勉強できるんだと思う)。

クラウドファンディングを期日までに達成するのがなぜ大切か
クラウドファンディングっていうめちゃ良いシステムを続けるため。出資者の評判があまりに低下するとシステムが成り立たなくなる。
私も以前クラファンをやりましたが、自分のためのものづくりに他人を巻き込むときに、自分だけじゃなく応援してくれる人も大切にするっていうように方向を微調整するタイミングがある。
メイカームーブメントの軸足はファブリケーション機器とかの発達というよりはコミュニティ生成とか人と人との付き合いにある気がした。


MAKERS―21世紀の産業革命が始まる

メイカーの本といえば!という印象だった。
著者がアメリカの人なので、他の本より視点が中国の外にあってよかった。この人もMakerProで自分の経験をもとに語っていて、「ここは中国生産で、ここはアメリカでもできる」みたいなところが実にハッピーでよかった。

メイカームーブメント3つの特徴
以下私の言葉で書き換えてあります。

1. デスクトップのデジタル工作機械を使ってデザイン・試作すること
2. 設計をオンラインコミュニティで共有し、仲間と共有すること
3. 設計ファイルが標準化されたことにより、工場で作ったりするときの設計方式で誰でも作れるようになったため、高度なものづくりができるようになったこと

ここのデスクトップっていうのがめちゃでかかった3Dプリンターが机におけるくらい小さくなったとか安くなったとかを示していて、コンピュータがデスクトップになったことでウェブがバーンって広がったっていう流れを今後のハードウェア製造でも追えるんじゃないかというのが楽しい。

高校教育でデザインを教えよう
中高で謎にラジオ組み立てたり金属の板を削ったりしたけれど、たしかに学校に3Dプリンタとかレーザーカッターとかあると一人ひとり違ったものを作るというところに焦点が当てれる。

モノのロングテール
各々の異なる欲求とニーズによって改良版とか改造版とかがたくさんでるよねというお話。レゴの非公式カスタムパーツの例がでた。レゴはだいたい子供の時にハマるけどマセガキくらいになると飽きてしまうところを、公式では出せないような武器とかの非公式パーツで復活できるからレゴが非公式のものたちを黙認したり裏で飲み込み防止用に設計アドバイスしたりしているらしい。レゴかっこいい。


メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる

日本からの視点で、メイカーからのスタートアップとかの製造を日本のメーカーとかと比較してておもしろい。DMM.make発起人の方が著者。

アメリカと日本の家庭内モノ作りの根本的な違い
アメリカは家が大きいのでそこで日曜大工をするのが根強い文化としてあるという記述。その上にメイカームーブメントが開花したらしい。なるほど〜作ったものを使うという取り組みを周りの大人がしているのを見るというのは大きいかもしれない。それに対して日本の場合は電子工作文化の上にメイカームーブメントがのっかったらしい。海外のメイカーフェアに行きたい。

製品はモジュールの組み合わせ
技術が高度になるにつれて、人々がもののしくみを理解できないものと捉えて利用しかできないようになるのはやばいんじゃないだろうかというのが私が持っている問題提起ですが、アナログ回路まで理解する?コンデンサの中身を理解する?みたいに泥沼なのではないかともんもんとしていましたが、私もものづくりをモジュールの組み合わせでやってるわけで、ここができれば良いのかもしれないと思った。(プログラミングにおいてライブラリを理解せず使う問題と相反する)(👉対象層が違う、という意見)


メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。

メイカーイベントに行くと必ずいらっしゃる猫耳の高須さんの著書 。主に深センのメイカープロ〜スタートアップ育成講座や企業の話。seeedのこれまでのあゆみが長く記載されていて、普段Fusion PCBでお世話になっているのでとてもおもしろかった。

Makeのカルチャーは「コントロールできるものを自分たちの手に取り戻そう」という考え方だ
まじわかる。この文は別の記事からの引用だが、マインドとしてメイカーの良さは成果物より過程で、その目的として外環境にアクセスできるんだ!という気づきを得るというのはしっくりきた。

深センとシンガポールの発達への政府の取り組み
メモが適当でどっかに行ってしまったが、なぜ深センは中国の中でもここまでバッと発達したか、シンガポールが周りの国と違ってハイテク(死語か?)になったかについて、政府のアプローチの記述があった。そういえばアメリカもメイカームーブメントについてオバマさんが言及したりホワイトハウスでメイカーフェアをやったりしたらしい。日本は深センにもシンガポールにもアメリカにもなれないのはわかるとして、どうして各都市がそのように進化したかという考察は参考になるなあと思った。

工場との付き合い方(?)
当然のことではあるけれど、下請けだったり遠く言語の違う国だったりしても思いやりを持ってコミュニケーションを取ろうというお話。ちょっと前に委託生産を初めてしたのですが、各工場や制作会社と連絡を取るときに仕事だから要件が伝わればいいやとか形式に則ればいいやとかというよりも、相手を尊重して思いやりを持って関わるのが如何に大事かというのを改めて自戒。


物を作って生きるには ―23人のMaker Proが語る仕事と生活

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