『魔改造の夜』と我が子

小学一年生の我が子が月に一度、熱狂しながら見ている番組がある。

NHKで毎月最終木曜日に放送されている『魔改造の夜』である。

ご存知ない方に紹介すると、『魔改造の夜』とは、おもちゃや家電といった身の回りの製品を一流の技術者たちが”魔改造”してその技術力を競うエンタメ番組である。

初めて放送されたのは2020年。
第一回「トースター高跳び」を見た時の衝撃は計り知れないものだった。パンを焼いて跳ね上げる、ポップアップトースターの機能を魔改造し、”トーストを美味しく焼いたうえでどれだけ高く打ち上げられるか”を競うというのだ。参加チームも、T大工学部(東京大学工学部)、H野製作所(浜野製作所)、T社(トヨタ自動車)とそうそうたる顔ぶれ。なお、「技術者たちが夜な夜なこっそり集まって開いている夜会」というコンセプトのため、どのチームも正式名称ではなくイニシャル表記での参加となる。(といっても企業ロゴや会社の看板なども堂々と映るので、本気で隠す気ではなくあくまでそういった雰囲気作りである)
限られた日程と予算のなか、ふざけたお題に真っ向から取り組む技術者たちの姿は、ドキュメンタリーとしても素晴らしい見応えである。試行錯誤を繰り返し、苦しみつつもどこか楽しそうなその姿に、本当に「ものづくり」が好きなのだという熱意が感じられ、見ているうちに応援したくなってしまう。そしていざ試技となると、ついつい拳を握りしめて「どうか成功してくれ!」と祈るように見てしまうのである。
成功してトーストを高々と打ち上げたチームもあれば、うまくいかずトーストが地に叩きつけられるチームもあった。(何を言っているのかという感じだが、大真面目である)
ドラマチックで、感動的で、時に悔しさや切なさも残る、実に心揺さぶられる番組だった。

その後も不定期に放送されるたびに見ていたが、今年から放送枠がNHK総合に移り、ついに月に1回のレギュラー番組となった。

相変わらずのふざけた無理難題に果敢に挑戦する技術者たちの姿は、いつも魅力的だ。世界規模の有名企業、地方企業、時に高専など組織の規模は様々だが、皆が同じ土俵に立って勝負し、お互いの発想や技術に驚き、勝っても負けても健闘を称え合う。最後の余韻はいつもどこか温かい。
私の大好きな番組である。


さて、我が子の話である。
初回放送の頃はまだ小さかったのと放送時間も遅めだったため見せてはいなかったのだが、NHK総合での放送開始にあたり、一緒に見てみたところ、驚くほど盛り上がってしまった。以来、放送がある日は必ず見たいというようになったので一緒に見ている。番組が終わればもう寝なくてはいけない時間になるので、この日ばかりは早めに風呂を済ませてしまってからテレビを見るのが恒例だ。

私も手に汗握りながら見ているが、我が子はもっと情熱的だ。試技の前にはドキドキしすぎてうろうろしてしまうし、成功すると飛び跳ねて大喜び。記録が出せず泣いているチームがあれば一緒に泣く。
先日の放送「ホームベーカリーパン大食い競争」ではお気に入りのマシン「べいかりあす」が健闘しながらも勝てなかったことにしばらく大泣きしていた。べいかりあす、可愛かったよね。
もともと工作やものづくりが大好きな子なので、作っている最中の様子もとても興味深く見ている。技術者たちが試行錯誤する様は、我が子の好奇心を大いに刺激してくれるようだ。

そんなこんなで、月に一度の木曜夜は実に賑やかだ。
とても魅力的な番組なので皆ぜひ一度見てほしい。
次回は「カメレオンちゃんダーツ」だそうです。


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