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名前に宿るその人の雰囲気

「今まで、どんなあだ名をつけられてきましたか?」

少し間があってから、恥ずかしそうにAちゃんは1つ答えた。しゃべる前に少しの間が空くのはAちゃんの癖だ。頭の中でまとめてから話すため、人よりちょっと遅れる。

恥ずかしそうに答えた理由が、あまり可愛らしいあだ名ではないからだそう。「大学時代のバイトメンバーが呼び出したんですけど、全然可愛くなくて。でも、“あだ名がつく=愛されてる”ってイメージが強くて嬉しかったんです。あだ名があるだけでみんな気軽に呼んでくれるし」とAちゃん。

けれど、そのあだ名はバイトメンバーに限られているとのこと。一番多いのはやっぱり苗字か、下の名前だそう。ライターネームで別の名前を考えなかったんですか? と聞くと、「不安でできなかった」と言う。

「せっかくだから違う名前にしてもよかったけれど、そうすると自分じゃなくなってしまうような気がして勇気が出ませんでした。それに、本名を伝えないことで本当の自分を隠しているような気持ちにもなってしまったんです」

会話をしながら、考えた。隠すのではなく、違う自分になってしまってもよかったのかな? と思う。Aちゃんの言う通り、名前が変わるとその人の運命も変わる。別ネームで仕事しているある人は、「新しい名前をもらってからずいぶんとやわらかい雰囲気になった」とも聞く。

だから、Aちゃんが恐れていた“自分ではなくなってしまうような感覚”はきっと本物だ。けれど“自分じゃなくなる”というよりは、「新しい一面が開拓される」に近いような気がする。今まで見せていた部分ではない、新しい自分の一面を見せていく。きっとギャップもあるし、過去の自分(の名前)を知られていると思うと恥ずかしくなる時があるだろう。

日々ぽこぽこ発生しているコミュニティ、容認が進む副業。人が関わる場面は、とても多面的に広がってきている。

その時に、どんなイメージになりたいか、で名前を変えて生きていくこと、名前を付けなおしてしまうこと。今はそれくらいフランクに考えても、特に問題ないんだろうなぁ。

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