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日本の日常がなくなる

 今も自分含めた家族全員が住んでいる実家は築20年以上もたった2F建て。20年も住んでいるといろいろなことが起こり例えば風呂場の換気扇が壊れた、あるいは壁に壁紙の境界線が現れはじめたなどなどいわゆるガタがきたというところは何箇所もある。

 そんな実家ですがこのたび築20年点検を終え、リフォームをすることになった。リフォームの内容はいくつかあるものの目に見えて大きなところで言うなら和室がフローリング化するとのことである。今の和室には何が置いてあるかというとそれなりに大きい机と家族共用のPC関係のものがある。また出っ張ったところの床間には本棚とビリヤード台(!?)が立てかけておいてある。こう置いてあるものを列挙してみると物置のような部屋に感じる。

 さてフローリング化する理由になっているのはこの和室に週に1回ほどロードバイクが搬入されるからだ。実は父親は来年には定年退職になると言うが58ぐらいにしてランニングを初めてそこから飛躍し自転車、トライアスロンを始めたという自分が言うのもあれだがなかなかの体力の持ち主である。ロードバイクが部屋に搬入される理由はもちろん室内でローラーといって自転車を漕ぐトレーニングをするためなのだが和室だと畳が凹んでしまう関係でこの際思い切ってということだそうな。

 時代によって様々に変化してくる部屋、そして日本の象徴の一つでもある和室が自分の家からとうとう消えることになる。和室をそこまで積極的に利用していたわけではない。PCの方を借りる時に利用をしていたというのはあるが、ただどんなにモノが埋もれても畳という床の特殊性は目立つし何より見ているだけで落ち着くというか日常の風景としてすっかり取り込んでいた「日本」がどこかに消えてしてしまいそうに感じる。また外から家に帰るときに床間の窓というのはどの家でもやはり目立つ。ここには和室があるという外からも密かに知らせてくる床の間の窓、その裏側は実はフローリングの部屋だなんて思う未来が近々やってくる。

 よくよく考えればこの部屋は和室ならではの用途というのはどういうものがあるのだろう。今は物置とPC部屋と自転車の練習スペース、並べてみるとフローリングにしても何も言うことはない。お茶を立てるわけでも布団を敷いてそこで寝るわけでもない。布団で寝るにしても最近はマットさえ引けばどうとでもなる。和室独特の用途はなんだろう。

 和室という存在が自分の中から消えた時自分の実家というもっとも身近なところから「日本」が消える。「日本」が消える前に和室で正座してお茶でも飲んでみようか。床に思いっきり寝そべってみようか。そんな和室が消えるまでのカウントダウンが今日もまた一つずつ進んでいく。


#日記 #エッセイ #和室

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