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RING

神話部今月のお題「リング」


RING

空を見上げてみてください。
今からひとつ物語をお話ししますね。

遠い昔、空高く、まばゆいばかりの天の森に美しいお姫様が妖精達に囲まれて暮らしていました。

キラキラ光る、乳白色の川のせせらぎを聴きながら、妖精達に着せる衣服を仕立てていると、逞しい王子様が立派な角を持つ白い水牛に乗ってやってきました。

王子様とお姫様は互いに見つめ合いました。
ところが王子様があまりに逞しかったので、もしや乱暴な方なのでは無いかしらとお姫様様は心配になったのです。

「そんな事はありませんよ」

お姫様ははにかみました。
そして誓いをたてるために二人は川に向かい、持ち物を交換して新しい妖精達を生み出しました。

ところがここでめでたしめでたしとはならなかったのです。

気を良くした王子様が喜びの余りつい本性を現し乱暴を働きだしたのです。
あろう事か羽をあしらった、仕立て上がりの色とりどりの衣装に糞尿を撒き散らし、暴れ回ります。

お姫様は嘆き悲しみ、洞窟に入って大きな岩の扉を閉めてしまいました。中から鍵をかけて……

妖精達は慌てました。辺りが見る見る暗闇に包まれたからです。
そう、お姫様は太陽が姿を変えた女神様だったのです。
妖精の中にはオイオイ泣く者、さっき昼ご飯を食べたばかりなのに、夜になったと思って夜ご飯を食べ、お腹を壊す者もいました。

力を合わせて乱暴な王子を追放すると、姫神様に出て来ていただこうと、楽しい事が大好きな姫神様のためにパーティーを開く事にしたのです。

洞窟の中の姫神様に、何やら楽しそうな声が聞こえて来ました。

恐る恐るそっと扉を開け、少しずつ姫神様は顔を出していきます。
その時妖精達は姫神様の腕をとりました。

さあ、姫様こちらでご一緒に……


さてこの騒動の一部始終を固唾をのんで見つめていた者達がいました。
空の下の人間達です。
急に辺りが薄暗くなり、太陽が黒い物に覆われてしまったからです。

しばらくはそのままでした。
そして、そっとそっと少しずつ様子が変わり始めた頃、人間達はうっとりと空を眺めていたのでした。
それは煌びやかなダイヤモンドのようでした。


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月が太陽を食す話ではありませんが、天岩戸のお話が日食神話だと言う学説は多いです。
また、日食があける時の光り輝く様子は、実際ダイヤモンドリングと呼ばれています。



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