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【文字迷宮】ニーチェ「ツァラトゥストラ」(上)(読書記録)

ニーチェが好き!
と言っても、哲学のなんたるかなど理解していないので、何かそれっぽい凄いことを語れるわけではないのですが笑

高校生の頃、「この人を見よ」から始まり、「ツァラトゥストラ」「善悪の彼岸」などの有名どころを読んで
「おぉ、ニーチェ好き」
と思っていました。
「どこが」と問われるとうまく言えないのですが。

それからうん十年。。
時折発売されるニーチェの言葉のエッセンスを切り取った名言集に違和感があり。箱に綺麗に並べられた言葉たちは「哲学者の言葉然」としていますが、私の好きだったニーチェではないんだよなぁ、、と。
そこで図書館の閉架書庫からおもーいニーチェ全集を1巻から借りて読んでいましたが、たまたま私が高校生の時に読んだちくま学芸文庫版の「ツァラトゥストラ」を見つけたので、年代を飛ばしてこちらを読んでみました。

青年期の輝き、世界に美しさを見ていた頃からの落差💦

「人間や社会の醜さに辟易している天才の苦悩」
といったところでしょうか。

ニーチェが晩年、精神を大きく病んだことを思うと、「完璧な美の追求」や(色々な意味での)「潔癖さ」って、時に自らの精神を蝕んでしまうようにも思えます。

清濁併せ呑むって大切だな、なんて思ったり。
人も、世界も、そして自分自身も、「理想的で完璧な美」には成り得ないですから。

「ツァラトゥストラ」を久しぶりに読んで、高校生の時に好きだった自分の気持ちも思い出しますが、ニーチェに「辛かったね、吐き出していいんだよ」なんて言いたくなったりしてしまいました笑

【心に残る言葉たち】
訳:吉沢伝三郎

ツァラトゥストラは変わった。
ツァラトゥストラは子供になった。
ツァラトゥストラは一人の覚醒せる者である。
いまやきみは、眠っている者たちのもとで、何をしようとするのか?
海の中で生きるように、君は孤独の中で生きた。
そして海が君を運んだ。
災いなるかな、君は陸に上がろうとするのか?
災いなるかな、君は君の身体を自分で引きずって行こうとするのか?


もはや彼らに対して腕を振り上げるな! 
彼らは数えきれないほどいる。
そして、ハエたたきになることは、きみの運命ではないのだ。
のがれよ、わが友よ、きみの孤独のなかへ。
わたしは、きみが毒バエどもによってさんざん刺されているのを見るのだ。
かしこへのがれよ、荒々しい強い風の吹くところへ!
おまえはいつの日にも、すべての墓を突き破って出て来たのだ!
おまえのなかには、わが青春の〔希望〕
あの救済されなかったものもまた、今なお生きている。
かくて、おまえは、生として、また青春として、希望をいだきながら、
ここなる、黄色い、墓の廃墟の上に座っている。
そうだ、今なお、おまえはわたしにとって、
一切の墓の粉砕者なのだ。
すこやかであれ、私の意思よ! 
そして、数々の墓があるところにのみ、諸々の復活がある。
≪ああ、溺れ死ぬことのできるような海は、どこに残されているのか≫
このように、われわれの嘆きは響く
ーー浅い沼また沼を超えて。
まことに、われわれは死ぬにはあまりにも倦み疲れた。
さあ、われわれはなお目覚めたままで、生き続けよう
ーー墓穴のなかで!

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