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パブリックコメントは本来議員が受けるものよ、というご指摘から

今回の定例会では、パブリックコメントや審議会の運営に問題があるとの多くのご指摘を受けました。しかし、これとは逆に「本来、パブリックコメントを受けるべきは議員の役割ではないか」というご指摘もいただいています。私は後者のご意見に賛同しており、その理由をまとめてみました。
市が実施するパブリックコメント手続きを実施する工程は、政策形成過程の後半の工程になるので、もっと柔らかい構想段階で提案できる議員が前さばきをすべきという主張です。


まずは歴史的背景から

地方分権の流れから、自分のまちのことは自分たちで(国が決めるのではなく)決められるようになりました。市民の参加について、流山市では積極的に多様な参加手段を提供しています。

詳細を知りたい方は、自治基本条例市民参加条例議会基本条例をご覧ください。

パブリックコメントとは何でしょうか?

では、議会で問題視されているパブリックコメントは、何を目的とし、どのように運用されているのでしょうか?
一般的に、パブリックコメントは政策や計画を策定する過程で、市民からの意見や提案を募集する制度です。流山市では、市民参加条例に基づいて実施方法が定められており、流山市におけるパブリックコメントの具体的な情報は「こちら」で確認することができます。

市民がこれほど多くの声を上げているのに、市はなぜそれを聞き入れないのでしょう?

先日の議会では、とある議員からこのような指摘があがり、市長からは以下の答弁がありました。この様子はYouTubeでご覧いただけます「こちら」。

【市長から】
パブリックコメントはアンケート調査や世論調査とは異なり、声の多さに基づいて重要度を決定したり、再度チェックを行う性質のものではありません。これは、政策に対する意見や修正提案を求める機会であり「こういった点をより配慮して欲しい」や「〇〇という表現は誤解を招くため、修正して欲しい」など、数は少なくても重要な意見をいただき、それに基づいて修正を行った例もあります。

要は、抜本的に政策を見直す制度ではないよ、ということを答えられています。
現在のパブリックコメントの運用の多くは、
市は審議会(協議会)に諮問し、
議論をへて答申案をまとめ、
答申案をもとに市の方針を決めてから
パブリックコメントを出す手順です。
よって、パブリックコメントは政策形成過程のかなり後の段階に当たります

パブリックコメントによって抜本的な方針が変われば、これまで時間をかけたコスト分が無駄ということになってしまうので、なかなか市はそれを選択しないと思います
効率的に政策に反映させたいのであれば、政策形成過程の早い段階(構想段階)で、市政の流れや課題を理解している議員にサポートしてもらって声をあげることです。これは議員がパイプ役と言われる理由です。

パブリックコメントの目的と課題は?議員が果たすべき役割は?

パブリックコメントの運用にはいくつかの課題が伴うといわれています。
目的と課題に対応し、パイプ役として議員が有効に働く場合の可能性について記してみました。

①市民参加の促進と専門知識の不足

市民が政策形成過程に参加し、意見を述べる機会を提供することで、民主主義の実践としての市民参加を促進できる一方で、市民が専門的な議題について十分な知識を持っていない場合、そのフィードバックの質や有効性が問題になることもあるといわれています。

例えば、、法律上、権限がない、(国や県の仕事などで)所掌が明らかに異なる、これまでの政策との整合性が無さ過ぎる、お金がかかりすぎるなど、制約条件の認識がずれていて、いくら提案をしても叶いにくい場合などです。
議員が出来ることは、政策形成過程の早い段階で、制約条件を市から引き出したり、自分で調査をして議会で取り上げたり、その結果を市民にフィードバックするなどして、市民がより良い提案をあげられるようサポートすることです。

②多様な意見の収集と意見の偏り

広範な市民からのフィードバックを通じて、政策に関する多様な視点や専門知識を取り入れられる一方、特定の利害関係者や声の大きいグループからの意見が過剰に反映される傾向にあり、真の多様性や公平性が確保されないことがあります。

例えば・・ある人権擁護団体からの要望が極端で、他の方の人権を阻害しまったりする場合などです。あるいは、自治会加入率の低迷などの地域によって課題が異なるものについては、特定の地域に効果的な政策を全市でけん引してしまうなどのケースも考えられます。
議員が出来ることは、利害相反しそうな各団体について先に情報収集したり、他の議員と意見交換し、俯瞰的な情報としてまとめ、市民の方々にその情報を提供して策を一緒に考えることです。
あっちをたてればこっちがたたずではなく、win-winの状態を整理することです。

③政策の質の向上と実施の一貫性と効果の測定

市民からの意見を反映させることで、より現実的で実効性のある政策の策定が可能になる一方で、その効果を測定する明確な基準がない場合も存在します。

例えば・・市民の方々が現場で感じている課題を直接解決する提案であっても、何を達成したら成功とするのかの成果指標がなく、明らかにうまくいっていない事業でもずるずる継続してしまう場合があります。しかし事業の責任を持つのは市で、市民ではありません。
議員が出来ることは、市の方向性や課題について市民に共有し、市民が現場で感じている課題を、市の政策課題の中で整理し、より良い提案を考えることです。その際、評価指標や撤退基準なども意見交換しておくことも有意義です。

④透明性の確保と情報の不均衡

政策形成プロセスを公開し、市民に情報を提供することで、行政政策の透明性を高められる一方、すべての市民がパブリックコメントの存在や参加方法について知っているわけではなく、情報の不均等が参加の障壁になることがあります。

例えば、今、議会で話題になっているテーマでも、私の周りの方々は知らないなどです。知らないものには意見出来ません。
議員が出来ることは、話題になっているテーマを、支援者や近しい人に投げかけたり、持論を発信し市民に情報を提供した上で、意見聴取しておくことが考えられます。市政報告会を開催したり、駅に立つのもいいですね。

日々市民の声を聞き、主張を整え、提案するのが議員(パブリックコメント聴衆機能)

この活動が、議員活動であり、パブリックコメントを聞いていることになります。(逆をいえば、この活動をしていない議員は、働いていないということに)。

そもそも、流山市の議会基本条例には、議員としてのありたい姿・行動指針が書いてあります。私はこの冒頭にある「附則」が好きです。私は議員になりたての頃、この附則を何度も読み返し、議員としてのあるべき姿、議会のあるべき姿を内省し、実践しようとしてきました。
現在、私が強くこだわっているのは、批判より実効性のある提案をすることであり、提案軸をまとめるために、市民の方々の主張を聞くという活動をすることです。

バラバラな主張をぶつけるだけでは行政を動かす要望にならない

経済が右肩あがりの時代には批判をすれば行政が動いたのかもしれませんが、今はそうではありません。単純な批判だけで市政が動くのであれば声の大きい人だけが得をする世の中を作ることになります。駄目です。
これからは限られた財源を有効活用し、より良い未来を作る必要があります。バラバラな主張をそのまま行政にぶつけるのではなく、その前捌きができる議員として活動できるよう、働いていきたいと思います。

p.s.
「あ、そんな議員いないよ・・・」という声が市民の皆様から聞こえそうですが、育ててくださいね、市民の皆様に主権があり、それを行使する投票権があります。

以前のnoteもご参照ください。「二元代表制を使い倒す」

https://note.com/mihokondoh/n/nc5280b75bfc0#64f62823-1c2e-4e61-8001-75f6aa0de76e


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