佐藤涼子

所属結社:塔短歌会、澤俳句会、蒼海俳句会 超結社で参加:アルデバラン歌会、仙臺俳句会 …

佐藤涼子

所属結社:塔短歌会、澤俳句会、蒼海俳句会 超結社で参加:アルデバラン歌会、仙臺俳句会 販売中の本:歌集『MidnightSun』(書肆侃侃房)、合本『3653日目〈塔短歌会・東北〉震災詠の記録』(荒蝦夷)

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塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選

塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選んでみました。 霜月に父を亡くしてその日付暗証番号として生きおり   澤端節子さん 手づくりのカメムシ取り器を携へる仲居につづき部屋に着きたり   友田勝美さん ひと束のふるき手紙に火を放つ霜月十日まだ夢はある   澄田広枝さん 身体というものに馴染めずオカリナの右手の小指の穴塞げない   はなきりんかげろうさん 街灯が心臓のやうに灯りをり銀杏の大樹を裡から照らし   加茂直樹さん

    • 塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選

      塔三月号作品1梶原さい子さんの選歌欄から五首選んでみました。 布製でも良かったかもなこの軀しょせん魂の着ぐるみならば   逢坂みずきさん 今日さまざまに話をしたる唇をおもいだすかな夜の孤食に   徳重龍弥さん 枯れ菊にまだ香のあればアドベントリースに挿しぬ十輪が程   清田順子さん 私はロボットではありません椰子の木選べば承認される   佐原亜子さん 温かいお茶を飲んだら「死にたい」は「休みたい」だと気付く真夜中   吉岡昌

      • 塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選

        塔三月号作品2真中朋久さんの選歌欄から五首選んでみました。 朝まだき野面の吐ける息深く堆肥場までを一歩ずつゆく   渡部ハルさん もう二年になるね、と色褪せた壁紙のように見ている戦争   谷口結さん 目を閉じてまぶたのうらに見えるのはわたしの奥の市松模様   由本慶子さん 君の肌の綺麗さにおののく吾は沖に流される舟のようです   故太田愛葉さん マヨネーズに背中をあずけケチャップの声援をうける夕食である   西村鴻一さん

        • 塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2三井修さんの選歌欄から五首選んでみました。ちなみに、私は来世があるなら水草がいいです。藻とか、花が咲かない地味なやつ。 討ち入りの映画に見たる藩札にとても似てゐる市民クーポン   山縣みさをさん 来世があらば雑草がいいとふ青年の画面の中のやはらかな髪   有澤裕紀子さん 内診台から降りる度に失ってゆく眩しかる女子という時代のこと   小野まなびさん カワックを使うつもりで浴室を開ければ柿が吊るされてをり   向井和子さん 煙草吸ひしことなけれども一服の

        塔三月号作品1花山多佳子さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2山下洋さんの選歌欄から五首選んでみました。 きっともう会わない人に会うために一人の朝に髪を染めてる   中島奈美さん クリスマスのたび思い出すしゃがれ声チバユウスケのいないこれから   仲原佳さん 焼印の「祝」の文字濃く捺されたるまんぢゆうを買ふ菊花展にて   小平厚子さん やがて土に還りますとう立札を二度三度読む倒木の前   山口淳子さん 言の葉の無き関係でいることのただにうれしく赤子を見つむ   魚谷真梨子さん

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          塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選んでみました。 どこにでもあるベッドタウンとしていつか滅びる場所に住むひとぼくは   宮本背水さん 薔薇がしゃべる薔薇には舌が何枚もあるからいつまでも飽きないで   田村穂隆さん ただ一日海の深みの静けさにくるみて君を熟睡させたし   沢本ひろみさん 透きとほるアガパンサスのむらさきにしみてゐるらむ画家の吐息は   染川ゆりさん フォーゲットミーノットというまじないを花へとこめたひとのただしさ   君村類さん

          塔三月号作品2永田淳さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2山下泉さんの選歌欄から五首選んでみました。 一匙のジャム残りいるいくつもの瓶が散らかるあたまのなかに    松本志李さん 葬儀ではクリーニング屋の高木さんが斎主となりて祝詞をあげぬ   成瀬真澄さん メモ帳の心地よく剥がされるやうな三十代の付き合ひをする   宮下一志さん 一年で百段編めば五年後にショールとなりて我を包まん   梶西伸子さん ビルとビル、三日月、ビル、ビル 仕事のこと喋り続けるタクシーの中    丸山恵子さん

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          塔三月号作品2なみの亜子さんの選歌欄から五首選

          塔三月号作品2なみの亜子さんの選歌欄から五首選んでみました。 画用紙のひかりを帯びて妻と子は海のいきもの切り抜いてゆく   いわこしさん もぢもぢといつしよに眼鏡をかけたひと今もめがねをかけてゐますか   中村みどりさん 手袋は春のわたしが捨てていた新しいのを買いなさいって   黒澤沙都子さん 大切じゃないものばかり話してはグラスの水とひかりをふくむ   中込有美さん タウリンが3000という空き瓶も我も寝転び夢見る聖夜   和田かな子さん

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          塔三月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首

          塔三月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首選んでみました。 じふぐわつは列車の旅の月だつた まだ帰らない赤いストール   岡部かずみさん ざくざくと白菜切ればざくざくと切らるるのみの冬の白菜   千葉優作さん 物欲がするする減ってゆく日々に眺めているだけのすべり台   朝野陽々さん ゆれている夜道でおれはコンビニのブルーライトを食って生きてる   河上類さん 君の腕片方だけでも連れ出して月夜の夢に逃げていけたら   高原五尺さん   片方=かたえ

          塔三月号作品2小林信也さんの選歌欄から五首

          塔三月号若葉集から五首選

          塔三月号若葉集から五首選んでみました。 一滴でも水は水なら一行でもこれは私の絶叫だから    潮未咲さん てのひらに刃のぬくもりを押しあてて半丁の豆腐をふたつにわける   山崎杜人さん ままごとで犬の役しか当たらない尻尾を振らずに噛めばよかった   細尾真奈美さん 刷りたてのゲラの匂いに包まれてぜんぜん寂しくない冬よ、来て   石田犀さん パイプ椅子並べ置かるる窓際に日の差し入れば汀のごとし   浅野馨さん   汀=みぎは

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          2024.4.6 日比谷野外音楽堂 The Street Sliders「Enjoy Moment」ライブレポート

          【注意】 スライダーズの野音ライブレポートですが、やたらめったら長いうえに、このライブの曲目だけでなく、現在ツアー中の曲目や衣装にも言及しています。 知りたくない方は読まないでください。 仙台から午後の新幹線に乗って東京駅へ行き、Googleマップと直感で日比谷公園に到着。野音がどこにあるのか全然分からず、チューリップや桜や池の鯉を眺めつつ、しばらくうろうろと歩き回り「このまま遭難するのでは」と不安が過った頃、力強いドラムの音が聴こえてきて、無事に野音を発見。リハーサルの音

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          塔二月号月集から五首選

          塔二月号月集から五首選んでみました。 カメムシを乗せたスプーンの水平を保ちて夜の窓辺までゆく   相原かろさん 「虹の橋を渡ったねこちゃん」フォロワーの弔辞相似て届きやまざる   朝井さとるさん おそらく私は開くのだ手を汚すためあるいは何かを摘み取るために   川本千栄さん 手ふれたるのみにて抜ける髪の毛を暫しながめて指より払う   冬道麻子さん 机のうへの額へ収むる絵はがきのもみづる樹々の間に径あり   溝川清久さん   机=き、間=あひ

          塔二月号月集から五首選

          塔二月号作品1永田和宏さんの選歌欄から五首選

          塔二月号作品1永田和宏さんの選歌欄から五首選んでみました。 どんぶりをカツの最後のひと切れでぬぐいてすべて食べおわりたり   垣野俊一郎さん 休日の浅草へ筆を買ひにゆく父に秋の雲みなついてゆく   小林真代さん と言ひてあとはうつむき林檎むく君のうなじのかたくななままに   加藤宙さん かつ丼を(いちいち人のせいにして生きてられるか)四分で食う   田村龍平さん 生牡蠣がだれかの足の裏のようほのじろくわが喉を踏みゆく   大森静佳さん

          塔二月号作品1永田和宏さんの選歌欄から五首選

          塔二月号作品1小林信也さんの選歌欄から五首選

          塔二月号作品1小林信也さんの選歌欄から五首選んでみました。 全員に人生があると思ったら怖くてうずくまる飯田橋   逢坂みずきさん 餞別だよ地植にしなよと抜きくれしツハブキ前籠に配達忙し   石川啓さん 絶滅がほんとはすこし好きでしょう青いインクで書く年代記   小松岬さん 珈琲を飲みつつ秋の明るさに目がなじみゆくまでの虚無かな   徳重龍弥さん 運動会のビデオ画面に追いかけるまだ喋らない子の青色の靴を   向山文昭さん

          塔二月号作品1小林信也さんの選歌欄から五首選

          塔二月号作品1山下泉さんの選歌欄から五首選

          塔二月号作品1山下泉さんの選歌欄から五首選んでみました。 かかとから金貨が落ちてしまひさうな靴下ばかり子は吊るしゐき   千名民時さん 窓はある、それでも窓がないやうなあなたの部屋にともす夕焼   澄田広枝さん いつまでも子の名をつけて呼ぶ部屋にひかる埃は日々あたらしい   高松紗都子さん 意見などせねばよかった居酒屋を出でたる風に海が匂いぬ   永久保英敏さん 秋晴れの三連休を家にいて冷凍ケーキがあったじゃないか   松塚みぎわさん

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          The Street Sliders 2024.3.20 仙台サンプラザホール

          スライダーズのライブレポートですが、やたらめったら長々と書いている上、セットリストや使用ギターや衣裳も記載していますので、事前に情報を入れたくない方はご注意ください。 諸般の事情で行くかどうか当日まで迷いましたが、あれやこれやを勢いで片付け、開演時間間際に会場へ滑り込み。 仙台サンプラザホールは、客席が扇形というか、ちょっと言葉ではうまく言えないような配置なのですが、私は前から三列目のHARRY側の一番端、スピーカーの前付近。と書くと、完全に見切れ席のような印象ですが、多

          The Street Sliders 2024.3.20 仙台サンプラザホール