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Best Blocker? Best Rim Protector?

Embiidが如何にすごいか、そんなデータを求めてNBA.com/Statsを漁っていました。実際Embiidはすごかったんですが、いろいろ見ていた副産物として、リム・プロテクションについて考えを深める機会になりました。

11/28(現地)時点のブロックランキング上位10傑(順適当)
Anthony Davis(AD)
Rudy Gobert(Gobert)
Hassan Whiteside(Whiteside)
Myles Turner(Turner)
Giannis  Antetokounmpo(Giannis)
Clint Capela(Capela)
Draymond Green(Draymond)
DeAndre Jordan(DeAndre)
Serge Ibaka(Ibaka)
Dwight Howard(Howard)
そしてEmbiidの全11名について、いくつかデータを見ていきましょう。まずは基本情報として、平均出場時間[MIN]を横軸に、平均ブロック数[BLK]を縦軸にとりました。[以後データは全て11/30(日本時間)時点のNBA.com/Statsの数値を使用]

ADが最も平均ブロック数が多いことが分かります。また、Embiidは出場時間のわりにかなりの数のBLKをかましているようです。さっすが1994年生まれの星ことプロセス・エンビード!あとGiannisもな!

しかし勿論、ブロックをたくさんしたからってディフェンスが良いとは限りません。こういう時に頼りになるのが"DFG%"、つまり"(その選手が)リムプロテクトした時の相手のFG成功率"です。これが低ければ低いほどリム・プロテクションが優れている、と推測することができます。縦軸にDFG%をとり、横軸にリムプロテクション回数(DFGA)をとってみましょう。

Gobertは、プロテクション回数も多くDFG%も突出した数字であるので、かなり優秀なリム・プロテクターと言えそうです。Whitesideもなかなかですね。おお、Draymondも。Embiidもいいね!うんうん。
一方でIbakaは、OKC時代とはうってかわって、あまりリム・プロテクションで存在感を出せていないことが分かります。また、Giannisはリムプロテクトの機会は少ないものの、相手のFG成功率を低く抑えているようです。

しかし、ちょっと待って下さい。ほんとうにこの数字だけで、良いリムプロテクターかどうかを判断できるのでしょうか。だってそうじゃないですか。ブロック1回かましたら、相手のシュートが1本"外れた"ことになるでしょう。ブロックかましたら、相手のFG%は必然的に下がりますよね。そりゃそうだけどさあ。なんかズルくない?!ズルくはない。ブロックせずともしっかり守りきる、そういう選手もいるはずです。そういう選手にも注目したい。さて、どうしよう。

ここで新たに、2つの指標を自分で作ります。1つめは「ブロック頻度(BLK Freq.)」です。BLKをDFGAで割る(そして100を掛ける)ことで、リムプロテクション回数のうち何%でブロックをかましたか、が分かります。それではこのブロック頻度(BLK Freq.)を横軸に、DFG%を縦軸にとってみましょう。

まず目立つのはGiannisとADです。この二人はリムプロテクション機会のうち40%以上でブロックを炸裂させている、ということが見て取れます。すごすぎない?!GoaertやDraymond、Howardらはブロック頻度は高くないものの相手のFG%を低く抑えていることが分かります。

もう一つ、新たに導入する指標は「ブロックできなかった/しなかった場合の、リムプロテクト時の相手のFG成功率[DFG%(without Block)]」です。[以下定義の説明なので面倒な方はグラフまでスキップを]ここではDFGA(リムプロテクト回数)からBLK(ブロック数)を引くことで「ブロックできなかった/しなかったリムプロテクト回数[DFGA(without Block)]」を算出します。そしてDFGM(リムプロテクト時の相手の平均FG成功数)をDFGA(without Block)でわって100を掛けることで、DFG%(without Block)が出てきます。
DFGA(without Block)を横軸に、DFG%(without Block)を縦軸にとってみましょう。こちら。

おーーーーーーっと!

元のDFGA-DFG%グラフとはかなり違う姿に!

大きい変化はGiannisとADでしょう。通常のDFG%の場合だと、Giannisは11人中5番目に優れた数字を示していました。しかし、ブロックをのぞいて考えると、彼のリム・プロテクション能力は高くない(相手に80%を超える確率でシュートを決められているから)と言えるのではないでしょうか。これはADも同様で、彼もまた、ブロックに頼らないディフェンス能力は高くないと言えるでしょう。逆にGobertやWhiteside、Draymondなどグラフ右下のグループは、ブロックなしでも相手を守りきれる選手たちと言えるのではないでしょうか。

ここで言い添えておきたいのは、ここで出てきたグラフそれ自体はGiannisとADのディフェンス能力を批判しているわけではない、ということです。数字やグラフは、彼らのスタイルや現状を示しているにすぎません(そのスタイル自体への賛否や現状への意見等々は、人それぞれ様々だと思います)。スタッツから何を読み取るかは、みなさん次第です。

さて。最後に、横軸ブロック頻度[BLK Freq.]、縦軸ブロック無しでのリムプロテクション[DFG%(without Block)]のグラフを載せます。こうしてみると、ブロック頻度が高いほど、ブロックなしでリムプロテクトした場合の被FG%が高い傾向が見て取れますね。

それではまた次の機会に。

【おまけ】

〔私見〕
………ゴベールすげえーーーー!!!No.1リム・プロテクターはゴベールだろーー!!!てかヤニスもやべえー!!!リムプロテクションのうち50%近くでブロックかましてやがるー!!!なんなんだよおまえー!やべえー!ブロックなしのDFG%は80%強でかなり悪いのに、ブロックがすごすぎて通常のDFG%は40%台に乗ってるー!すごすぎー!なにやってんだよイバカー!イバカーーー!!!

【おまけ2】

BLK, BLK Freq, DFG%(without block)/DFGPct2, DFG%/DFGPct, DefRtgの相関係数はこちら。n行m列はnとmの相関係数を、m行n列はnとmの散布図を示している。相関係数の絶対値が1に近いほど相関は強い。

【おまけ3】

今回のグラフを作るにあたって書いた、統計フリーソフト「R」のコマンド・サンプル。需要は不明。

package

library(ggplot2)
# DFGA-DFG% Graph
ggplot(BlockerAve, aes(x=DFGA, y=DFGPct)) +
geom_point() +
geom_text(aes(y=DFGPct+offset, label=PLAYER),size=4, vjust=0)+
ggtitle("_title") +  ylab("DFG%")

データをセットしてコマンドをたったこれだけ打つと、これができる。

素敵な世の中~ありがとうR〜

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