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ちょっと後悔した話

うちわ太鼓を叩きながら、「南無阿弥陀仏」を唱えて3時間練り歩く“お勤め”をしたことがある。朝6時にお寺を出発し、日が昇ったお寺までの帰り道には熱さとうちわ太鼓の重さにふらふらになった。汗はひっきりなしに出てきてしまうので、汗をぬぐうその動作さえも頻繁で疲れてしまうほど。

お寺についた瞬間崩れるように倒れ、残りのお勤めが出来なかったことを、いまでも少し悔しく思っている。倒れて目をつぶった時のお坊さんのうちわ太鼓の音や、ここちよく感じる生暖かい風、あぁ、あと少しだったのに。そんな気持ちでいっぱいだった。


そんな話を友達にすると、「すごいねぇ」とおばあちゃんみたいな驚き方でほめてくれた。そして、「最後に心残りがあることも含めて、いい話だね」と言ってくれたのだった。

できるならポジティブな感情だけで生きていたい。後悔はできるだけしたくないし、悲しんだり、つらくなったりするのも避けて通りたい。けれどもひとつの出来事に対してそういった感情が乗るからこそ、忘れられない場面ができるのも事実だと思う。

ネパールでは、やり遂げられるか不安だったし、歩いている時はつらくて死ぬと思ったし、倒れている時は悔しさでいっぱいだった。けれどもそんな、新しいことをやっているのが、かなり楽しかった。

そんなふうに、感情が大きく揺れた経験がある。少し未練を残した体験がある。多分それは、死ぬまで忘れられなさそうだなぁ。

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