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【政党解説2024】参政党ってどんな政党?

今回は参政党について解説していきます!参政党は2022年に参議院選挙で1議席を獲得し、国政政党になったことで注目を集めました。また、掲げる政策も特徴的なものが多く、話題になることも多いです。そんな参政党について、この記事を通して理解を深めていきましょう。

基本情報

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政党の変遷

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 参政党は2020年4月に、元吹田市議の神谷宗幣氏によって結党されました。神谷氏は主に政治や社会問題について取り扱うYouTubeチャンネルを運営しており、結党時にはチャンネルの視聴者を含めた約3000名程度が党員として参加しました。しかし、2020年末〜2021年初頭にかけて、保守的な思想を持つ人々の間で「アメリカ大統領選挙における、バイデン候補(当時)の不正選挙を信じるか信じないか」をめぐる論争が巻き起こり、参政党もその論争に巻き込まれて党が分裂する事態に陥ります。結果的に、この際「トランプ候補の勝利を信じ、バイデン候補の不正を糾弾する」とした側が参政党に残ることになりました。2021年の衆議院選挙には、支持の拡大に確信が持てなかったため候補者の擁立を見送ることになります。その後参政党はYouTubeを使った発信活動や、反ワクチン・脱マスクといった主張を掲げることで支持を拡大させていき、2022年の参議院選挙では比例で神谷宗幣氏1名が当選します。また、この時に小選挙区選、比例選ともに得票率が有効投票総数の2%以上となり、公職選挙法や政党助成法の政党要件を満たすことになりました。2023年統一地方選挙では、230人を擁立し100議席を獲得します。内訳としては、都道府県議選で4議席、政令市議選で3議席、市議選では67議席を獲得しました(※)。市議選での獲得議席数は、社民党とNHK党を上回り、国民民主党と同程度の議席数となっています。2023年には、代表の松田学氏が辞任し、神谷氏自身が代表に就任しました。 [5][6][7][8][9][10]
※(他にも町議会選挙、村議会選挙、区議会選挙なども含まれるため合計しても100にはなりません)

政党の主義主張
参政党は綱領として以下の3つを掲げています。
・一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。
・一、日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。
・一、日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。
このように参政党は、日本の伝統や平和、自立といった概念を重視している政党だということが分かります。 [11]

特徴的な政策
参政党が掲げる「3つの重点政策」がこちらです

1.〈教育・人づくり〉
○学力(テストの点数)より学習力(自ら考え自ら学ぶ力)の高い日本人の
 育成
・学校ではなく生徒一人当たりに予算をつける仕組みづくり(教育バウチャー
 〈クーポン〉制)! (※)
・フリースクール等すべての子供に最適で多様な教育環境を!
・自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育を!

2.食と健康、環境保全
○化学的な物質に依存しない食と医療の実現と、それを支える循環型の環境
 の追求
・薬やワクチンに依存しない治療・予防体制強化で国民の自己免疫力を高め
 る!
・メガソーラー・風力発電推進による環境破壊を阻止!
・再エネより「CO2排出実質ゼロ」の次世代火力発電を推進!

3.国のまもり
○日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり
・強国の論理や過度なグローバリズムに対抗し、自由社会を守る国民国家を
 目指す!
・外国資本による公用地買収や企業買収、水資源買収から地域を守る!
・移民受け入れより、国民の就労と所得上昇を促進!

(※教育バウチャー〈クーポン〉制)
政府が生徒や保護者に、教育に使途を限定したクーポン(教育バウチャー)を支給する仕組みです。この仕組みの下、生徒や保護者は、クーポンを使うことで教育にかかる費用を軽減できます。また、学校は集まったクーポンの数に応じて政府から運営費が支給されるようになります。

参政党は、教育・環境や健康・安全保障といった分野に重点をおいていることが分かります。教育分野では、教育バウチャー制の導入やフリースクールの整備など、制度面での改革を掲げる一方で、歴史教育の変更など、内容面においても改革を目指しています。環境と健康の分野では、オーガニック食品を重視し、それを支える循環型社会の実現を目指します。環境保全については、メガソーラーや風力発電所等の再生可能エネルギーの開発が逆に環境破壊につながっていると主張し、再エネよりも次世代の火力発電を推進することで実現を目指すというアプローチを掲げています。安全保障分野では過度なグローバリズムに反対し、日本に対する外国の干渉を様々な面から守っていくとしています。[12]

他の政党との関係性
参政党の神谷氏は、どこの党とも協力を検討することは可能だとする方針を取っているようです。しかし、現在のところ参政党と他国政政党の間に、国政レベルでの大規模な協力関係は見られません。一方でNHK党とは裁判で争う関係にあるなど、対立しているようです。2023年には、NHK党は参政党の神谷氏の発言が党の信用を毀損したとして、1億円の賠償を求める民事裁判を起こしています。参政党の側は、NHK党が行った、自党の街頭演説に対する抗議活動や発言が威力業務妨害や名誉棄損にあたるとして刑事告訴を行いました。 [13][14]

強い支持層

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 最後に参政党の支持層について見ていきます。読売新聞社と日本テレビ系列各局の出口調査に基づくと、回答者のうち、参議院選挙比例選で参政党を指示したと答えた人は、18,19歳が7%、20歳代が6%、30歳代~50歳代が5%、60歳代が3%、70歳以上が2%となっており、参政党は比較的若い層に支持されていることが分かります。 [15]

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 これは参政党がYouTubeなどのネット上のコンテンツを使った選挙戦略を強みとしていることとも関連していると考えられます。実際、2022年7月の参議院選挙時点での、参政党のYouTubeチャンネルの登録者数は19.1万人と、自民党の12.9万人、立憲民主党の2.3万人、日本維新の会の3.3万人といった他主要政党のチャンネルの登録者数を大きく上回っており、ネット上で大きな影響力を持っていることがうかがえます。 [15][16]

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 また、読売新聞社と日本系列各局の出口調査に基づく資料によると、参議院選挙の争点として「子育て・教育政策」を特に重視したとの回答は、参政党に投票した人が最も割合が高くなっています。これは、若者や子育て世代のコロナ疲れが参政党の支持に結びついた結果と考えられ、そのような世代からも支持を集めていることが分かります。 [15]

まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事を通して、その歴史や政策についての理解を深めることができたでしょうか。独特な政策を掲げており、ネットに強みを持つという、国政政党では異色ともされる存在です。これから参政党が国政や地方選挙においてどのような戦略をとるのか、今後の動向にも注目です!

参考文献
[1]参議院.議員情報神谷宗幣.2022年11月30日掲載.
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/giin/profile/7022014.htm
[2]参政党.【令和3年12月22日記憶を追う】あれから1年、、そして次なる戦いへ!. 2022年12月22日掲載.
https://www.sanseito.jp/news/5803/
[3]衆議院.会派名及び会派別所属議員数.2024年2月1日掲載.
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/kaiha_m.htm
[4]NHK.自民は大勝 立民は議席減 改憲発議に必要な勢力議席超 主な当選者一覧と解説も.2022年7月11日掲載.
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/85921.html
[5]NHK.新興勢力「参政党」国政政党目指す戦い 初の議席獲得.2022年7月10日掲載.
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/85833.html
[6]Yahooニュース.参政党とは何か?「オーガニック信仰」が生んだ異形の右派政党.2022年7月10日掲載.
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/067c5c8f972ec52861a3f3fdef31af904e9c9728
[7]参政党.【統一地方選挙】合計100名の地方議員が誕生!.2023年4月25日掲載.
https://www.sanseito.jp/news/7268/
[8]毎日新聞.女性当選者、最多316人 41道府県議 79人増、全体の14% 維新は倍増、124議席 全議席確定.2023年4月10日掲載.
https://mainichi.jp/articles/20230410/ddg/001/010/001000c
[9]47NEWS.共同通信【速報】17政令市議選の全議席確定.2023年4月10日掲載.
https://www.47news.jp/9176154.html
[10]朝日新聞.統一地方選、止まらない投票率下落 市議選は立憲と維新が議席伸ばす.2023年4月24日掲載.
https://www.asahi.com/articles/ASR4S6GF7R4SOXIE02C.html
[11]参政党.理念.
https://www.sanseito.jp/philosophy/
[12]参政党.政策 3つの重点政策.
https://www.sanseito.jp/prioritypolicy/
[13]東スポWEB.NHK党の妨害に参政党・神谷副代表「こんな人たちに負けるわけにはいかない」.2023年2月8日掲載.
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/253413
[14]東スポWEB.立花孝志氏を不起訴 参政党などの刑事告訴で東京地検特捜部が事情聴取.2023年9月15日掲載.
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/276433
[15]読売新聞.参政党はなぜ議席を獲得できたのか…出口調査・選挙結果から見えてきた三つの要因.2022年8月16日掲載.
https://www.yomiuri.co.jp/column/opinionpoll/20220810-OYT8T50005/2/
[16]産経新聞.「ブルーオーシャン」飛び込んだ参政党 SNS世代巻き込む.2022年7月10日掲載.
https://www.sankei.com/article/20220710-YWR3C25AI5KNDDUMJCXJS2S2JY/?outputType=theme_election2022


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