MIDSクリニック

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論文紹介:女性の鼠径ヘルニア②

皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 以前、女性鼠径ヘルニアのリスク因子に関する研究についてご紹介しました。女性の方が男性よりも鼠径ヘルニアになるリスク因子を多く持っている、という結論でした。つまり相対的に、やはり男性の方が鼠径ヘルニアになりやすい、ということになります。 本日ご紹介する論文も女性の鼠径ヘルニアに関する研究ですが、女性が鼠径ヘルニアになった場合、どの術式が適しているのか、という臨床疑問への回答になります。 タイトル「Female

    • 論文紹介:鼠径ヘルニアと他疾患の関連

      皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 鼠径ヘルニアで当院を受診される方の多くから「鼠径ヘルニアになった原因はなんでしょうか」と聞かれる事があります。 人体、特に男性は構造上、鼠径ヘルニアを発症しやすくなっています。 しかし、近年の報告(PMID: 28050662, 33189313)では、繊維性コラーゲン合成能が腹壁ヘルニアの発症と関連があると言われている。 同様に、大腸切除後の吻合部縫合不全もこれとコラーゲン合成能と関連があると言われています

      • 医療におけるベストを尽くすとは

        皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 医療にもサービス業の側面があります。 本日は、普段の診療でどれだけ患者さんの要望に応えれるのか、についてお話したいと思います。 言うまでもなく、医療において最も大事なのはミスなく治療を完遂させることです。まずは医師がインフォームドコンセント:疾患の状態、その治療を勧める理由、他の治療選択、をきちんと行い、患者さんに理解していただく。次にミスの発生リスクをなるべく減らした治療を行います。そして、その結果を患者さ

        • 鼠径ヘルニアの原因①:精巣について

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 鼠径ヘルニアの原因についてお話したいと思います。内容が多いので、何回かに分けて書かせていただきます。 本日は「精巣」についてお話させて頂きます。 なぜ精巣?と思われるかもしれませんが、精巣と鼠径ヘルニアには強い関連があるんです。 体の壁を構成する筋肉に隙間が空いています。この隙間があるからこそ、腹膜が徐々に突出し、皮下に袋状に脱出してきます。 鼠径ヘルニアの原因となる体壁の隙間で代表的なものは「内鼠径輪」

        論文紹介:女性の鼠径ヘルニア②

          鼠径ヘルニアを放置するとどうなるの?

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日は鼠径ヘルニアを放置するとどうなるのか、についてお話いたします。 まずは鼠径ヘルニアについてです。 体は筋肉という壁の覆われていますが、一枚板の筋肉ではなく、何枚かの筋肉が立体的に壁を構築しています。 鼠径部では筋肉に隙間が空いている箇所があります。その隙間から腹膜が袋状に皮膚の下まで脱出するのが鼠径ヘルニアであり、袋の中に腸管が出ると患者様は「鼠径部が膨れた」と感じるわけです。 次い鼠径ヘルニアを放置し

          鼠径ヘルニアを放置するとどうなるの?

          論文紹介:女性の鼠径ヘルニア

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、男女での鼠径ヘルニアの違いについてです。 タイトル「Sex-based differences in inguinal hernia factors」 PMID:37626235(Google scholarでも見つけれます) 【背景】 ・鼠径ヘルニアに関する知識の多くは男性に基づいている。 ・一方、女性は鼠径ヘルニア修復後の予後が悪く、慢性疼痛や再発が多いことが知られている。 ・小

          論文紹介:女性の鼠径ヘルニア

          論文紹介:術後漿液腫のリスク因子

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術の漿液腫に関する話です。 タイトル「Modified Frailty Index and Albumin-Fibrinogen Ratio Predicts Postoperative Seroma After Laparoscopic TAPP」 和訳すると「modified Frailty Indexとアルブミン-フィブリノーゲン比は腹腔鏡下TAPP術後の

          論文紹介:術後漿液腫のリスク因子

          論文紹介:高齢者の鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術と鼠径部切開法の比較

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術の際に使用するメッシュに関する話です。 タイトル「Laparoscopic versus Open Inguinal Hernia Repair in Aging Patients: A Propensity Score Matching-Based Retrospective Study」 和訳すると「高齢患者における腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術と開腹鼠径ヘル

          論文紹介:高齢者の鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下手術と鼠径部切開法の比較

          論文紹介:TAPPとLichtenstein法の比較、術後早期疼痛に主眼を置いて。

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、TAPP法とLichtenstein法(最もポピュラーな鼠径部切開法)の比較です。 タイトル「Transabdominal Preperitoneal Versus Lichtenstein Procedure for Inguinal Hernia Repair in Adults: A Comparative Evaluation of the Early Postoperative

          論文紹介:TAPPとLichtenstein法の比較、術後早期疼痛に主眼を置いて。

          論文紹介:腹膜透析と腹壁ヘルニアの関連に関する研究

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、腹膜透析と腹壁ヘルニアの発生に関する研究です。 タイトル「Relationship between intraperitoneal pressure and the development of hernias in peritoneal dialysis: confirmation for the first time of a widely accepted concept」 和訳

          論文紹介:腹膜透析と腹壁ヘルニアの関連に関する研究

          論文紹介:外科医の熟練度と術後疼痛の関連

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、外科医の熟練度と術後疼痛の関連についての研究です。 タイトル「Influence of the learning curve on the immediate postoperative pain intensity after laparoscopic inguinal hernioplasty」 和訳すると「腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術の術後疼痛強度に及ぼす学習曲線の影響」 PMI

          論文紹介:外科医の熟練度と術後疼痛の関連

          Dextile Anatomical メッシュに関する研究

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術の際に使用するメッシュに関する話です。 タイトル「The first experience with the Dextile anatomical mesh in laparoscopic inguinal hernia repair」 和訳すると「腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術におけるDextileアナトミカルメッシュの最初の使用経験」 PMID:37548799(G

          Dextile Anatomical メッシュに関する研究

          妊娠と鼠径ヘルニア

          診療をしていると以外に若い方の鼠径ヘルニアが多いことに気づきます。 ほとんどの方は子供のころから持っていて、最近気になり始めた、あるいは痛み等の症状が出始めたという訴えで受診されます。 ただ今までなかったのに出始めたという方もおられます。その中でも妊婦の方や妊娠を機に鼠径部の膨らみに気づいたという方にも、ご相談いただいています。 「Primary ventral or groin hernia in pregnancy: a cohort study of 20,714 w

          妊娠と鼠径ヘルニア

          日本の医療アクセス

          本日は、勤務医13年、開業1年の立場からみた日本の医療水準についてお話しようと思います。 医療水準といっても、あくまで相対的なものであるため、他国の状況と比較しながら検討します。 長くなりそうなので何回かに分けて書いていこうと思います。今回は医療アクセスについてお話いたします。 まず、日本の医療アクセスは抜群に良いです。 例えば救急車。他国の救急車は基本有料で、先進国でみれば4-20万円は当然、という感覚です。 そもそも救急車制度がない国もあり、迅速に来てくれない国

          日本の医療アクセス

          論文紹介:鼠径ヘルニアの再発リスク因子

          皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。 本日ご紹介する論文は、鼠径ヘルニアのリスク因子に関する話です。 タイトル「Body Mass Index Within Multifactor Predictors of Ventral Hernia Recurrence: A Retrospective Cohort Study」 和訳すると「腹側ヘルニア再発の予測因子におけるBMIの重要性」 PMID:37519520(Google scholarでも見つけ

          論文紹介:鼠径ヘルニアの再発リスク因子

          論文紹介:メキシコにおける腹腔鏡手術の現状

          皆様こんにちわ、大阪駅前にある鼠径ヘルニア日帰り手術のMIDSクリニックです。 本日はメキシコにおける腹腔鏡下手術についての文献をご紹介いたします。 タイトルは「Availability of laparoscopic surgery in Mexico's public health system: a nationwide retrospective analysis」 2023年にLancet Reg Health Amで発表された論文です。 (PMID:37521

          論文紹介:メキシコにおける腹腔鏡手術の現状