イギリスの片隅で 東京で暮らした日々を振り返る

東京で働きたい!東京に出たい!と強く願ったことはなく
どちらかというと
「東京が主人公」という日本にややうんざりしていたのに、気がつけば、東京のマスコミで20年間働いていました。

今は、イギリスの田舎に暮らしています。
そして、日本のマスコミを相手にするという「広報PR」のコンサルのような仕事をしています。

PCの前に座り、仕事をしている時は、東京で働いていた頃と何も変わりません。
ただ、家の外に一歩出ると、そこはイギリス。そして庭文化の国です。

森がそこかしこにあり、綺麗な庭やため息が出るような豪邸があります。

私が住んでいるエリアには小さな渓谷もあり、そこを通るたびに
「私、この風景の方が心が落ちつく」と思うのです。

子どもを自転車の前と後ろに乗せ
夕陽が綺麗な住宅街を走っている時も幸せでした。
でも、心が落ち着くとは思いませんでした。

40歳を過ぎて思うのは「原風景」の大切さです。

私の両親は働いていたので、帰ってくると農作業をするおばあちゃんの周りで私は遊んでいました。
おばあちゃんは野菜を育てながらその周りにいくつもの花を植えていました。

イギリスではバラは簡単に育てられると聞いて、今年、庭にバラを植えました。すると、そういえば、子どもの頃、庭にバラがあった。と、突然思い出したのです。

日本に暮らしていた時も、庭があったので植物を植えていました。
でも、都会の中の植物は私の記憶を刺激することはありませんでした。

私は、長野の山間部の田舎で育ち、
その時確かに幸せだと思っていたんだと
イギリスでバラを植えながら気が付きました。

東京は私にとって「働く」「人と出会う」場所でした。
でも「暮らし」の記憶を刺激するのは田舎なんだなと、イギリスの片隅で思い出しました。

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