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深刻な教員不足に対応する策をどんどん推進しよう~!!外部講師を招き授業を実現する柏市第八小学校の取り組みを視察

外部の専門人材で英語授業を実現!柏市立第八小学校の取り組みを視察


日本では、2011年~5,6年生を対象に英語の学習が開始、2020年より3・4年生から必修化されました。柏市立第八小学校では外部の専門人材の方が中心となって1,2年生の授業が行われているという点で先進的なので視察に行ってきました。

目から、耳から、体を使って体感して、時には1対1のコミュニケーションを大切にして授業が展開されていました。民間で培われているノウハウが満載で、子ども達も、とても楽しんでいました^^。対象は小学校1、2年生。まだ机にじっと座っているのも難しい年齢のお子さんも多い中、こういうスタイルの授業は子ども達にもとってもストレスフリーでしょうし、外部の専門人材が中心となって(担任と連携して行う)授業スタイルも、非日常感があって子ども達にとってもいい刺激になりそうです。

英語の歌を歌いながら、英語を身体全体で感じる、子ども達が楽しそうっ!!

流山市も英語教育にはALT(Assistant Language Teacher(外国語指導助手))を中心に流山市独自の英語教育プログラムを作り、全校必要時間数以上を確保するなどをして力を入れているため「こちら」、英語教育で流山市が見劣りしていることはないのですが、人材確保の選択肢は柏市の方が充実しているように感じます(詳細調べます)。
児童・生徒数が増えており、また教員不足も深刻、特に産育休の代替教員の確保が急務ですので、機動的で柔軟な人員確保の仕組みづくりが重要でしょう

佐藤校長先生に話を伺う

視察後は佐藤校長先生に話を伺いました。以下特記事項を記します。

Q.外部専門人材を活用してみて、どうですか?


〇児童の状況をみて、本校では英語教育に力を入れることにした。1、2年生でも英語を楽しんでもらえる機会を増やそうということでご協力いただき、素晴らしい方に巡りあえてよかった。
〇外部講師のご紹介は(結果的に)地域の方経由で行えている。学校なので、誰でもOKと言うわけにはいかない。しかし学校と地域の信頼関係の延長線上で素敵な方との縁に恵まれた。
(⇒近藤私見:今後の教員不足を考えると、佐藤先生のような方でなくても、良質な人材確保が出来る仕組みの導入が必要そう)
〇外部講師は非常勤講師の予算枠で、生活・学活の授業枠で実現している。非常勤講師は、各学校の希望で決まっているが取り合いになるのが難点。現在年5回/1クラスの頻度だが、本来3倍は確保したいところ(枠や人材不足の課題)。
〇小学校低学年に対して実施する評価は拙速には求めておらず、3,4年生になった時の状況をみて判断する必要がある。しかし「りんご」の英単語を求めると受講していない学年は「アップル」であるのに対し、1,2年生は「アポ―」と発音。耳から学べる環境の有効性を実感しつつある
〇若い教員も増えている。外部の専門人材が授業に関わってくれることによって、自分のクラスの児童を俯瞰してみる機会になるし、ノウハウ吸収に役立っていると思う。

Q.大きな視点で学校が抱える課題をあげるとすれば何ですか?


〇学校に様々な役割が求められる中、担任が一人で抱えこまず、チームとして担任を支えられる環境づくりが重要。今ある選択肢をやりくりしているが、子どもの育ちに寄り添うおうと思ったら際限がない。その知恵をひねり出す余裕と体制が重要である。
〇一人ひとりに向き合う環境を実現するには、1クラスあたりの人数があまりにも多い(今後減る方向はありがたい)。教室環境が過密になると(コロナもある中)喧嘩、ストレスも多くなる。図工室などを利用して広い環境にと、やりくりしようとするが、ICT環境など現在求められる必要条件に届かず断念するなども、常に現場は試行錯誤である。
(⇒近藤私見:「他の学校もそうだと思うので文句は言えない」と、やりくりを頑張っておられました)
〇専門人材はありがたい。しかし担任が任せきりになり(教師によっては力がつかない)という別問題が発生する場合も。管理職としては、専門人材のスキルを習得する取り組み姿勢を促していくことが重要であり、チームとして教科を作ることが必要。

佐藤先生は大変なアイディアマンで、柏市が提供している支援・補助要員事業を駆使しながら、よりよい学校運営に努められていました。詳細は省きますが、これら工夫は外からは見えない所であり、ノウハウとして吸い上げ仕組み化出来ていないのがもったいないと感じます。

また、学校運営を支援するメニューは基礎自治体毎に異なるため、量と質ついては流山市とも比較したいと思っています。学校教育を充実させるために基礎自治体での努力も必要ですが、人員異動は千葉県下で行われるため、基礎自治体毎に労働環境があまりにも異なるのは考えものです。この辺りは、調査の上、もう少し考察していきたいと思います。

学校運営をサポートされる人材のメニュー(一覧)

日本の学校現場の問題

学校現場は慢性的な教師不足

現在、学校現場では教師不足で、産休・育休のピンチヒッターの担任すら見つからない、という状況に陥っています。特に、小学校の採用倍率は深刻で全国平均は約2.6倍まで下がりつつけています。

文部科学省 令和3年度(令和2年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況より

ちなみに千葉県に至っては約2.5倍と全国平均より下回っています「こちら」。

千葉県の2022年1月31日時点での状況は以下。

教師が安心して働ける環境整備が急務

深刻な状況を受け千葉県でも「教職員の働き方改革に係る意識等調査」を実施していますが「こちら」、まだまだ業務に多忙感を感じている教師が多いという状況です。

令和3年度「教職員の働き方改革に係る意識等調査」の結果について

文部科学省が2021年3月から教師の魅力を伝えるために始めたSNS上のプロジェクト「 #教師のバトン」では、意図に反して、教師の労働環境の深刻さが明らかになりました。国の理想論に対する現場の実態(ムリゲー)状態が明らかになった素晴らしい取り組みだと思います。

本来はもっと国で責任を持ってほしい所です。基礎自治体で出来ることは限られますが、教師が安心して働ける環境整備については、議会からも提案してきました(タイムカード(他議員が提案)、校務支援システム、スキットメール、部活動の外部化、スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフを導入)。先日6月議会でも、コロナ禍の中でのGIGAスクール化対応など、様々な対応を求められることから、スクールサポートスタッフの全校導入を求めました。

しかしながら、民間企業の働き改革の進捗に対し、学校現場は相対的に遅れてしまっているので「焼け石に水」感があります。
しかし、何もやらなければダダ下がり。こういった結果は毎年の積み上げが重要です。教員が働きやすい現実解をひねり出すため現場を調査し、声を上げる地方議員の役割も重要です。教育の質を担保するための策、ひねり出していきたい。

応援頂けると、他自治体への視察や研修費、専門家にアドバイスを求める、同じ思いを持つ議員さんに直接会いに行き対談する等、活動量を増やすことが出来ます。まっとうな政治を行うためのサポートよろしくお願いいたします。