私たちがしていることを

カズオ イシグロ『クララとお日さま』読了。
ジワジワと心が苦しい。しばらくは悲しみの澱が心の壁に貼り付いて消化しきれないだろう。
イシグロ作品のなかでは『わたしを離さないで』感が強かった。
「献身」という言葉がずっと浮かんでいたが、それが自分の中で「献心」と書き換えられていった。
人間が動物や子どもに対して施している様々なことや、ちょっと先の未来を見せつけられているような気がした。
いいも悪いもなく、親はその時代時代で精一杯やってる、ということも痛感した。
作家って、「寄り」と「引き」で人間社会を見て写しとっていける人なんだなぁとあらためて思う。
それにしても、日本には「お日さま」という言葉があることをこんなにも意識させられたことはない。
イシグロは日本語のこの感覚で「sun」という言葉を紡いでいたのかな、と思った。