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ベンダーは絶対言わないが、Excelは最強の管理ツールだし、管理目的の脱Excel&システム化は不便になると思った方がいい話

こんにちは。筆者です。

中小ITベンダーで開発案件とか導入支援とか色んなことをちらほら数年やってきた身として、なぜそんなことにそんなに費用をかけるのか謎なことって結構あります。ないですか?

特に、いままでExcel管理していたものをシステム化したいという話はよくある話なわけですが、一介のエンジニアの私目線では「その要件ならExcelの方が便利じゃね?」って事が結構あります。

今回はそこについて綴ってみたいと思います。

「脱Excel→システム化」のメリット

メリットから行くと、まず、外観が良くなります。

質素な表に入力する形から動く画面になったりアイコンがかわいくなったり、気分が上がります。
要注意ポイントですが、各入力欄の利便性は大して変わりません。

次に、システムがパッケージだと他シス連携がしやすくなる場合があります。

最近のパッケージ製品だと、連携に必要な情報の設定が画面上でできるようになってるものもあり、そういう機能がついてるやつを導入する場合、ある程度簡単に他シス連携ができるようになる可能性があります。

「脱Excel→システム化」のデメリット

次にデメリットですが、柔軟性が消えます。

Excelは柔軟性で行くとあらゆる業務システムから群を抜いて強いです。
ゆえに無理やりまとめられてた構造が破綻してるサマリ表や、見た目も調整した帳票なんかはパッケージの標準機能で再現できることは大抵無いので、全部開発実装でとんでもない額がかかり、結果あきらめて縛りの中で考え直すかあきらめるという運びになります。

次に、直観的ではなくなります。

Excelで作った管理表は基本的に中身が全部見えますね。システムも基本中身はおなじですが、見えはしませんし、見えてる部分がすべてとは限らないです。つまり、中身まで理解してないと使うの大変です。
大丈夫、講習も発注したから教えてもらえるぜ!って?
そんな数時間で理解できるわけないじゃないですか。1年くらいは苦悩する羽目になりますよ。

何より、お金がかかります。

システム導入すると、基本的にまぁあぁな導入費用とまぁまぁなランニングコストがかかりますね。

結論

要するに、金を払って利便性を削り見た目をよくするのが脱Excelだと、私は思っています。

でも、Excelが故の課題いっぱいあるもん!

おそらくそれ「Excelだからできない」と思いこんでるだけですよ。

先述の通り、Excelは良く言えば直観的で柔軟性がすごいです。
ゆえに、誤った直感で制限を設けずナメ腐った表を作ってしまったり、そもそも表になってなかったりと、「管理表になってない落書き帳みたいなファイル」を作ってしまっていることが根本的な原因です。

特に非エンジニアの皆さんは”表”という概念を雑にとらえすぎな傾向があるので、まずそこを見直してみましょう。
データベース、特にRDBMSの設計についてぐぐってもらうと正規化という概念に出会えると思います。これが全てです。

正規化が出来れば、管理表として成立する表が作れます。
すると、制限かけなきゃいけないところや、自動で行を挿入したい所も見えてくると思います。

そういう所を自動で入れる方法としてVBAやマクロという概念が出てきます。
これは聞いたことあると思いますが、一般人でもできる簡単な事ですし、表がきちんと出来てればこの辺はごく簡単な内容で済みます。
とはいえここは難しい部類ではあるので詳しい人に相談してもいいかもしれません。

集計や帳票はデータがそろってるのでExcelの標準的な機能の範疇で簡単に再現できますね。

これをクラウドストレージにでも置いておけばみんなで共有もできます。

はて、ここまでできたらExcelの何が課題なのか、とんとわかりません。

その課題、実はExcelが悪いんじゃなくて、「情報管理」という概念への理解が浅すぎるだけなんじゃないでしょうか?

それでもシステム化したいんだ!

プロに任せてシステム化を助けてもらうと「管理表になってない落書き帳みたいなファイル」を管理表にするところの整理からスタートします。

当然ベンダーは製品導入やらをしてくれる前提で手助けしてくれるわけなので、システム化しないと基本この手助けは得られません。

その意味ではシステム化にもこの整理を手伝ってもらえる点で一定の意味があると思います。

念のためですが、この手助けも基本無料ではないです。製品導入してくれるなら金払えば手助けするよ。しないなら金払っても手助けなんかしないよ。という事ですし、そもそも整理されてる前提で事は運びます。整理できてないなら最初にちゃんと「落書き帳しか無いので整理から手伝ってください」って言わなきゃダメですよ!

担当者が理解していなければこれを理解してもらうまでにすごい時間がかかりますし、時間がかかれば稼働もかかるので費用も増えます。

整理の仕方は上述の通りググればいくらでも出てきますし、理系の大学出てるような人が見れば数週間でアウトラインは理解できるような簡単な内容です。

予算潤沢、納期も無限ならいくらでもお手伝いしますが、今のお時勢そんなことも無いと思うので一度内部で整理することも考えてみてはいかがでしょうか。

脱Excel→GoogleSpreadsheet化がおすすめ

Excelでいいじゃんとは言ったものの、スタンドアロンがベースのExcelはネットワーク上でみんなでアクセスする場合だと同時アクセスできないとか色々課題はあります。

そこでおすすめなのがGoogleSpreadsheetです。
VBAみたいな難しい言語じゃなく、GASっていう一般人でも簡単なJavascriptみたいな言語でスクリプト記述が出来たり、同時多人数編集がデフォでできたりと良いことたくさんです。

もっと言うとNotionがおすすめ

正規化を理解して表が作れるようになると、かえってExcelレベルの柔軟性が邪魔に感じる高尚な方もいらっしゃるでしょう。

そういう方は、Notion使うと便利です。

正規化の記事だとRDBMSについて触れているところも多いと思いますが、素人がRDBMSを実際インストールして業務で直接使うのは流石に難しいでしょう。

その辺りがいい感じにできるようになってるサービスがNotionです。ご一考の価値ありですね。

ここまで来たらシステム化の検討です。

Notionの検討を終え、「帳票出力とかはやっぱり開発入れたいな」とか、「独自の集計があるから専用画面欲しいな」とかそういう課題が出てきたら、お待たせしました。システム化の出番です。

「システム化で効率化する」が上手くいく会社さんは、基本的に既にNotionでできるような部分まで構築済みで上記のような課題をうまく解決するためにシステム導入を検討します。

他にもユーザ毎のRLSとか自動処理の画一化とかSAMLログインへの対応とか、そういう難しい話は最低限ここまで来てないとお話にならないのです。

最後に

脱Excelなんて言い出しちゃうレベルでは、システム化はお勧めできないという話でした。

情報管理は管理者が構造を理解していることが一番大事なので、ツールのせいにする前に構造をしっかり整理して、その上でツールの問題点があれば新しいツールを考える流れが重要だったりします。

意外と当たり前ですが出来てない事多いのでベンダーの最果てエンジニアからのアドバイスでした。

そもそも、そんなことすら考えるのが面倒だから頼んでるだよとか、責任を委任したいから頼んでるんだよとかいう大人な話はコンクリ詰めにして東京湾に沈めておきましょう。

では。。。

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