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【舞鶴市議会選挙】結果分析

・はじめに


 舞鶴市議会選挙が11月18日に行われ、34人の立候補者より26人の新議員が選出されました。Mielkaも議会マイニングin舞鶴(http://www.maniken.jp/gikai_mining/maizuru/)というサービスを作り舞鶴市議選に注目してきましたので、今回の舞鶴市議会選挙の結果や特色について、簡単にですが解説・分析していこうと思います

・今回の舞鶴市議会選挙について


 舞鶴市議会の定数は、今回の選挙で2減り26議席です。これに対し34人が立候補し、議席を争いました。内訳は、現職20人に対し新人14人、党派別では自民6人、公明4人、共産4人、自由1人,そして無所属が19人、性別では男性28人、女性6人です。最終的な投票率は56.76%と、過去最低になりました。

・議員の特性と当選


 ここからは、総務省による最新の統一地方選挙の結果分析資料も併用しつつ、舞鶴市議会選挙がどんな選挙だったか、振り返ってみます。


(1)現職全員当選
 今回の選挙では、立候補した現職議員20人全員が当選しました。あまり注目がされにくい地方議会選挙において、現職という肩書はかなり選挙に有利に作用するようで、実際統一地方選挙では、県・市・町など自治体の規模を問わず、現職の当選数が新人の当選数の3倍前後を推移しています。当選率についても、直近の統一地方選挙のデータによると、新人市議候補は4割以上落選するのに対し、現職議員は約9割にまで達します。実際に議員として実績をあげていることがどれほど選挙に有利か、一目瞭然です。

(2)党派について
 今回、自由党所属の1名を除く全ての政党公認候補が当選を果たしました。政党に所属している県議は多いのですが、市町村議レベルでは無所属が圧倒的で、全体の約6割を占めます。今回の舞鶴市議選は、定数26人に対し政党公認の当選者は14人ですので、全国的な傾向に比べれば政党所属議員が多いと言えるでしょう。
 公明党及び共産党は市町村議会選挙にも熱心に議員を擁立します。総議員数でいえば、市・町・村すべてにおいてこの2政党は自民党議員の数を上回ります。公明党はその母体である創価学会の組織力が強く、とくに直近の統一地方選挙では1500人前後候補者を擁立し落選者4人という抜群の成績を残しています。自民・共産も他党に比べれば良い結果を残しており、今回の舞鶴市議選でもこの3政党が全員当選させたことは驚くことではありません。自由党は擁立した1名が落選してしまいました。自由党は小政党であり、地方議員も全部で10人しか所属しておらず、しかも擁立したのは新人候補者であったため、組織・知名度ともに乏しく落選という結果に終わったのでしょう。

(3)女性議員数
 今回の選挙では、現職の共産党女性議員3人のほかに、無所属で立候補した女性2人も当選し、5人となりました。女性議員が全体の20%弱を占めることになります。全市議会における女性議員の割合はおよそ14%なので、平均に比すれば多い方と言えるでしょう。しかし既に言われているように、日本の女性議員数は世界の平均に比べるとかなり少ないです。今年(2018年)5月に施行された候補者男女均等法は、政党に候補者の男女の割合を均等にする努力目標を課しています。既に候補者の30%以上を女性にすると明言している政党もあり、日本でも徐々にではありますが状況が変わろうとしています。これに対する賛否はともかく、この流れが今後地方議会にも影響する可能性も十分あります。

(4)当選者の年齢
 今回の選挙の当選者の平均年齢は、選管の資料をもとに計算すると約59歳、この数値については全体の平均とそう違いがありません。最高齢が77歳の一方、最も若い議員は37歳、しかも2人誕生しています。
 地方議会議員にはなり手が少なく、高齢化の動きにも拍車がかかっています。県議選レベルでも無投票当選が20%にまで上るということです。少ない議員報酬や兼業の難しさなど課題は様々で、なり手不足を解決するため、地方議会を休日・夜間のみに開催するように変えた長野県喬木村の例や、村民全員が議員となる村総会の設置検討を始めた高知県大川村の例など、解決に向けた試みも実施され始めています。

・まとめ


 新しい舞鶴市議会は、特にその女性の多さで特徴的となるでしょう。これまでの共産党議員のみならず無所属からも2人当選し、また異なった女性の視点からの指摘・審議が行われることが見込まれます。30代の議員も2人当選し、高齢なベテラン議員だけでなく若い視点からの議論も行われるでしょう。
 地方議会は今様々な課題を抱え危機にあります。舞鶴市議会選挙は定数を6オーバーする候補者が現れ、激戦とも言える選挙戦が幸いにも行われましたが、全国的には特に地方議員のなり手不足が深刻です。地方議会の側からも様々な改革は模索されてはいますが、ようやく動き出したばかりです。
 来春には統一地方選挙が行われます。とくにMielkaが拠点をおいている京都府など関西2府4県では、その全てで府県議選が実施される予定です。いま読んで頂いている皆さんの市町村でもあるかもしれません。国政に比べると盛り上がりに欠ける選挙ですが、こういった視点から候補者や当選者を見てみると、お住まいの自治体の新たな課題が見つかって面白いかも?

【参考資料・記事】(全て2018年11月19日閲覧)
舞鶴市選挙管理委員会「舞鶴市議会議員一般選挙立候補届出者一覧(平成30年11月18日執行)」(https://www.city.maizuru.kyoto.jp/shisei/0000004703.html)
総務省自治行政局選挙部「平成27年4月執行 地方選挙結果調」(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/chihou/ichiran.html)
総務省「地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調(平成29年12月31日現在)」(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/data/syozoku/ichiran.html)
京都新聞「新市議26人決まる 京都・舞鶴市議選」(https://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20181119000001)2018年11月19日掲載
朝日新聞「全国の地方議会、『女性ゼロ』が約2割 青森は5割」(https://www.asahi.com/articles/ASLCJ65J4LCJUTIL046.html)2018年11月18日掲載
日本経済新聞「高知・大川村が『村総会』設置へ検討 村長正式表明」(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFB12H1J_S7A610C1MM0000/)2017年6月12日掲載
日本経済新聞「長野県喬木村が初の休日議会」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24737540W7A211C1000000/)2017年12月16日掲載


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