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夜の街で会った鬼畜たち

松本清張原作の鬼畜という映画がある。
名前のとおり、親が子供に鬼畜の所業をする映画だ。


【鬼畜】予告編

印刷屋を営む竹下宗吉と妻のお梅。ある日、宗吉の愛人が3人の隠し子を宗吉に押し付けて失踪した。妻のお梅は子どもたちに辛く当たり、やがて、末っ子の赤ん坊が不慮の事故で死んでしまう。お梅が故意に仕組んだと察した宗吉は残る2人も何とかしなければと追い詰められて行き、始末しようとするが……

「鬼畜」のあらすじ

内容は本当に救いがない。
高校生の時に初めて見た時はあまりの内容に数日間どんよりとしたものだ。

キラスピ達や脳みそお花畑が言う「子は親を選んで産まれてくる」というのは嘘だと思った。

その時はその数年後に同じような場面に直面するとは思いつきもしなかった。


子どもの死期を占う女

学校を卒業して数年後、何の因果か冗談か私は夜の繁華街でひっそりと占い師をしていた。
その頃はまだ無名で、場末のスナックやラウンジで細々と占いの修行をしていた。

占うのは飲みに来た男性客だけではない。
仕事終わりにはお姉さんにバーや居酒屋で奢れながら占いもしていた。

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「彼氏に子供がいるんだけどさ、早く死んでくれねーかなと思うわけ。そういうのも占いで分かるの?」

その日お酒を奢ってくれた女は居酒屋の席に着いて早々にそんなことを言っていた。
ホステスと呼びたくないプロ根性の欠けらも無い女だった。
はげたネイルによれたファンデーション。
人相見でなくてもひと目で貧乏神に取り憑かれた女だと誰でも分かる見た目だ。


「彼氏の子供、こっちのことじーと見てきてさ、見てるだけでムカつくんだよね。」

唖然として何も言えない私に向かって畳み掛けるようにその女は言った。

その時ようやく、この質問の意図が読めてきた。

つまりこの女は、邪魔な彼氏の子どもをどうにかしたくて占いの鑑定をしに来たようだ。
ひとまずは、占いでは人の死にまつわるものは占えないとしどろもどろになって答えると、女は興味を無くしたようにふぅんと答えて自分の婚期や恋愛運について質問をしてきた。
その後は無難に占いをして、どうにか切り抜けた。とにかく早く帰りたかった。

その後、風の噂で女が妊娠したことを知った。
結婚したかどうかも、もちろん彼氏の子どもがどうなったか私はもちろん知らない。

連れ子再婚はリスキー


連れ子を虐待死させる事件は、当時からたびたび報道されていたが稀な事件だと思っていた。

けれどこの一連のやりとりをしてからは、顕在化していないだけで連れ子のことを殺すまでは行かなくても、死んで欲しいと願っている人は一定数いるんだろうなと思うようになった。
先程の女ほど露骨でないにしろ、婚活を考えている人に「彼氏がバツイチ子持ちだったらどうする?」という質問をすると、「どこかに行ってくれるのが1番助かる」という意見はわりと聞いたからだ。

経験を重ねていくうちに、親が再婚をして義理の親に性的な虐待を受けたり、後から生まれた両親の実子と差をつけられて虐待されて育った人を鑑定する機会もあった。
みんなそれぞれにおそらく一生癒えない傷を抱えて生きていた。


だから私はクライアントが「連れ子で再婚をしたいと考えている」という質問に対してかなり慎重な回答をしている。
特に実家と仲が悪く、経済的、精神的に自立出来ていないと判断した相手に対しては「絶対にダメです」と答えている。
そういった人に必要なのは配偶者ではなく行政の支援だ。

それでも、そういう人は寄生する先を見つけるために結婚相手を物色するだろう。
特に女の子を連れての再婚は需要が高いのだ。なぜそうなのかはあえてここでは言及しない。

連れ子再婚が上手くいく人は稀

子持ちで再婚が上手くいく人は先程とは逆に、実家に協力をしてもらえて手に職を持ち、元々は再婚なんて考えていない人だ。
たまたまいい人がいたから再婚をするというスタンスの人がほとんど。
身も蓋もない言い方をすれば、そういった人は社会的階層も高い。
そしてそもそも再婚をしたいという相談をするために占いに来ない。
来るとしてもタイミングや、再婚をした後の未来予測についてのお願いだけだ。

鬼畜はすぐそばにいる

占い師をするということは、時にこういったとんでもない相談を受けるということだ。

だから占い師は病む人が多いのだろう。
実際に私も他人の業に触れすぎてとんでもないことになったことがある。

最近立て続けに占い師になりたいという相談をうけたので、こういった経験を文字に起こしてみた。

断言する。
占い師は世界で1番おすすめ出来ない仕事のひとつだ。
よく考えて、この業界に足を踏み入れるか判断をしてほしい。

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