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「君たちはどう生きるか」観てきた。

見たいなって思う映画があっても全然行けてなかったけど「君たちはどう生きるか」はちょっと訳が違う。何しろ宮崎駿監督の新作を劇場で観るチャンスは最後かもしれない。同監督の作品は絶対に劇場で、派な訳ではなかったけどずっと今の私たちに必要なメッセージを発信していると思う。感想を書いて行くとネタバレになるかも知れないので最後に書くね。

その前に私の憧れの女性ナウシカに対して、先日SNSで「原作のナウシカは人類を滅ぼす選択をした」みたいなことを書いている人がいて私はそうは受け取っていなかったのでナウシカのことも少し。原作では終盤ナウシカが巨神兵オーマを連れて墓所に向かう。「調停と裁定の神」である巨神兵は「無垢」という意味のオーマという名前を貰ったからあんな純粋な性格に形成されたんじゃないかな?墓所には新たな人類の夜明けの為に人工神とそれを護るヒドラに身体を置き換えることで生き永らえてきた選民思想の科学者らの教団がいる。彼らは汚れてしまった世界と人類を火の七日間で滅ぼし、腐海の植物や生物が地上を清浄にした後、詩と音楽を愛する平和的な新人類を目覚めさせて新しい世界を作ることが目的だった。ネットでナウシカは人為的に作られたという情報があるけど腐海でも生きられる様に遺伝子操作で生まれた人類だと思うのね(人々は生殖の能力があって繁殖していたと思うから)。あくまで人間であることは変わりない。一方平和的な新人類も遺伝子操作の民。原作でも確かナウシカはキレて人を怪我させる(殺す?)シーンがあったと思うんだけど、ナウシカは自分も含めた人間の愚かさ、弱さ、世界の真実(総じて穢れ)を知り深淵に沈む。でも人間は愚かな面もあれば純粋な面もある。光があれば影が出来る必然。これは対であって完全な存在はないとナウシカは理解している。だから、地上の清浄が済んで新人類が目覚めたとしてもどこかに歪みが生じその状況が続く訳はない。そもそも選民の思想を持った教団がある限りそこに清浄はあり得ない。最初から歪んだ計画であるということ。それが宮崎駿監督が言いたかったことなんじゃないかと私は思う。だからナウシカは墓所を破壊した。人が操作するもんじゃない。好き勝手地上を穢すことも違う。そうなる前に思考出来る人間が、人間だけじゃない動、植物と環境のことも考えなければならない。

「君たちはどう生きるか」。これまでの宮崎監督が関わった作品のオマージュがたくさん盛り込まれていた。見たことある様なシーンが盛りだくさん。あれ?この人過去作品のあの人っぽいなと思ったら同じ方が声を担当していたり。主役の眞人はたまにナウシカに見えたり、清太に見えたり、宗介に見えたり。私的にポニョのテーマが「愛」だとすれば本作は「信頼」「友情」「魂の在り所」かなって思う。作中に出てくる映画と同タイトルの著書が実在するということは他の方のレビューで知った。おこがましいこと言うけど私は宮崎監督も「同じ方向を見ている人」だと思った。発信しているメッセージはずっと一貫している。宮崎監督の作品に描かれる自然や一見質素な食事のシーンは何故あんなに魅力的なのか。作中の人物は何を信念に行動しているのか。作中の表現では今までの作品での監督のメッセージでは不完全である、未熟である、だから今の若い人にその意志を継いで欲しいと言っている様に感じるけど宮崎駿作品に影響されて気づかされて心の軸にそれぞれ形の違う積み木のパーツを持っている人たちがたくさんいると思う。他の方のレビューで何を言いたいのかはっきりしないし良く判んなかった、今作はオマージュを楽しむつもりで行ったら良いよ、っての見たけど今までの作品のテーマを何となくでも把握していたらこれまでの作品の中でも特に難解で深いメッセージがあることは理解すると思う。私も上手く言語化出来ないからこんな短い文章になってるんだけど。今まで私が見たことある宮崎作品を受けて私が思うことは自分の物語の中でどのポジションのキャラクターを演じたいのか。卑怯で姑息で自分本意な陰キャで良いのか。何を大切にして生きていくのかってことかな。


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