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静かなる熱狂が怖い

今日とある駅前に行った時、周りに人がたくさんいた。

普通なら今日が休日だから多いのだろうと思う。しかし彼らの様子は少し違っていた。彼らは歩いているわけでもなく道路の両端に巨大な行列のように並んでいた。そして全員無我夢中でスマートフォンの画面を見ていたのだ。

この光景には見覚えがある。それはGPSを使ったゲームのイベントだ。

今回は調べてみたところポケモンGOのようだったのでそれを使って説明すると、そもそもGPS系ゲームとはスマートフォンにあるGPS(位置情報)を使って楽しむゲームだ。ポケモンGOは世界中のスマートフォン越しで見る道なり風景にポケモンが存在するので、それをゲットして育てたり強くしたりすることができる。
そしてGPSを使ったゲームでは位置情報を使ったイベントというのが時々ある。簡単に言うと特定の時間、場所で普段姿をほとんど確認することができないキャラクターが出現するというやつだ。プレイヤーにとってはぜひゲットしておきたいという思いがあり、イベントのために遠路開催地まで駆けつけるという人も多い。

一時期自分もポケモンGOではないがImgress(ポケモンGOを使った会社が作ったゲームの一つでいわば前身にあたるゲーム)や駅を使った陣取りゲーム「駅メモ」といったゲームをやってきたので、見た雰囲気からおおよその予測はついた。しかし予想がついたところで自分が彼らにみた印象は一言で言うと「怖い」だった。

 彼らはゲームに熱狂しているはずだった。しかし彼らの表情は画面に夢中でゲームとしてはとても熱狂しているはずなのになんだかとても静かで表情がなかったように感じた。

たくさんの人の数に対して表情が少ないというギャップ、これが怖かったのだと思う。彼らは店に入るわけでもなく本当に道路の端っこでひたすらスマートフォンを構えて操作をしていただけだった。

ゲームもバーチャルなものであれば、熱狂の度合いもバーチャルのようなものになっていたように思う。そして彼らはイベントが終了したと思わしき時間になると自然に解散となってそれぞれの帰路についていった。

大規模なイベントでは去年秋の鳥取のように盛り上がったという事例があるのは分かっているが、熱狂までもがバーチャルになるのは少々寂しい。彼らを見てそんなことを思った。

#日記   #エッセイ   #ポケモンGO   #スマートフォン   #イベント

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