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Vol.1 大学受験を控える大切なみんなへ

はじめまして。note初投稿のHANABIです。

今回noteデビューしようと思ったきっかけは、家族、教師、卒業生、いろんな職種の人たちとのつながりを大切にしたいと思ったから。記念すべき第1号は、卒業生に向けての内容にしようと思う。

ボクは中学校教師。今回メッセージを送りたいのは、3年前に卒業した高校3年生の君たち。卒業してからあっという間だったけど、みんな、元気にしてるかな?

noteを覗きに来てくれているボクの卒業生ではないあなたにも、何か伝わると嬉しいな。

ある1通のLINEから

7月4日の日曜日。ちょうどこの時期は、中学校であれば夏季大会の地区予選が始まる。3学期制の学校であれば、期末テストが終わり、そろそろ本格的に成績を付けようかな~というタイミング。

余裕のない混沌とした時期に、希望していた高校に進学したある大切な卒業生からLINEが届いた。そのLINEには、これからの人生に不安を感じる高校生の心情がたくさん書かれていた。

中学校での教師生活が10年以上過ぎ、世の中にいる大半の中学校教師と同じように、本当にたくさんの個性的な中学生を高等学校に送り出してきた。しかし、このLINEが来てから、フッとボクの頭のなかにこんな問いが浮かぶようになった。

「高等学校に送り出してから、中学校で大切に見守り続けていた子の人生をどこまで真剣に支えることができたのだろうか?」

この問いが頭に浮かび続けた結果、未だにこの大切な卒業生に返信できずにいる。人生の岐路に立っているあなたに寄り添いたいけど、教師面をして綺麗事を並べるような文章は書けないし、書きたくない。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだけど、いろんな感情がわき出てきたことで、なかなかスマホに手を伸ばすことができなかった自分に悔しさを感じる。

教師って、どういう存在であるべき?

教師という職業を選んだからには必ず付きまとうこの難問に、ついにボクはぶち当たってしまった。

でも半年間という時間をかけて、ボクなりの考えが整理できた。

もしこの卒業生と同じような悩みの人がいたら、ぜひ明日からの希望の光にしてほしいなと思う。

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いつもの教室の風景(懐かしいかな?)

夢破れたあとに出会った言葉

LINEを送ってきてくれた卒業生の文章のなかに、養老孟子さんの講演会の内容が書かれていた。下の動画が、その時の講演会の様子。ぜひ時間があれば観てもらいたい。

養老孟子さんと言えば、ボクにとって人生の分岐点に立ったときの恩人のような存在(お会いしたことはないですが)。実は、ボク自身、教師になろうと決めたのは高校3年生の時。突然、ある先生から呼び出されて、こんなことを言われた。

「お前のその経験を教師になって生かしてみたらどうや?」

その経験とは、ボクが6歳から17歳まで人生を懸けて勝負していたモータースポーツのこと。

ある自動車会社が運営するチームに所属していたボクは、高校2年生の終わりに突如契約を解除される。

要するにクビ。

当然、結果が出ないと夢の実現は難しくなることは知っていたけど、まさか自分にそんな流れが来るとは思いもしなかった。「自分の人生は終わった」という気持ちが心の中を支配し、高校に行っている意味はもちろん、大学進学なんていう気持ちさえ全くなかった。支えてくれていた家族にも顔向けできない・・・、ものすごく孤独感を感じていたことを昨日のように覚えている。

高校3年生という青春真っ只中。

周りは、プレッシャーを感じながらも希望に満ち溢れた表情で大学受験の話をしている仲間がたくさんいた。表面的には笑ってその場を過ごしていたけど、心の中では全く笑えなかった。

そんな暗闇のなかで生活していた時に、あの言葉がいきなり降ってきた。

この時まで、教師という存在を一番信頼することができなかったボクにとっては衝撃的だった。

まさに、青天の霹靂。この日から全ては変わった。そして、その先生に手渡されたのが一冊の本。それが『養老孟子の〈逆さメガネ〉』(2003年,PHP新書)。恥ずかしい話、読書感想文を書く以外の目的で読んだ初めての本だった。

「とにかく本を汚しながら読め。線を引く、メモを書く。何でもいいんや。自分自身を見つめ直すなら、まずは人の考えを知る。そこから、自分の人生を軌道修正していく方法もあるんやで。お前には、この本がピッタリや。死んだ魚の目をしとらんと、しゃきっとせい。」

たった3分間の呼び出しが終わった。でも、かなり大雑把でシンプルなアドバイスだったけど、この3分間があったからこそ、今のボクがある。そして、そこで手渡された養老孟子さんの本との出会いがあったからこそ、人と学びとの関係性を研究するきっかけを得られた。

当時のボクが線を引いた箇所は、こんな内容。

学問をするということは、いわば目からウロコが落ちることです。つまり自分の見方がガラッと変わるわけです。

出典:養老孟子(2003)『養老孟子の〈逆さメガネ〉』PHP新書,p.139.

人間が変わったら、前の自分は死んで、新しい自分が生まれているといってもいいのです。それを繰り返すのが学問です。

出典:養老孟子(2003)『養老孟子の〈逆さメガネ〉』PHP新書,p.140.

私の個性は私だけの考え、私だけの感情、私だけの思いにある。そんなふうに思っていませんでしたか。心のどこに個性がありますか。ほんとに心に個性があったとして、他人に理解できないことを理解し、感じられてないことを感じている人がいたら、それはまさに病気じゃないですか。私の考えをここで説明して、それがわかってもらえたら、それは私の考えだけじゃなくなるんです。だから身体は個性ですが、心は共通です。

出典:養老孟子(2003)『養老孟子の〈逆さメガネ〉』PHP新書,pp.145-146.

今だったら引かない内容かもしれないけど、学校に行くことや学ぶ意味を見失っていたボクにとっては必要な言葉だったのかもしれない。

青春時代を共に過ごした大切なヘルメット

みんなに伝えたいこと

話し合う文化が根付いていた全国的にも有名な学校。5年前にそこへ赴任し、みんなと出会った。この出会いによって、確実にボクの教育観が変わったし、ボクの教師人生でずっと追究したいテーマを見つけることができた。

みんなには感謝の気持ちしかないんだけど、次はボクが恩を返すとき。ボクの卒業生の多くは大学進学をめざしていると思うから、今が一番しんどいときかな?

この言葉、みんな覚えているかい?

練習は本気、本番は遊び。(投手コーチ、佐藤義則さんの言葉)

出典:NHK『プロフェッショナル仕事の流儀(第194回)』2012年4月23日放送.

現在東北楽天ゴールデンイーグルスに所属し、長らくニューヨークヤンキースで活躍していたマー君こと、田中将大投手の恩師の言葉。この言葉があったからこそ、マー君が活躍しているといっても過言ではない。

きっと今は、リミッターが振り切れそうになるくらいフルパワーで頑張っているよね。でもね、その頑張りは、たとえ希望通りに報われなかったとしても、きっとどこかで生きてくる。

あと、こんな考え方も知っておいてほしい。
「今は何のために勉強しているのか?」ではなく、「今勉強していることは将来どこで、どういうふうに役立つのか?」。
これは、SDGsでいう「バックキャスティング」で、将来の目標・理想から現在にかけて逆算していく考え方。
ぜひ、こういうところにまで目を向けて、余裕をもってやっていってほしい。

出典:一般社団法人 イマココラボHP(https://imacocollabo.or.jp/blog/backcasting/).

ボクを含めた学年の先生みんなが、見えない手で、あなたの背中をグッと支えているよ(そのつもりです)。だから、決して一人で戦っていると思ったらあかん。

One step at a time!
自信を持って、ゆっくりでいいから前進してみよう!

健闘を祈るぜ!!

それでは、またね。

*最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今回参考にさせていただいた本



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中学校社会科教師のHANABIです!学校教育の現状、中学校社会科の面白さ、自分の生徒・卒業生や全国にいる中学生へのメッセージ、時にはHANABIのプライベートまで、いろんな角度から掘り下げて綴っていきます!!SNS初心者ですが、よろしくお願いします(*^▽^*)