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日常を非日常にする方法〜その1

「あぁ〜いい匂いだねぇ〜!」

久しぶりにトマトらしい青っぽい匂いを嗅いだ。

実家の屋上で、パパと一緒にジューシーなミニトマトを収穫していたとき、
突然、頭の上にちょうちょの影を感じた。
上を見あげる。

「ナミアゲハだ!」

ひらひらと気持ちよさそうに風に舞いながら、まぶしいくらい真っ白なパパのTシャツに、とまる。

「わあ!パパ、すごい!」

微動たりともしないように、パパはじっと立ったまま、あいくるしいちょうちょを眺めている。パパのことがだいすきで離れたくない、と言っているように、しばらくそのままくっついていた。

そのとき、パパが話してくれた。おじいちゃんが亡くなる前に書き残したお手紙のことを。

「私が死んだら体は土に埋められこの体は雨や露にやがて消えてなくなるでしょう。
けれども私の魂はあの蛹から美しい蝶がかへって大空にひらひらと飛び立つ如く魂の世界へと行く事でしょう。
魂は永久に亡びないのです。」

おじいちゃんは、パパが12歳のときに胃がんで亡くなってしまったため、わたしは1度も逢ったことがない。ただ、実家に住んでいるときに毎朝毎晩お祈りしていた20才くらいの凛々しい顔のおじいちゃんの写真1枚イメージだけが、脳裏に焼き付いているだけだ。

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「みてみてー!」

小さい頃からの口癖だった。昔から好奇心旺盛なコで、あらゆる生き物に興味を持っていた。
ありんこ、あまがえる、バッタ、ザリガニ、かなぶん、メダカや金魚、指にとまってくれるトンボたち、モンシロチョウ、ヤモリちゃん、スズメやツバメの赤ちゃん、高知までサナギを持っていて飛ばしたオオスカシバ、巣から落ちてしまったカワラヒワを拾い、16年も一緒に過ごしたり、自然に触れながら、想い出いっぱいの子供時代を過ごした。

ナミアゲハとの出逢いは、パパが借りていた畑にあったサンショの木だった。

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鳥のうんちにしか見えない幼虫を目の前に、すごく不思議だったのを覚えている。ナミアゲハの天敵は、カマキリ、寄生バチ、あしながバチ、そして鳥など、残念ながらいっぱいいる。なんと100個の卵のうち、ちょうちょになることができるのは、0.2しかいない。ということは、100個中、ひとりが飛び立つ確率、1にも満たないのだ。

アメリカで環境マネージメントを勉強したこともあり、地球を守りたい気持ちから、ちょうちょを守りたいと思うようになった。激減してしまったハチを守るほうが先決なのかもしれないけれど、それはプロに任せよう。アメリカから帰国してからだいすきなちょうちょを育て始めた。

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ちょうちょを育てるのは、とても簡単だ。よく訊かれるので、ここに紹介しておこう。

みかんやレモンを食べた後、ふっくら生命力がありそうな種を見つけるたびに、植えてみる。すると、あいくるしい芽が出て、おいしそうな若葉がどんどん育つ。ちょうちょの母親は、すごい才能がある。前脚でトントンと葉を叩くことで、味を確かめているという。この「ドラミング」をすることで、ジューシーで美味な葉を、生まれてくる赤ちゃんのために選ぶことができるのだ!もう自分は花の蜜しか食べていないのに、前脚が覚えているのか?たま〜に間違ってバジルの葉っぱや、鉢に産んでしまうおっちょこちょいのママがいたり、ひとつの葉っぱに3つも産んでしまう怠け者のママもいるが。けれども、ほとんどのママは、木々の周りを何度もぐるりと飛びながら、子どもたちが喜んで美味しく食べれるような完璧な葉っぱを慎重に選ぶ。たくさんの種類の木々から、柑橘類の葉っぱを探すだけでもすごい能力なのに(人間の目でさえ訓練がいる)、その上、脚先で完璧な葉っぱを選ぶとは、脱帽してしまう。

卵から「うんちくん」(うちでのあだ名)になり、何度も脱皮して、ビロードのようなスムースな肌を持つ、愛嬌あるアオムシくんになる。大きな眼に見えるのは、うそっこで、本当のおめめは、小さな点、単眼が左右6個ずつ両側にある。むしゃむしゃと栄養いっぱいの葉っぱをたくさん食べて、プクプクのあいくるしいアオムシに育つ。

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ある日、こんなに速く歩けるのか!と驚くほどのすごいスピードで突然歩き出し、さなぎになるために、安全で落ち着く心地良い場所を探す旅に出る。うちの親は、わたしが遠いニューヨークまで行ってしまったことから、自分の育った木でそのままさなぎになるアオムシを見ると、「親孝行でいいわねー!」とよく言っていた。パパママ、心配かけてごめんなさい!(笑)1番遠出をしたアオムシは、実家の4階から1階まで行ったコだ。わたしに似て、飛び回らないと気が済まないコだ。

蝶々を育てて、気づかされたことは沢山ある。例えば、彼らは、自分の卵の殻も、脱皮した殻も、栄養として食べてしまうことだ。ちょうちょの世界には無駄はひとつもない。半年もずっとちょうちょを守って来た柔軟で頑丈なさなぎの殻でさえ、旅立った後は、カラカラと音を立てて風になびくほど、か弱くなり、自然に返ってゆく。人間以外の生命は、すごい進化を経て、地球と仲良く今まで生きて来ている。

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持続可能性や消費について研究している学者 Annie Leonardは言った。
"There is no such thing as “away.”
When we throw anything away, it must go somewhere."


地球上で、”away”という場所はない。物を捨てるときには、地球上のどこかへ行かなければならない。つまり、ごみを捨てる場所などないわけだ。

昆虫の世界には、まったく無駄がない。人間だけが土に戻らないものをたくさん作ってしまった。

できるだけ自然と調和しながら暮らしてゆきたい。

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パパの背中を見て育ったわたしは、今年、ナミアゲハが沢山舞う畑を借りることにした。ちょうちょに見守られながら、トマトやお茄子、小玉スイカたちが、すくすく育ってゆく。自給自足の生活は夢だ。

アメリカ人の友人 Billが "You have a green thumb."とInstagramに先日コメントしてくれた。緑色の親指?!調べてみたら、natural talent for growing plants、植物を育てる才能、と言う意味。なるほど〜!Thank YOU, Bill! Green thumbはパパ譲りに違いない。

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自然に囲まれると気持ちが優しくなれる。

なんてしあわせなんだろう。

Being close to nature just makes you feel so gooooood inside and out. Let’s create some moments to be close to nature, talking to your plants🌿 , smiling at butterflies🦋 , say hello to some birds! 🐧 💕

自然と触れあうと、こころもからだもしあわせになる。植物に話しかけたり🌱、ちょうちょにスマイルしたり🦋、鳥たちが目の前にいたら、Hellooo! って挨拶したり〜🐦

そういう瞬間たちを大切にしたい。

Make your ordinary day extraordinary🦋  

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今までに390人の蝶々を育てた。

こんなに蝶々に惹かれるのは、きっとおじいちゃんとつながっているからかもしれない。

おじいちゃんの声が聴こえる。

「蝶々になって見守っているからね」
I’ll be the butterfly, watching over you.

いろんなことに気づかせてくれて、ありがとう。

いつも見守ってくれて、ありがとう。


※ 畑を借りようと思いついたときに、色々検索してみた。結果、無農薬、そして沢山の農園を持っている中から自分に合った畑を選べる「シェア畑」を選んだ。手ぶらで行けるし、アドバイザーもいらっしゃるから、なんでも聞けて大満足♡
https://www.sharebatake.com

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Mihoko Love 🦋

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