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人が意識的に集まってくる場をデザインしたい!|カチノデの空間デザイナー・堀 直也にインタビュー

ライター・デザイナー・ビデオグラファーの複数のプロダクションから成るフリーランスクリエイター経済圏『mics(ミックス)』。WEBメディア、ブランディング、デザイン、映像など、さまざまなジャンルのクリエイティブ領域を横断して、名古屋スタートアップ株式会社、チームどみにおん、株式会社カチノデが合同で事業を行っています。

今回は、カチノデのメンバーである堀 直也に、名古屋スタートアップのライター吹原がインタビューしました。

堀 直也|プロフィール

1996生まれ、岐阜県岐阜市出身。愛知県立芸術大学芸術専攻。大学では、ファッションブティックなど、商業施設の空間デザインを研究している。カチノデの空間デザイナー。

自分の知らない世界がそこにある

吹原:カチノデにジョインしたきっかけを教えてください。

堀:森さんが会社を立ち上げるときに、空間デザイナーとして一緒に仕事してくれないかと声をかけてくれたのがきっかけです。ちょうど2年前ですね。もともと森さんとは知り合いだったんです。今の大学を受験するために行っていた予備校で、森さんに教えてもらっていました。

吹原:声をかけられて、特に迷うことなくジョインを決めたんですか?

堀:そうですね。大学の外に出て、いろんなことを吸収してアウトプットしたいと思っていたんです。

大学の立地が山の奥で、しっかり研究するという意味では環境が整っているんです。でも、私のように考えている人にとっては、ちょっと苦しい場所で。そのきっかけを探して、教授が受けている仕事を一緒にやっていました。

そんな中で、森さんが声をかけてくれたんです。森さんの話を聞いて、自分の知らない世界がそこにあると思いました。大学生のときから実際に仕事をさせてもらえることに魅力を感じて、もう二つ返事で。

吹原:大学の研究と実際のクライアントワークには、どんな違いがありますか?

堀:大学の研究だと、自分が設定した条件にもとづいて作品を作り、それに向かい合っていけばいいんです。でもクライアントワークとなると、自分以外の設定したいろんな条件が入ってくる。自己表現じゃなくて、誰かのためにするのが第一条件になります。研究だけだと、条件を設定するのも自分なので、それを体感しにくいんです。

クライアントワークだと、いろんな条件があって、それを自分でクリアしないといけない。ここが研究との違いですね。それを学生のうちに知っておくことで、就職するのにも役立つと思います。

リニューアルしたOISSUSHARE YABAをデザイン

吹原:カチノデに入って、どんなことを学びましたか?

堀:誰かのためにデザインをするということ。それを一番教えられました。例えば、クライアントワークでデザインを提供する場合、クライアントのことを本当に理解しないといけません。どんなことを必要としているのかとか、好きなものとか。その上で、自分のデザインスキルを活かしていくんです。そのことの難しさも知りましたね。

先ほどもお話したように、大学の研究だと、自分が勝手に設定したペルソナに合わせてデザインします。実際のクライアントが相手となると、自分が勝手に設定したペルソナとは違うので、一筋縄ではいかないですよね。そこが難しさでもあり、面白さでもあると思います。

吹原:これまでに、何か思い出に残るような案件はありましたか?

堀:OISSUSHARE YABA(※)のリフォームですね。名古屋スタートアップの若目田さんと知り合うきっかけになったのもそこで。「リニューアルするから、いい感じにしてほしい」と言われて、引き受けました。

これから自分たちが使う環境をデザインするのは、それまでやったことがなくて。OISSUの内装デザインを、そのときの感覚でデザインして、人にどんな影響を与えるのかを感じられました。「マンションの一室だけど、すごくきれいで明るいし、使い勝手がいい」と、みんな言ってくれて。自分にとって、すごくいい経験になったと思います。

※OISSUSHARE YABA…micsが拠点とするシェアオフィス

吹原:リニューアルする前のOISSUを知っていますが、印象がずいぶん変わりましたね。

堀:初めて行ったときは、こんな空間はあまり見たことがないと思いましたね。矢場町のマンションの一室に、クリエイターの溜まり場となる空間があるなんて、と。ここを少しでもよくできないかなと思って。マンションの一室だけど、オフィスの要素も入れながら…そういう組み合わせを探ったとき、ああいう形になりました。

吹原:以前は茶色っぽい壁でしたね。ちょっと暗くて。

堀:なので、壁を白くして、OISSUの黄色とロゴを入れる。それだけでも前と全然違うと思います。天井も今の方が高く感じますよね。

吹原:確かに!リニューアル後に初めて行ったときは、「明るい」「オフィスだ」と思いました(笑)。

堀:もっとお金をかけて、もっと技術も取り入れたら、もっともっとカッコよくすることもできるんです。でも僕が思うに、あの場所にふさわしい内装デザインはあれだと思います。必要以上にカッコいいよりも、使う人にとって良いと思われるのがデザインです。

吹原:無機質ではなく、あたたかみがありますよね。他にはどんな空間デザインをしましたか?

堀:江坂さんと一緒にデザインしたカフェがあるんですよ。新守山駅の近くに「ナビィのパン」というお店の敷地内にある「Yuricafe」という移動販売型のカフェです。

DIYという手段と低予算で、いかに人が集まれる場所をつくれるか。「人が集まる」という意味では、OISSUと同じ目的です。そういうコンセプトでつくって、オープンした今、いろんな人が集まってきています。人が集まれる、意識的に集まってくる場所のデザインをすることに、魅力を感じましたね。

吹原:今後の目標について教えてください。

堀:私には憧れているインテリアデザイナーがいて。ワンダーウォールの片山 正通さんのもとで働いて、勉強したいと思っています。そこは新卒採用がなく、実務経験が4〜5年必要なんですよ。なので、まずは大手の設計事務所に就職したいと思っています。

吹原:最終的には、どんなクリエイターになりたいですか?

堀:片山さんのもとで勉強したあとは、独立して、1人のインテリアデザイナーとして仕事をしていきたいですね。具体的には、ショップやオフィスなどの商業空間を、意識的に集まれる場所にデザインできるインテリアデザイナーになりたいと思っています。

吹原:OISSUやYuricafeでやったことが、そこにつながっていきそうですね。

micsは、自分にはないスキルを持った人が集まる場

吹原:堀さんにとって、micsはどんな組織、場所ですか?

堀:micsは、自分にはないスキルを持った人たちが集まる場所だと思います。それぞれにスキルを持っているので、一人ではできないようなことができる。それぞれのスキルを組み合わせて動けたら、いろんなことができるので、自分にとっても新しい学びになるし、新しいものも生まれます。

いま江坂さんと「micspub」をやっているのですが、それはmicsにどんなクリエイターがいるのかを知れる場です。誰でも気軽に来ていいし、もちろん初めましての人でも大丈夫です。お互いのことを共有して理解し、何か新しいものが生まれたら。micsをそういう風に使っていけると、おもしろいプラットフォームになるのではないかと思います。

吹原:micspubはどんなイベントですか?

堀:まずメニューの仕組みを説明しますね。最初は、コーラとトリスしかありません。でも初めて来た人は、自分の好きなものを1つ注文する権利を持っていて、それがメニューに追加されます。

吹原:ということは、人が来れば来るほどメニューが増えていくということですね。

堀:そうです。しかもメニューには、「コーラ(堀さんの好きな)」のように、誰が好きなのものなかも記載されます。これが話のきっかけにもなるのが、micspubの特徴ですね。メニュー同士を組み合わせることもできますよ。

先日は江坂さんがバーテンで、みんなでゲームをしました。そういう楽しみ方もありますね。まずは、“交流できる場所”という感覚で使ってもらえたらと思っています。

吹原:micsの関係者じゃなくても参加できるんですか?

堀:もちろん、初めましての方でも大歓迎です。micsやそれぞれの会社に興味があれば、気軽に来てもらって、そこで話を聞いてからインターンになるのもいいですよね。毎週火曜日と水曜日の夜に開催しているので、気軽に遊びに来てください。

写真=杉下 康平

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