交差点のすぐ近く
大きなビルのウィンドウに
わたしの姿を見つけたの

すぐ隣にいる人
そう、あなたにも見えるでしょ

わたしもあなたが見えるわ
ウィンドウの中のあなた

同じかしら？
どお？
同じ？

だってわたしは
わたしの顔を見たことがないから

何かに写る顔しか
知らないから

同じ？

少し首を傾げたり
ちょっと口角をあげてみたり

同じ？

わたしはわたしの顔を
見たことがない

生まれてから一度たりとも

苦しみは陰を写し
喜びは幸を写す

敷き詰められた黄色い落ち葉の上を歩き
群青の空を
泳ぐように行く鳥の群れを眺める

特別なことじゃないと知った日々を
そうやって生きてきたわ

ねえ
わたしの顔は
わたしの知っている顔かしら

どぉ？