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“面白い”に向き合うmicsクリエイター江坂が語る、プランナーであるための3か条

ライター・デザイナー・ビデオグラファーの複数のプロダクションから成るフリーランスクリエイター経済圏『mics(ミックス)』。Webメディア、ブランディング、デザイン、映像など、さまざまなジャンルのクリエイティブ領域を横断して、名古屋スタートアップ株式会社、チームどみにおん、株式会社カチノデが合同で事業を行っています。

今回は、カチノデのプランナー江坂 大樹に、micsのコミュニティマネージャー高下がインタビューしました。

江坂 大樹|プロフィール
1994年生まれ、愛知県刈谷市出身。名古屋大学情報文化学部在学中。2年間の休学を経て、現在は4年生。株式会社カチノデでは、ディレクター、プランナーを担う。「せなか広告」、YouTubeでの発信(個人チャンネルコメントクラブ)、からあげのHP運営、デイリーポータルZへの寄稿など、個人での活動も盛ん。

あまのじゃく視点から生み出された“面白い”もの

高下:江坂くんといえば、“ものづくり”のイメージがあります。

江坂:休学中はものづくりにハマっていた……というより、のめり込んでいました。デジタルファブリケーションという分野があって。コンピュータ作ったデータをもとに、加工や造形をするマシンが流行っている時期だったんです。レーザーカットや3Dプリンタのある工房に通って、使い倒していましたね。

高下:カチノデに関わり始めたのも休学期間中ですよね。

江坂:そうですね。代表の森とは、東京でのインターンで知り合ったんです。そのときは愛知県からインターンに来ている人がすごく少なかったので、親近感が湧いて、仲良くなって。その後は特に何もなかったのですが、2016年の1月頃に声をかけられました。

高下:ありがとうございます。では、自分を一言で表すと?

江坂:“あまのじゃく”かな。これまで世の中にアウトプットしてきたもので、「面白い」と評価してもらえたものは、あまのじゃくな視点から生まれたものかなと思っていて。例えば、私が普段から背負っている木の鞄(せなか広告)もそうです。

せなか広告公式HPより引用

江坂:みんな布や革の柔らかいかばんだし、それではつまらないなと。自分ができることで作るとなると、木製の四角くて堅いかばんだなと思って作ったんです。世の中を、ちょっと斜めに見ているんですよね。素直じゃないというか。変なプライドを持っているのかなとも思います。

高下:「せなか広告」やYouTubeなど、いろんな活動をされていますよね。まわりから何か反響はありますか?

江坂:意味のないこと、無駄なことをやっているところが面白いと言われます。それでも、以前の方がもっと無駄なことをしていて、それが良かったのにと言われることもありますね。まぁ、いろいろと悩んだりしていた時期もあったので……。

高下:カチノデには、どう関わっていますか?

江坂:1年目はそんなに深く関わっていなくて。たまにミーティングや会議に参加する程度でした。2年目は、自社プロダクト開発に向けて動いたり、WEBサービスやそのテンプレート制作に向けての話をしたり。

最近は、受託案件に関わっています。森が、「自分たちがいいと思うものをやっていきたい」という考え持っていて、そこを担ってほしいと言われいて。ただ、悩むこともありました。カチノデの考えるいいものってなんだろう?と。自分が何を作るべきか、自分がいいと思うものを作っても、それはカチノデにとってのいいものなのかと。

高下:具体的には、どんな業務をしていますか?

江坂:実際に手を動かして制作するデザインを担うメンバーはたくさんいるので、そこができない部分。プランニング部分などですね。

高下:オールマイティに球を捕る役、でしょうか。

江坂:そうですね。ディレクターでもあり、プランナーでもあり。

高下:では、江坂くんにとってmicsはどんな組織ですか?

江坂:クリエイターのコミュニティであり、ヒト・モノ・カネ・仕事・ナレッジの集まる経済圏かなと思います。micsに関わっているのは、フリーランスの人が多いですよね。その人たちにとってのコミュニティが成り立つためには、ヒト・モノ・カネ・仕事・ナレッジが必要だと思うので。

プランナーであるための3か条

高下:江坂くんにとって、プランナーであるための3か条を教えてください。

江坂:「課題を見つけること」「考え抜くこと」「面白がれるか」の3つです。これから気をつけていこうと思っている3か条ですね。

高下:「課題を見つけること」とは?

江坂:「プランナー」は、“友だちと一緒に旅行に行くときにプランを立てる人”ではないと思うんですよ。何か困っている人や、やりたいことはあるのにやり方がわからない人に、道筋を示す人かなと思っていて。

「課題」は、クライアントから簡単に与えられないんです。こういうことをしてほしい、でもよくわからないし、と曖昧な状態で。そこから課題をいかに引き出すか。いかに課題の本質を捉えるかですね。

高下:相手からうまく課題の本質を引き出すコツはありますか?

江坂:無駄話の中から、いかに自然に引き出せるか。相手の持っているすごく熱い部分や課題感が、会話の中に出てくるんですよ。

高下:クライアント自身がわかっていないことを雑談の中からピックアップして、そこを深掘りしていくと。課題の本質を捉えるためには、どんなことが必要ですか?

江坂:調査、でしょうか。クライアントとしての一面しか見えていないことってあると思うんです。自分たちでできる調査をして、「世の中からはこう見えていますよ、課題はここじゃないですか」と話をします。

高下:2つめの「考え抜くこと」について教えてください。

江坂:プランナーが立てたプランには、ものすごく多くの人が今後関わってきます。その人たち全員が、できるだけそれに納得するか、ちゃんと分かるようにしておかなければと思っていて。自分たちで考えていることが、本当にそれでいいのか、仮説から予測まで、できる限りのことを考えています。

高下:その背景まで考えて設計していくということですね。

江坂:そもそもこれを3か条に入れたのは、自分自身がめちゃくちゃ考えてしまうタイプだからなんですけどね(笑)。

高下:これまでに、考え抜けていなかったと気づいた瞬間があるんですか?

江坂:いやぁ……気分の問題かもしれない(笑)。考え抜いたものがクライアントに通ったときはいいんですけど、果たしてそれが本当に考え抜いた結果なのかと言われるとちょっと自信がないこともあって。でも、考え抜いた上での自分に“納得感”があるかどうかは大事にしています。

高下:どういったところで納得感を大事にしているんですか?

江坂:プレゼンのときに、自分で納得してないものはうまく説明できなくて。納得できているものだと、相手に自信をもって伝えられるし、アイデアも提案できます。だから、考え抜くことは自分自身が気をつけていることですね。自分が納得しないと他人に見せられないので。

高下:江坂くんは、そういうプライドを持ってやっているということですよね。大事なことだと思います。では、3つめの「面白がれるか」に関してはいかがですか?

江坂:全然考えていなかったとしても、面白いかもとノリで考えたものが通ることがあるんです。結局は、遊び心も大切かなと思います。

高下:「せなか広告」は、遊び心があって面白いと思います。

江坂:面白がってやっていることが、結果的に多くの人を惹きつけたりしているんじゃないかなと思って。「面白い」って、すごく抽象的なことなので難しいんですけどね。例えば、悲しみながらとか、ずっと眉をひそめながら作った企画やモノが世に出たとき、そんなに面白くないんじゃないかなと。考えたり、ちゃんと作ったりすることはすごく大事なんですけどね。

自分が考えたり作ったりするものが実際に世に出たとき、それで喜ぶ人や変わる人がいるかなと、一旦立ち止まります。全くいないなら、それは良くないなと思って。

高下:面白がれるかどうかは、企画する側ももちろん、受け取る側にとってもということですね。

江坂:そうですね。情熱を持って楽しめている人が考えたものは、一番面白いですよね。それにはどうしても勝てないというか。そうでないと、いいものはつくれないだろうなと思います。なので、面白いかどうかは、めちゃくちゃ考えちゃいますね。

いろんなものを見たとき、個人的に面白くないなと思うことが多いんですよね。そもそも、面白いって何なのか。どうしたら面白くなるのか、周りにとってはどうなのかと常に考えています。

高下:その訓練があっての、その引き出しなんですね。

江坂:そういうところが、“あまのじゃく”なのかなと思います。良くも悪くも。

あなたの面白いところを見つけます

高下:最後の質問です。どんな人と一緒に働きたいですか?

江坂:先ほども言ったように面白いことが好きなので、自分が面白いと思ったものを持ってきてくれるような人がいいですね。自分が面白いと思ったものには、「面白いね」と褒めます(笑)。なので、どんどん来て、見せて欲しいですね。あと、micsでプロジェクトをやったり、ブレストをしたりするのもいいですね。

高下:企画を見るのが好きなんですか?

江坂:人の面白いところを見つけるのが、すごく得意なんですよ。私なりの褒める手段を持っています。だから、私が100%嫌いな人は、絶対世の中にいないと思うんですよ。

高下:来てくれた人のいいところを、必ず1つは見つけてくれるんですね。

江坂:そうですね。だから少なくとも1%は味方になります。

高下:ありがとうございました。


インタビュー:高下 真美
文:吹原 紗矢佳
写真:若目田 大貴

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