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西村前経産相の架空パーティー スポンサーは関電だった!?

西村康稔前経産相の大スポンサーは 関西電力

月刊「選択」1月号に「西村康稔前経産相の大スポンサー 関西電力に高まる責任論」という記事が掲載されました。=関西電力の「守護神」と言われる西村康稔議員が政治資金問題で経済産業相を辞任した。他電力からは「西村氏を堕落させたのは関電」との声が=という記事です。

「西村やすとし茶話会」=政治資金集めパーティー

「週刊文春」12月23日号によると、西村(当時)経産相の資金パーティー「西村やすとし茶話会」が平日昼休み、永田町のホテル会議室で、安倍派裏金問題捜査期間中に3回も行われていた。参加者はわずか10人にも満たない経産省の官僚たちで、出された食事はサンドイッチ程度、会費2万円のほぼ大半が儲けになる仕組み。大口のスポンサーが20万円を超えないように子会社の名前などに分けて領収書を受け取り、社名がわからないようになっていた。このことを問われた経産省は「職員が自主的に参加したもので、何ら問題はない」と回答したそうです。

企業としては政治献金しないはずの関電

「選択」によれば、この架空パーティーの大口スポンサーが関電だというのです。関電は「企業としての政治献金はしない」という方針で(なにしろ公益企業!ですから)自民党の政治団体などに取締役や管理職等が個人として献金をしていて、このことは今までも株主総会などで問題にしてきました。まさかお昼休みに経産省の官僚たちが参加する、大部分が政治家の儲けになる資金集めパーティーのスポンサーが関電だったとは!!甘いといわれるかもしれませんが、正直驚きました。

経産省の人事への圧力

最初にこの週刊文春の記事を読んだ時、経産省の役人がパーティーの参加者だということを読んで、すごく嫌な感じがしました。政権が経産省の人事に圧力をかけているのではないか。(その時点では、まさかスポンサーが関電だとは思ってもいなかったのですが)大臣の茶話会に参加するよう声をかけられることが出世へのステージになっていて、原発推進の流れに抵抗できない雰囲気を経産省内に作り出しているのではないかと思いました。

関電のコンプライアンス改革はどうなっているの?!

関電が架空パーティーのスポンサーと知って、高浜町元助役からの不正金品受領事件、高浜町議員への贈収賄疑惑、名簿不正閲覧、カルテル、次々と不祥事を起こし、不祥事のデパートとまでいわれた関電が原発再稼働をどんどん進めていけたのは、こういう根回しのせいだったのかも。
昨年の関電株主総会で、コンプライアンス改革について「今後このような不祥事は起きないのか、また起きるのかYESかNOで答えて」と株主から質問されて、関電は「道半ば」と回答しました。今回の記事を読むと「道半ば」どころか、まったく体質は変わっていないと思います。次々と明らかになる不正。関電に改革を本気で進める気などなく、ただごまかせばいいと思っているでのはないでしょうか。

珠洲原発立地のために関電社員が地元議会工作

お正月の能登地震で一躍注目されたのが、関電が今回の地震の震源近くの高屋地区に作ろうとしていた幻の珠洲原発。もし珠洲原発が完成して、稼働していたら、福島原発事故の再来となっていたのではないか。避難のための道路は破壊され、屋内待避する家も壊れ、モニタリングポストも測定不能で、放射線防護は不可能だったのではないか。珠洲原発に反対して戦ってくださった市民のみなさんのおかげで、日本は救われたのだと感謝の気持ちでいっぱいです。
その珠洲原発の立地工作について元関電社員は「サラリーマンがする仕事ではなかった」と語っています。朝日デジタル2020年8月11日の記事によると、93年9月に珠洲市議会は「電源立地促進に関する決議」を賛成多数で採決していますが、この文案も元社員が書いたと言っています。
この決議の提案者である議員は提案理由を「市民から定例議会にごとに調査の再開、原子力発電の建設促進に関する請願が提出されるなど電源立地促進への要望が強まっている」と述べたとのことです。自分たちのやりたいことを市民からの要望といって、地元議会で決議させる関電。このやり方は、関電だけではなく全国の原発立地の地元で、今も行われていると思います。

地方議会に社員を送りこんで

電力会社の社員には、地方議会の議員を兼業している人がいます。電気料金値上げの審査会では、議員と兼業している電力会社の社員の給料を電気料金の原価に参入していたことが問題になりました。
関電は「地方議員を兼務している従業員について、7日以内の議員活動分に対する給与を原価に算入していたが、電気の供給に直接関係ない人件費であるため算入を認めないことが適切である」とされました。兼業社員は議員報酬と給料を両方もらい、原発推進のための議員活動を行なっていたのです。たとえ兼業給料の支払いをやめても、電力会社の社員兼業の議員は今も全国の地方議会で、電力の要望に沿った議員活動をしていると思われます。
個別の原価等について 2015年9月10日 経産省電力取引監視等委員会事務局

https://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_electricity/pdf/003_05_00.pdf

高浜町議会は2011年9月に原子力発電堅持を求める意見書採択

高浜町議会だよりNo.108

https://www.town.takahama.fukui.jp/gikaidayori/vol108.pdf

関電高浜原発の地元、高浜町議会は、あの福島原発事故からわずか半年後の2011年9月に「エネルギー政策における原子力発電の堅持を求める意見書」を可決しました。この意見書の賛成者3人のうちのひとり山本富雄議員(当時)は、関電が議員所有の企業の経営立て直しのために、相場をはるかに超える家賃で倉庫を借りたり、親戚の会社に土砂処分の事業を発注したりした議員でした。詳しくは以下のnoteをご覧ください。

汚いお金が回らないと作れない、動かない原発

最初に紹介した週刊文春の記事の大見出しは「森喜朗さんから全て始まったんです」でした。珠洲原発立地も能登出身の森喜朗さんと小林庄一郎当時関電会長がいっしょにつくった「喜林会」が進めているのだと当時いわれていました。
地方議会の原発立地促進決議を作文していた関電社員。地方議会の議員になって原発推進の活動をする関電社員。議員の会社の経営を支援していた関電。不正マネーを還流させ、数億円の金品を役職員が受け取っていた関電。そして架空パーティー献金で経産大臣を支援していた関電。電気をつくるだけの設備なのに、なぜここまでして原発を動かさないといけないのでしょうか。
福島原発事故が起きてもだれも責任は取らず、その上福島原発事故をなかったことにしようとする復活した原子力ムラの面々。原発をやめれば不正と手を切ることができます。

脱原発で不正と決別を!!

*1 タイトル画像は「週刊文春」12月23日号より

*2 「脱原発へ!関電株主行動の会のニュース」No.134の原稿に加筆しました。


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