見出し画像

台湾のミュージシャンは兼業が当たり前?人気アーティストたちの気になる「別の顔」をご紹介!

どうも、台湾在住、日本語で歌ってるバンド「ゲシュタルト乙女」のボーカルMikanです。
この連載「ゆらゆら台湾」では音楽に限らず、台湾情報をゆらゆらと発信!台湾の現地の最新情報や面白いコト・モノを、時差なしでお届けします。

ごきげんよう!台湾は台風が行ったり来たりの真夏です。大体、午後はすごい大雨で、夜はとても蒸し暑いです。今文章を書いてる朝はとても晴れていて気持ちいいです!

八月中旬窓の外の空

先月私が所属してるバンド、ゲシュタルト乙女の2023日本台湾ツアーが無事完了しました!ライブで皆さんの顔を直接見れて、愛を感じて、声出し解禁で一緒に歌ったのはとても幸せでした。新曲の『窓』も5月末にリリースしまして、新しい風が窓から吹き込むように、新しいゲシュタルト乙女を体感できる一曲です。是非お聴きください!

ツアーの間に、よく海外のアーティストたちと台湾の音楽環境や、バンドマンたちがみんな普段どんな仕事しているのかという話をしました。意外と「本職を持っているバンドマン」って日本ではあんまりいないようで、自分の周りのバンドマンはほぼ会社員なのでびっくりしました。台湾では音楽と兼業で色んな仕事をしているアーティストが多く、そんな多様性が溢れる台湾で、アーティストたちの別の顔を紹介したいと思います!

グァン・ジンガン 官靖剛(Wayne's So Sad 傷心欲絕 )

ミュージシャンとしてはバンド傷心欲絕(Wayne's So Sad)のギタリストとして活動。
別の顔はライブハウス「PIPE Live Music」の企画・ブッキング。

傷心欲絕(Wayne's So Sad)は中国語の四字熟語で、「悲しくてやりきれない」という意味を持ちます。2008年に活動をスタートし、2019年リリースのアルバム『遜到簡直是個藝術品』では金音獎(GIMA)を受賞し、台湾のバンドシーン、そして同世代を代表する存在となった5人組のパンクバンドです。

そのギタリスト、グァン・ジンガン(官靖剛)はライブハウス「PIPE Live Music」の企画・ブッキングとしての顔も持っています。台北の音楽シーンを深く掘り続けている彼はPIPEで様々なイベントを企画し、その運営に関わっています。自身のYouTubeチャンネル『瞎槓 Shotgun』を運営し、ライブ配信や動画のアップロード、そして時にはPIPEでのトークショーなどを通して、インディーズからメジャーまで音楽産業の出来事を、さまざまな角度から毒舌かつユーモラスに話しています。台湾音楽の最新情報に加え、オーディエンスやアーティスト、イベンター、プロモーターなど各フィールドからの意見も集めており、台湾の音楽好きからの注目度がとても高いです。

エイミー(DSPS)

ミュージシャンとしてはDSPSのヴォーカリストとして活動。
別の顔はセレクトショップ「 PAR STORE (パーストア)」の店員。

スーパーカーに憧れて2014年に結成されたDSPSは、優しく耳元に囁くような歌声と、暖かい春の日を感じさせるメロディー、そして少し哀愁を湛えた3人組のインディー・ギターポップ・バンド。そのヴォーカリスト、エイミーはバンドのフロントマン以外にも、DJやイベント司会など、さまざまな別の顔も持っており、PAR STOREの店員もその中の1つです。

PAR STOREは NUMBER GIRLから大きな影響を受けた、台湾で伝説のインディーポップ・バンド「透明雑誌」のフロントマンであるモンキーがオープンしたカルチャーショップです。レコードやZINE、アパレルなどを扱い、台湾カルチャーを発信しています。

彼女の感度の高さと感性からしても、ここの店員として最も相応しい存在だと思います。私も中山駅近辺にいるときは、たまに顔を出して、エイミーとバンドや星座の話を楽しみます。
日本のお友達が台湾に訪れたら必ずここへ連れて行きます。

ジュンウェイ 浚瑋(Sweet John)

ミュージシャンとしてはバンド、Sweet Johnのフロントマンとして活動。
別の顔はボイストレーニングの先生。

2016年に台湾・台南で結成され、台北を拠点として活動している男女5人組の自然派ロックバンド『Sweet John』。ヴォーカル/ギターのジュンウェイはボイストレーニング・スタジオを経営していて、レッスンも提供しています。歌うのが大好きな一般の方を含め、多くのバンドのヴォーカリストたちが、レッスンを受けています!私も実際にレッスンを受けたことがあって、正しい発声練習から歌唱時におけるメンタルの訓練まで、とてもわかりやすく説明してくれました。高音も出やすくなり、歌う自信もついたので、とてもおすすめです。

?te(壞特)

台湾のR&Bシンガーソングライター。
別の顔は医療従事者。

台湾のR&Bシンガーソングライター、?te(壞特)。その名は白衣を想起させる「white」に由来します。「?」は「why」、それに「te」を付けて「ホワイト」と読みます。中国語名は「壞特(ファイ・ター)」です。

素顔を明かさず、ミステリアスな彼女はライブに出演する際、必ず目深に帽子を被るか、サングラスをかけてます。実は本職が医療従事者の彼女は、音楽活動と区別するためにそうしているようです。その活動スタイルについて、世間からは色々な意見がありますが、やりたいことを貫いて輝いてる姿はとても素敵だと思います。

医療従事者でありながら音楽活動をしているアーティストと言えば、この人も忘れてはいけません!医者であり数多くのバンド(瑪啡因・GOTA・奶油貝狗咬・蕨鳴子)を掛け持ちしているギタリスト、チュ・シミン(褚士銘)です。彼はインタビューで医者とバンドマンの二足の草鞋について聞かれ、「医者として、私は使命感を持ってます。音楽と創作は自分との会話と自己価値を確立させるプロセスだと思います」と答えました。何事でも上手く計画して完成できる彼のことを本当にとても尊敬してます!


私のソロ名義でGOTAとコラボしたシングル『もしも』も是非聴いてください!

私も実際、国際貿易関係の業界で物流の仕事をした経験がありまして、最近流行ってるNew Jeansの『ETA』も、その業界用語で、突然流行り始めてびっくりしました!ゲシュタルト乙女の『EEヨ』という曲も実は物流の用語も少し入れながら作りました。

君の世界からだんだん離れてく
最悪な経験を全部箱に詰め込んで
ゆらゆら揺れてる 海上の全てが目に映った Vision

ここでの「箱」は「コンテナ」とのことです。

あなたが見た通りじゃない
笑って済むこともない 冗談混じりに
ゆらゆら揺れてる感情の全て心に秘めたサレンダー

ここの「サレンダー」は英語の「surrender = 放棄」だと思われそうですが、実は業界用語の「サレンダードB/L」の「サレンダー」ですよ!

以上、台湾のミュージシャンたちが持つ、さまざまな「別の顔」を紹介しました!バンドマンとして、どうやって生活していくかはすごく大事なことだと思います。

バンドを続けていく中で、どう上手く生き残れるかを考えるのはアーティストたち一生の戦いです。自由に兼業しながらやりたいことを貫き、自己の価値を発揮できる台湾の環境はとてもありがたいことだと思います。皆さんそれぞれ違う感性を持っていて、音楽活動とのバランスも取れていて素敵だと思います!どうあっても、自分がやっていることに誇りを持つべきですね!引き続きも見守っていただけると嬉しいです。

以上、ゆらゆら台湾 vol.6でした!また今度ね。

Mikan Hayashi(はやし・みかん)
1996年生まれの双子座O型、台湾出身。⅓ 天真爛漫 + ⅓ 不思議 + ⅓ 全身全霊。歌ったり、文章を書いたり。日本語で歌う台湾のバンド「ゲシュタルト乙女」を結成し、ギターボーカルを担当。2021年より、AIR-G’ FM 北海道 80.4『スパクル!!cool beats & pop life』にて、台湾の最新情報を日本の皆様にお届けするラジオコーナー『しゃべりたいわん』を担当。台湾と日本の架け橋として全力疾走中。
https://linktr.ee/mikanhayashi

この記事が参加している募集

業界あるある

仕事について話そう

midizineは限られたリソースの中で、記事の制作を続けています。よろしければサポートいただけると幸いです。