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真夏の夜のミステリー

SNSが歌舞伎町を一人で歩いているようなものと実感したのはつい最近のこと。素性もわからない人間との接触は、一歩間違うと恐ろしい体験へとつながる。

ライターという仕事は、以前と違い参入障壁が低くなった。素性を確認し人柄などをチェックする会社員と違い、どんな人でもライターと名乗れる。私が恐怖を感じたのは2回ほど。すべて相手はライターだった。

一人はライターの他に別の仕事をしている人。クライアントへの不満を延々と語るその人の意見が極端過ぎると感じてしまった。よせばいいのに、一言言ってしまった私。すると相手は猛反論してきた。最初は相手にしていたが、「これはおかしい」と気づいた。その人のツイートを読んだところ、政治に関する不満がたらたら……。
「これはまずいぞー!」
即座に私は相手にするのを中止に。

ところがその人はDMで私に反論してきたのだ。
「まだ議論は終わっていません」
あまりのしつこさにあきれ果て、ブロックした。
「これでもう関わらなくいい!🙌」
と思っていたのだが、敵もさるもの。
別垢を取って再び私に接近してきた。

例え別人のふりをしても、言葉や雰囲気から同一人物とわかるもの。
恐怖を感じた私は、その人をブロックした。
その後、その人は私の悪口をツイートしていたらしい。親切な知り合いの人が他の人を通じて忠告してくれた。知り合いのツイートで私の悪口を言うので、しばらく知り合いへのリプはやめたほうがいいというもの。

感心したのは知り合いの撃退方法。毅然とした対応をし、ブロックもせず、理路整然とやり返したよう。結局ああいう困った人は自分が期待した通りの反応がないと、つまらなくなったよう。知り合いにリプするのもやめたようだ。私を困らせた人との縁が完全に切れたので、すっかり油断をしていた。

二人目は、やはりライター。あまり接点がなかったが一度だけリプしたことがある人だった。ある日のこと、その人のツイートがバズった。しかし、その人のツイート内容を見たとき、なぜか私は胸騒ぎを感じた。だから、私は引用しなかった。しかし、私が普段仲良くしているライターさんがその人を引用したのだ。私は仲良くしているライターさんにだけ返事するつもりでリプした。

それが間違いのもとだった。私が仲良くしているライターさんはリプに対して私と同じような意見を言ったのだが、どうもそのときの意見に反発を感じたようだ。いきなりキツイ調子で責めてきたので、驚いてしまった。何とか怒らせないようなことを言おうと思い、リプをした。
「この人おかしい!」
第六感が私に警告を告げた。
その人と関りたくないと思い、ミュートにして見ないようにした。

恐怖を感じ、仲がいい人にDMで相談もした。仲がいい人はその人のリプを読んで怖いと思ったようだ。
「みっふぃーなさんは個人攻撃をしたわけではなく、単なるつぶやきをしただけなのに一方的に責めていて怖いですよね」と。

元夫にも相談した。
元夫の意見は、
「その人は嫉妬しているんじゃないの?そういう人には反応しちゃだめだよ」
そう、私はリプなんてすべきではなかったのだ。すぐにミュートにすべきだった。そこが私の浅はかなところだ。

怖いもの見たさで、私はその人のリプを覗いてギョッとしてしまった。
その人は私が既に忘れたようなツイートを引用して、
「あの時、あなただってこう言ってたじゃないですか?」
と私を責めたてていた。
こんな昔のツイートを引っ張り出すということは、私をずっと観察していたのか?
恐怖で冷や汗が出てしまった。

仲のいい人にそのことを伝えたところ、
「その人ストーカーじゃないですか?」と言われた。
これはもう関りになりたくない!
即座にブロックをした。
ブロックをしたら、もう私を攻撃することはできないと思ったら、やっと心が落ち着いた。

後で、SNSで個人攻撃する人について調べてみた。
そのような人たちが攻撃する理由とは、
1.嫉妬心がある
2.リアルで認められていない
3. 自分の賢さをアピールしたい
ということだった。
私がその人に感じたのは3である。個人攻撃したことによって「いいね」がつくと、攻撃する人は承認欲求を得られるそうだ。そこで、ますます攻撃がエスカレートするらしい。

精神科医の先生によると、そのような人たちに対する一番いい方法は無視すること。要は反応すると喜ぶわけである。だから無視されると辛いらしい。ブロックしたのは正解だったと知った。

後で知ったのだが、その人は元のバズったツイートを削除し、自分のアカウントも鍵付きにしたようだ。そんなことをしなくても、私はあなたのツイートなんて決して読まないから安心してほしい。恐怖を感じるような人のツイートを誰が読みたいと思うだろうか?

というわけで、私は身も凍る体験をした。
これは、神様が暑い夏にくれた私へのプレゼントなのだと思うことにしよう。


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