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漫画の題材いろいろ(例えば「おじと姪」など)

先月の「マンダンラジオ」のテーマは「まだヒット作が出ていない題材を発掘しよう!!」でした。

この「マンダンラジオ」というのは、安藤正基とちるとというプロの漫画家お二人が毎月一回配信しているライブ番組です。とても面白くていろいろ言いたいことはあるのですが、マンダンラジオについて書き始めると長いので別の機会にします。

それはそうとして、上記の配信の28分くらいで「VTuber」という題材が話題になっています。VTuberを題材とした漫画には、既に存在するVTuberの二次創作と、架空のVTuberをキャラクターとする漫画の二種類があるのですが、先に登場したのは二次創作のほうだと思います。ちょっと検索したところ、2018年にキズナアイのアンソロ本が出ていて、これはかなり最古に近いVTuberを題材とした漫画だと思います(これ、よく見ると安藤正基が参加してますね。)

VTuberを題材とした漫画と言えば、なんといっても「ライバーダイバーラバー」が大好きなのですが、なんと来週月曜の配信で最終回だそうです。作者のX見てたらどうも打ちきりらしい…。うーん、私が好きな漫画は結構打ち切り率が高くて、悲しいことです。

ライバーダイバーラバーの主人公女子。黒髪片目隠れツンデレVTuber配信者
メイド喫茶でバイトをする主人公女子


私は日本人の平均よりは、漫画を少しだけたくさん読んでいると自覚しているのですが、同じ時期に連載が始まった漫画がほぼ似たような題材を使っているということがたまにあってびっくりします。流行りというのもあるのでしょうが、シンクロニティすら感じるほどに「似てるぞ」と思ったりもします。

たとえば「ポストアポカリプスっぽい世界で、強大な力を持った存在が、人間のお姉さんの形をとってショタを過保護に甘やかす」という漫画。「終末の花嫁様 -sweet home†melty life-」と「生きてるだけでえらい!ってハイネさんが言うから」はどちらも2022年の12月に連載が開始しました。本当によく似ていますが、どっちもカドカワだということはわざとぶつけたのでしょうか?

または、「行くところのない女子学生を、賃貸暮らしの独身サラリーマンおじさんが引き取って同居して面倒を見る、そしておじさんは一切女子学生に手を出さないが、女子学生が高校を卒業後に二人が恋人として結ばれる」という題材。「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」の原作である小説と、「社畜と少女の1800日」はいずれも2017年に開始した作品です。こちらの題材は普通に犯罪っぽい匂いがガモガモしますが、実際に「社畜と少女の1800日」のほうではおじさんが一度逮捕されて職を失うという、微妙にリアルな展開となりました。

科学の世界では、ほぼ同時期に同じ技術が完全に別々に発明される、ということが起きたりしますが、創作の世界でも似たようなことが起きたりするのでしょうか。


最近読んでいる漫画では「おじと姪」という題材の漫画が二つあり、どちらも単行本買って追っかけています。(こっちもうっかりすると犯罪っぽくなりそうですが、今のところそういう気配はなさそうです。)

「♀ガキとおじさん」

重度のロリコンであることを隠して生きるおじさんと、そのおじさんのもとに現れた幽霊の少女(餓鬼)の話です。
おじさんの姪である「鵙」というキャラクターは、破壊衝動、それも自分が一番幸せな時に自分自身を破壊したいという強烈な衝動をもっています。自らも自分の異常さを自覚しながらも、衝動を制御しきれずに薬物の大量摂取による自殺未遂を起こした前歴を持っています。

最高の時に全部裏切ってグシャグシャになりたい
幸せの絶頂でよぎる破壊衝動
そして自殺未遂

題名のアレさからは想像できない重い話。基本的にはギャグマンガなのですが、予想できない展開が好評のようです(だったらいいな)。作者は「生きづらさ笑い飛ばし系コメディ」と呼んでいましたが。(当該の投稿は消されてしまいましたが、別のページにアーカイブされていました)


「おじくんとめいちゃん」

あまり売れていない漫画家のおじさんと、近所に住む兄の娘(姪)の日常話です。姪は陽の気に満ち溢れた存在なのですが、おじさんのほうは(おそらくは幼少期の親との関係に起因した)精神の病に苦しみながら生きています。

精神科の医者とおじさんの対話。重いです
海水浴場に来ただけなのに、いきなりハマりそうになるおじさん
そんなおじさんに楽しむ「義務」を与える姪

貼り付けた画像だけ見ると、姪は悩みのない陽だけの存在に見えますが、決してそんなことはなく姪は姪なりに悩みを持っていたりします。お互いに救いあいながら、この世における存在を続けようという希望を感じる漫画です。
作者のnoteを見ると宗教二世として育ち、かなりハードな人生を送られている方のようです。そして、この方は「私が制作を続ける理由は「救済」」と書いていて、まさにおじさんと姪がどちらも救われることで、読んでいる人も作者も救われるというようなことを願っているのかなと思ったりもします。

「おじと姪」題材の漫画はどちらも登場人物が精神的に苦しんでいることでも共通しています。これもなにかそれっぽい理屈をつけようと思えば付けられるのですが、妥当性の検証ができないので止めておきます。ただ、思い出したのはタイトル画像に載せた漫画を描いた金平守人も、結構重めの鬱で苦しんでいるようですね…。

「金平deR」より抜粋。これ以外にも、片頭痛に対してセデスハイをオーバードーズするようなことも描かれていたりしました

有名な話では、島崎藤村が姪と肉体関係を持ち子供を産ませたうえ、彼女を捨ててフランスに渡航するという、超無責任なことをしでかしていたりします。いい年した男が、姪のような身内の年少女性と深い関係となること自体が異常なのかもしれませんが。


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