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走って逃げる少年と、置き去り騒動

「小2置き去り事件」が世間を騒がせた先週ですが、この件が耳に入ってすぐに浮かんだのはウーリー・オルレブ作 母袋夏生訳の『走れ、走って逃げろ』でした(原題は“RUN, BOY RUN”です。お、「ラン・ローラ・ラン」みたいでかっこいい!と思ってしまいました…)。

ちょうど、先週末にこの本で読書会があり、強烈な印象を持って読んだばかりでした。

ナチス・ドイツから逃げるユダヤの子、逃げて逃げて逃げまくって、時々人に助けてもらって、そしてまた逃げる。その容赦の無い逃亡の日々。想像を絶するサバイバル生活。
「鳥に罠をしかけて捕獲し、首をちょん切って泥で固めて直火焼きにすると毛がむしりやすく食べやすい」とか、「木に生えた苔で方角を知る」とか、いろいろ勉強になる記述も多かったです(自分が実際にできるかは自身なし)。

ほぼ実話なのです。実在の人物がモデルです。
この主人公の男の子は、きっと容姿も天使のように美しかったのだろうし、知的能力も高い。そしてあきらめない。そこに運も味方したと思うし、たくさんの奇跡の鎖が命をつないだのだろうな。

ひるがえって、こんにちの子どもは大丈夫か。

先日の学校図書館の講習会で、「なぜ教育指導要領に“児童に生きる力 をはぐくむことを目指し”とあるんですか?」と講師に詰め寄られた際、

「人は一人では生きていけないものだから」

と中村雅俊のような回答をして講師を困惑に陥れたわたくし。
「うーん、そうとも言えるし、そうとも言えない」とか言われてしまいました。とほほ。でも、結局そういうことじゃないかい?とひらめいたのですが…。ざっくりすぎたのですかね。

「教員には、“生きる力=サバイバル”と思う方もいらっしゃるんですよ」との講師の言葉が心にひっかかっています。
今回の置き去り事件や、地震・災害を考えると、「えー、やっぱりまず生き残るためにサバイバル能力って必要じゃん?生きてなんぼじゃん?」と思ってしまいますけども、もはや学校で教えるべき“生きる力”は、「知・徳・体のバランスのとれた力」であり「変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力、豊かな心、健やかな体の知・徳・体をバランスよく育てることが大切」なんだそうです(文部科学省HPより)。

幼い頃から野外生活やサバイバル術に惹かれていたわたくしとしては、子ども時代には『冒険図鑑』を熟読していてほしいと思ってしまいます(古いか?)。
そして今こそ学校でも、サバイバル術の授業をやってほしいなー。