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「蔵暦二十五日」(ダキニの日)ツォクの、お知らせ ※終了(5/25)

本日(5/25)はチベット暦(蔵暦)三月二十五日。ダキニの御縁日です。

月4回のツォク・プジャ(ガナチャクラ)のうちの1日ですので、午後8時より「ユムカ・デチェン・ギェルモ」(巻頭写真の御尊像)の儀軌を厳修します。

今回も「記事購入」という形は取りませんが、サポートいただければ本日の供養に充てます。ダキニ達の智慧のご加護と加持がありますよう、お祈りします。

ダキニとは何かについては、以前に何度かnoteに記したことがありますが、ここではさらに一歩踏み込んだ説明をしたいと思います。

※参考記事: ダキニのツォクと、智慧


ダキニ(ダーキニー;荼吉尼・吒枳尼)とは女性の菩薩で、多くの場合、衆生と仏・菩薩との間をつなぐメッセンジャーとしてお働きになります。

密教行者にとっては修行の障害を取り除いてくださる存在で、魔の障害(魔障)が制圧されるまで、ダキニは忿怒の相で顕現をされます。チベット密教ではヴァジラヨーギニー(金剛瑜伽母)とも呼ばれます。

チベットの偉大な聖者の伝記では、ほとんどのケースにおいて、ダキニは重要な瞬間に現われます。その場合、出会うダキニは行者の固定概念に対する果敢なる挑戦を挑み、そして行者の心のエゴの殻を粉砕してくれるのです。

実をいうとダキニとは、証悟した空性の智慧を本尊として擬人化したものです。彼女たちは様々な形で現われます。あるときには「天空を舞う者」(スカイ・ダンサー)と呼ばれるのは、どこまでも続く青空のような空性において、正覚の境地へジャンプし、束縛されることのないダンスを舞うダンサー、そしてその明晰性の象徴だからです。

末法がどんどん加速するほど、私たち衆生の福徳は薄くなり、悪業は重くなり、修行の基盤は軟弱になります。そのため、修行をしても成就がますます難しくなります。しかしダキニの修行は成就を容易にしてくれます。

昔も今も、ダキニの行に長けると、遺体をこの世に留めずそのままダキニの清浄なる浄土に導かれるとされます。

また、おのれの中にダキニの「内なる浄土」を悟った行者は、現世に居ながらにして意識がダキニの浄土に留まることも可能となります。

ということで、ダキニを祀るというのは密教行者にとっては不可欠です。
そしてダキニの行は、行者として己の行を進めるために役立つというのが目的ではあります。ですが現世利益のダキニも召喚するなど、儀軌によってはバラエティに富むこともあります。今回もバラエティあふれる五部のダキニを召喚しての儀軌となります。

(5/26 追記)
午後8時に開始しましたダキニの御縁日のツォク法要が、10時半に円満に終わりました。開始直前のアナウンスにも関わらず、ご賛同いただきありがとうございました。

ツォク法要にて皆さまの息災とご先祖様・冤親債主への廻向をしました。
また皆さまにダキニたちの智慧の加持がありますよう、祈念しました。

今回も寺院に赴いての共修となりました(儀軌の準備などが複雑なので)。サポートの一部は、お寺に寄進させていただきました。


ダキニの御縁日ということもあり、チベットの先生ケンポから大明母・大孔雀母(孔雀明王)の短い成就法サーダナを伝授していただきました。古訳ニンマの大学匠ジャムグン・ミパム(1846-1912)の書かれた成就法で、コンパクトにまとまっています。

チベットにおける孔雀明王は女尊(仏母)で、特に「解毒」に効験があるとされます。せっかくのご縁ですので、しばらくはこちらの行に専念したいと思います。

「解毒」といえば古代では蛇や虫の毒、植物の誤食、鉱物中毒などでしょうが、現代では酒や市販薬、環境汚染物質、食品添加物からくる「毒」も範疇に入るのでしょうか。

私たちの肝臓はそれらを体内で解毒してくれる臓器ですが、そうすると大孔雀母の真言は、肝機能の強化にもなるのでしょうか?

そんな疑問がいろいろと浮かびますが、行をしていくうちに答えも見いだせるでしょう。


5月30日(月)は新月にあたります。そして翌5月31日からいよいよ「サカダワ月」に突入します。チベットでは善業も悪業も何万倍にも膨れ上がるとされる月間のため、善をなし、悪を慎むことが奨励されます。特にサカダワ月の期間は、五体投地などの行をひたすら積むケースが多いです。また寺社に喜捨したり、貧しい人に施しをすることも奨励されます。

5月30日の新月の日のツォクにつきましては、またnoteにてお知らせいたします。

関連記事:2022年4月~6月の、行事予定

ステイ先のお家の玄関にとまる、孔雀。南インドにて。撮影:気吹乃宮


サポートは、気吹乃宮の御祭神および御本尊への御供物や供養に充てさせていただきます。またツォク供養や個別の祈願のときも、こちらをご利用ください。