塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選んでみました。

霜月に父を亡くしてその日付暗証番号として生きおり   澤端節子さん

手づくりのカメムシ取り器を携へる仲居につづき部屋に着きたり   友田勝美さん

ひと束のふるき手紙に火を放つ霜月十日まだ夢はある   澄田広枝さん

身体というものに馴染めずオカリナの右手の小指の穴塞げない   はなきりんかげろうさん

街灯が心臓のやうに灯りをり銀杏の大樹を裡から照らし   加茂直樹さん

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