さよなら

貴方が口を開けば終わりが始まる

雨上がりの空に広がる雲が

柔らかすぎて

優しすぎて

心もとない夕暮れ時に

昨日となにひとつ変わらないアパートの中でわたしは

貴方の背中30センチ離れた場所で本物の迷子になった

さよなら

貴方が口を開けば終わりが始まる

とっくに冷めたコーヒーに

頼りない灯りが落ちる

その背中に触れたがる指は行き場を失ったまま

ひと呼吸ひと呼吸

揺れる視界に入り込もうとする

壁掛け時計の針が否応なしに進んだ

そうね

夕暮れ時は、昔から苦手だったわね

優しい貴方は

明日も変わらないと信じさせるように

わたしを抱きしめて言うのでしょう

時計の針を目で追いながら

ごめんね

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去年の６月に、ツユコンピのタグ企画で書いた「リフレインを紐解いて」
ここに漂っている言葉の温度が「もうすぐ」と似てると思った。
やっぱり６月って一瞬のストーリーが、嫌になるくらい長い時間だな…… と、ちょっと感じた。

恋愛系のものは難しいけれど……

#詩っぽい何か