見出し画像

蒸し器って『セイロ』以外もあるの??

三保原屋本店は静岡の家庭用専門店。創業は1687年といわれています。
今回は、お店で質問を受けることが多い"蒸し器"について。

【こんな方へ!】

●蒸し料理をしたいなーーと思ったときに、セイロの値段を見てビックリしたことがある!
●蒸し器を、どこで探していいか分からない。
●そもそも蒸し器にも大きな分類ってあるのか分からない。
に、読んでいただくといいかもしれません。

そして、国産の中華セイロの製造実態(製造しているメーカーさんが残り1社)について、ご興味を持っていただけると幸いです。

『どんな料理をしますか??』

どんな料理をするか??で、蒸し器に求められる大きさや強度が変わることがあります。
たとえば、↓このように土鍋で蒸し料理をすることもできます。

本当は、料理をするモノや量、収納、ご予算を含めて選ぶものが絞られるのですが、ここでは広く選択肢を記載します。
(国産の中華セイロをイメージされる方が多いのですが、もし、蒸し料理の習慣がない方であれば、もっとライトなものを探してもいいかもしれません。)

蒸し調理器具の選択肢

蒸し器のチョイスについて、以下の順番でお伝えすることが多い印象です。

大きく選択肢を分けるのであれば
簡単に蒸せる道具
木のセイロ
ステンレスの蒸し器
④意外な選択肢、土鍋
他商品との組み合わせ
という方法があります。

①簡単に蒸せる道具

蒸し料理は、
・下でお湯を沸かして
→鍋の底面から高さをつくる
・蒸気で蒸す
→網のようになっていればOK
という性質があります。

そこで、一番簡単な方法は、ご自身がもっている鍋・フライパンに、
・蒸し料理ができる道具を置き
・蓋をして
蒸し料理をするという方法です。
耐熱などに問題がなければ色々な道具で試していただくのもいいかもしれません。

具体的にこんな道具たちがあります。

広げるとサイズが変わるタイプ(部品があるので故障することがある)
底に足がついていて、サイズが固定されているタイプ(故障しにくい)

【メリット・デメリット】

基本的には簡単な蒸し料理に向いている道具です。
【メリット】
・比較的安価で収納の問題が少ない
【デメリット】
・高さが出せないのでお水を入れる量が限られる

ハードルが低いというのはとても魅力的だと思います。

②木のセイロ

お客様がイメージしやすいのが木のセイロ
厳密にいえば、中華セイロと和セイロがあります。
また中華セイロは国産と外国産で値段や耐久性に差がでます。

木の香りが魅力的で、金属に比べれば蒸気が適度に抜けてくれるので、食材がビチャビチャしにくい特徴があります。

中華セイロ(国産)

木曽でつくられるヒノキのセイロ。
適切な蒸し板があれば、
・専用の鍋がなくても利用することができる
・セイロがコゲにくくなる
といったメリットがあります。

以下は、蒸し板をセットした両手鍋のイメージです。

国産の中華セイロとしては、作家さんをのぞき、企業として製造されている会社としては、私が確認できる範囲では、残り1社になったと聞いています。
90分程度の連続利用にも耐えられる耐久性があります。

価格帯が高くなり、取り扱いに関する知識も必要なので、
「どうしても国産中華セイロ使いたい!」
「他の蒸し道具は既に使ってて、蒸し料理頻度も高い!」

という方は、色々なお店で店頭スタッフに質問してみるといいと思います。

中華セイロ(外国産)

写真左が中国産で杉。写真右が国産ひのき。
写真左のタイプは、スギや竹でつくられたセイロが多く見受けられます。
厚みが薄く30分以内の蒸し料理が可能です。
耐久性は低いのですが、国産に比べれば安価でスタートしやすい面があります。

和セイロ

こちらは秋田の曲げわっぱメーカーがつくられたもの。
おこわで利用される方が多いイメージです。

【メリット・デメリット】

【メリット】
・一度使ってみたい!という気持ちが強い商品。
・金属に比べて香りがよく、べちゃべちゃになりにくい。
・食卓にそのまま出しても感じ良い。

【デメリット】
・天然素材なのでコゲたり、場合によりカビ・割れが発生することがある
・耐久性が高いものは高価になりやすい(厚みがあると良い)

③金属の蒸し器

・大きいモノ
・見た目が可愛いモノ
が目立つ商品ですが、それ以外の提案もある商品です。

天然素材のように扱いを気にしなくてよいので、ガンガンと使うことが出来ますが、蒸気が逃げないので水っぽい仕上がりになることがあります。(茶碗蒸しなどは気になりませんが。)

上下に分かれるものが多いのですが、下の鍋はお湯を沸かす程度の構造になっているので薄くて軽い鍋が多く見受けられます。

大きいモノ

いわゆる角蒸しを三保原屋でも取り扱っています。
収納さえ許せば、なんでも蒸せるのが嬉しいです。

小さいモノ

量が問題なければ、軽くて収納にも便利。
アイザワさんの蒸し器がとても人気があります。

多目的利用

ある程度厚みのあるので、煮込み料理もOK

ご存じない方もいらっしゃいますが、実は鍋にも選び方があります。
蒸し鍋としての収納が大変な方は、多目的に利用できる蒸し鍋がオススメです。

鍋の厚み(重さ)で得意料理が変わるのですが、厚いもの(重いもの)は、蓄熱性に優れ、煮込み料理が得意です。サイズにより揚げ物にもご利用いただけます。

重いので洗う・しまうのが大変というデメリットが気にならなければ、コゲたときも洗うのが楽なのは、厚み(重さ)のあるお鍋です。

特に蒸し料理以外にも、煮込み料理などにも使いたい!という方には、多層鋼の蒸し器がオススメ。
お湯を沸かす部分にも厚みがあり、煮込みに向いています。
万が一、料理を焦がした場合でも、コゲを比較的ラクに落とすことができます。

【メリット・デメリット】

【メリット】
・壊れずに丈夫(空焚き厳禁)
・サイズや種類が比較的豊富

【デメリット】
・少し水っぽくなることがある
・卓上にそのまま持って行きたい方にとって、絵が弱くなることがある

④土鍋

実はスノコ付きで販売している土鍋は蒸し料理器として使うことができます。

土鍋は重たいのですが、そのぶん、蓄熱性が高いのが特徴。
一度に蒸せる量が少なくても、土鍋が温まってしまえば、蒸し料理を連続して楽しむことができます。
(土鍋が温まっていれば、5分程度で野菜も蒸すことができます。)

また、蒸し料理後、下に落ちた野菜や肉の出汁で、〆の雑炊やうどんを楽しむこともできます。
その日に召し上がられない場合は、金属の鍋に移して、次の日のお味噌汁でも利用することができます。

【メリット・デメリット】

【メリット】
・兼用の道具ができると収納がラクになる
・エンタメ感が強く、〆料理まで楽しめる

【デメリット】
・重たく、割れ物であること
・ものにより高価なものが存在する
・IH利用不可

⑤他商品を組み合わせる

先日接客をさせていただいたお客様からのアイディアで面白かったのが、
・千寿鍋やステンレスの鍋
・レミパンのセイロ部品
のセット利用。

現場でしか合わせることができません

絵として面白いですし、案外蓋の相性が良かったです。
(アルミの千寿鍋はIH利用不可ですが、同じような形のステンレスの鍋でもいけそうでした。)

正直、提案として最適解かどうかの判断はお客様に委ねられるのですが、
●料理の蒸し時間・量
●道具への予算
●好きなテイストの有無
●既存道具の利用度(収納性)
などで、一緒に選ぶ形になります。

これは売場で直接合わせるしかないのですが、色々な思惑がハマると嬉しい瞬間です。

【メリット・デメリット】

【メリット】
・道具を兼用できると収納がラクになる
・うまくいけば安価に収まる

【デメリット】
・本体と蓋との相性が現場あわせ
・探すのに時間がかかるなど

蒸し料理の楽しさ


個人的な意見ですが
季節や旅行先にあわせて美味しそうな野菜を買って帰れば、献立を考えなくてもいいのは蒸し料理の良さ。
なによりも美味しく食事ができるのは嬉しいですよね。

収納場所や、ガス・IHの問題などもあるので、是非三保原屋に限らず色々なお店で商品を見ていただければ幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?