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詩: 詩の国に帰る


もう詩の国に帰りたい
満月がひたひたと照らす波間に
人魚が空を見上げている
もう詩の国にかえりたい
もう かえりたい
   かえりたい
闇のあわいに溶け出すような
ゆらゆらした髪と
まんまるの瞳
声にならないつぶやきが
もう かえりたい
   かえりたい
   どこから どこに?

もう詩の国に帰りたい
そうだね 帰ろう
そう呟くと ひとすじの星が
涙のように人魚の上を滑っていった
くらい海を割って
まっすぐに進む
 火の泡となって
  歌声となって
   赤いくつを履いて
  鍋を抱いて
夜空の裏にこだますような
詩の国にかえろう
詩の国にかえろう




*****
詩の国3編の1つめ。
目次も更新します、いつか。



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