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流行語と振り返る平成

 平成28年8月に天皇陛下による象徴としてのお努めについてのお言葉が表明されてから約年半が経過し、とうとう今日で平成の時代が終わろうとしています。
みなさんはどのように令和を迎えるのでしょうか?
今日は平成最後の日ということで、流行語から平成という時代を振り返ってみます。
Mielkaらしく時の政治・社会情勢と共にゆるく解説しますので、こんなこともあったなぁとゆるく平成の思い出に浸ってみてください。

 まずは31年間の政治・社会に関する主な流行語をぎゅっとまとめた以下の画像をご覧ください。

 2018年は「そだねー」が大賞を受賞したユーキャン主催新語・流行語大賞から抜き出したものですが、懐かしく感じるものから、あまりピンとこない言葉もあるかもしれません。今回はこの中から、政治・社会に関する言葉をいくつか抜き出して解説していきます。

【NOと言える日本】受賞者:石原慎太郎/1989年
 

 カラーテレビやVTRをはじめとする電化製品・自動車などの輸出で引き起こされた激しい貿易摩擦の最中、元ソニー会長の盛田昭夫氏と当時竹下内閣で運輸大臣を勤め、同年総裁選にも出馬する石原慎太郎氏の共著がこの「NOと言える日本」でした。対アメリカを想定した日本の外交と産業技術が主なトピックとして書かれ、反米主義の台頭ではないかなどの物議も醸しながらもベストセラーとなりました。
このタイトルをもじり、「NOと言える○○」という言葉が流行しました。

**【天の声】受賞対象者が拘留中のため保留/1993年 **

引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

1993年は談合によるゼネコン汚職が問題化した年でした。ゼネコンとは総合建設業を表すゼネラルコントラクターの略で、ゼネコン各社から中央・地方政界に多額の賄賂が送られている実態が判明したのです。自治体の公共事業における入札企業を業者間の談合によって決めていたというもので、この時、地方首長の意向を「天の声」と呼称していました。今では某情報番組のナレーターを意味する言葉として定着しつつある言葉ですが、当時は「天の声」に忖度して行われる政治が問題となりました。

引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

この年の流行語大賞年間大賞はJリーグ。日本プロサッカー・リーグチェアマンの川渕三郎氏によって地方分散のフランチャイズ制やオーレ・オレ・オレ・オレという題ガッシュなど日本国内に様々な仕掛けがなされ、日本中にサッカーファンがあふれたのもこの年でした。

**【無党派】青島幸男/1995年 **

引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

1995年に行われた、東京・大阪の知事選挙にて、既存政党の推薦候補を無所属の候補が破り、当選しました。その結果、「無党派」と呼ばれる、どこの政党にも属さない人が注目され、既存政党はこの「無党派」をどう取り込むかが、選挙戦の鍵となりました。
今でこそ「無党派層」という言葉は、選挙番組やニュースで良く耳にする言葉ですが、言葉自体は1995年から流行になり始め、定着していったと考えられます。

引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

同年にはオウム真理教による地下鉄サリン事件や阪神・淡路大震災が起こり、多くの命が犠牲となりました。

【マニフェスト】北川 正恭/2003年
通常「政権公約」と日本語訳される、「マニフェスト」は、期限、財源、数値目標、プロセスなどが明らかにされた具体的な公約のことを指し、事後検証が可能な公約のことを指します。イギリスの選挙にてマニフェストが初めて登場し、日本では、2003年の統一地方選で多くの候補者が有権者にマニフェストを提示し、同年秋の衆院選でも各党が冊子を作成して「マニフェスト選挙」と言われました。現在でも多くの政党が、ホームページでマニフェストを掲載しており、「マニフェスト」という言葉自体も定着してきました。

引用:新潮社

同年、平成最大のベストセラーとなった『バカの壁』が出版。また、フジテレビの『トリビアの泉』が放映され「へえ~」が同じく流行語に選ばれた年でした。

【政権交代】鳩山由紀夫/2009年
8月30日の第45回衆院総選挙。自民党は300から119へと議席を激減させ惨敗。一方、民主党は115から308へと議席を大きく伸ばして圧勝しました。投票率は69.3%。20代、30代の若年層の投票率は49.45%、63.87%。総選挙の結果を踏まえて、鳩山由紀夫を首相とする民主党内閣が発足しました。選挙による政権交代が実現したのは初めてのことで、歴史的な出来事といえます。しかしながら民主党政権はわずか3年間で終了。2012年の衆議院選挙で大敗を喫し、自民党に再び政権を渡す形となりました。

引用:村上春樹『1Q84』 新潮社公式サイト

当時8歳だった加藤清史郎氏演じるトヨタ自動車のCMキャラクター「こども店長」や村上春樹氏による『1Q84』が話題となった年でした。

【アベノミクス】安倍晋三/2013年
安倍内閣は2019年現在で7年目を迎えようとしています。現在はあまり耳にしませんが、内閣発足当初アベノミクスという言葉は非常に多くのメディアで聞かれました。デフレと景気低迷からの脱却を目的とする安倍内閣の経済政策を標語化したもので、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長政略を三つの柱として掲げられました。これらを呼称した「3本の矢」も記憶に新しいのではないでしょうか。このアベノミクスに対する評価はいまだ賛否両論分かれています。

引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

また、この年は2つのテレビドラマが社会現象化しました。NHKによる連続テレビドラマ『あまちゃん』が上半期大流行、また、7月から放映されたTBSによる『半沢直樹』も社会現象化し最終回の最高瞬間視聴率は46.7%という数字を記録しました。流行語大賞年間大賞は「今でしょ!」。

**【保育園落ちた日本死ね】山尾志桜里/2016年 **


引用:かわいいフリー素材集 いらすとや

これは2016年2月に、匿名ブログ「はてな匿名ダイアリー」へと投稿された同名タイトルが受賞者の山尾志桜里氏によって国会にて取り上げられ流行したものでした。子どもを持つ母親のものとみられるこのブログは、当時大々的に取り上げられていた議員や著名人の不倫や賄賂問題、オリンピック、一億層活躍社会などといった文言に対する現実との乖離を訴え、全国の待機児童問題を広く顕在化させるものでした。当時の待機児童数は約2万4000人、現在に至ってもなお解消されていない問題です。

世界中で8億ダウンロード超えを記録した「ポケモンGO」がリリースされたのもこの年でした。

【忖度】稲本ミノル/2017年
2017年最大の政治テーマであった森友学園問題と加計学園問題に端を発した流行語となりました。「直接の口利きはなかったが、忖度があったと思う」という籠池泰典氏の発言が元となり、広く知れ渡る結果に。このいわゆる「モリカケ問題」は長きにわたってメディアを騒がせたましが、背任罪で告発された38人は不起訴に終わり、籠池夫妻が詐欺や詐欺未遂罪に問われる形となりました。

 流行語と振り返る平成、いかがでしたか?
もう存在感が薄れてしまっていることから、そんなに前だったの?と驚くようなもの、または平成に起こったことだったんだ、と意外に感じてしまうような出来事まで、振り返ってみるとたくさんの出来事がありますね。特に政治に着目しみても、そのあり方が揺れ動いてきた時代でした。立場の高い役職につく政治家の意向を表す「天の声」やそれに対する「忖度」、政党という絶対的強さを誇ったはずの基盤を揺るがした「無党派」、今後の社会に対する不安を象徴するような「消えた年金」など…。
 この記事では国内に関する出来事を取り上げましたが、国際社会でもまた、ベルリンの壁崩壊に始まりソビエト連邦の崩壊、ベトナム戦争の勃発と終結、グローバリゼーションの流行など、世界が繋がりこれからのつながりが問われる時代となりました。

令和は果たして日本に、世界に、なにがもたらされる時代となるのでしょうか。
期待に胸躍らせつつ、令和を迎えたいですね。

総務省(2009)「衆議院議員総選挙における年代別投票率の推移」, <http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/l> 2019年4月29日アクセス.
産経WEST(2019)「籠池夫妻 詐欺罪否認へ 森友事件 6日初公判」, <https://www.sankei.com/west/news/190304/wst1903040013-n2.html> 2019年4月29日アクセス.
はてな匿名ダイアリ―(2016)「保育園落ちた日本死ね!!!」, <https://anond.hatelabo.jp/20160215171759> 2019年4月29日アクセス.
厚生労働省(2017)「【170821】①保育所等関連状況取りまとめ(平成29年4月1日)<本体>」<https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11907000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Hoikuka/0000176121.pdf>2019年4月29日アクセス.

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