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ゲスト紹介「常に自分の意思でなにかを選択しているんだ、という感覚を持って生きていってほしい」食と農を問い直す、GOBO平戸裕馬さん

10/19に迫った生き方見本市 SHIZUOKA
今回のテーマは「問い直す」

日々同じことの繰り返し。
なんとなく進路を選んだけれど、私がやりたいことって本当にこれなのかな。
大きな不満はないけれど、なんとなく、このままの生き方でいいのかな。
そんな人にこそ来て欲しいイベントです。

よくあるセミナーのように「唯一の正解」が教えられるわけではない。10名を超えるゲストの方と参加者が一緒になって対話し、様々な問いを通して、自分なりの答えを持ち帰る。そんな場になればと思っています。

さて、そんな生き方見本市 SHIZUOKA。
登壇してくれるゲストの方を少しだけ先取りで紹介したいと思います。

紹介するのは「食を問い直す」セッションのゲスト、GOBOの平戸裕馬さん。
大学時代に47都道府県の農家を100件以上周る中で”農業”への課題を持ち、農業の未来をつくる「学生団体いろり」を設立、現在は次世代の食と農を面白くする若手社会人集団「GOBOふくおか」副代表、「GOBO東京」事務局員を務めています。

今回は静岡県三島市出身、東京のまちづくり会社で人事をしている添田瑠璃が、平戸さんの理想の生き方、そして自分らしく生きていきたいと願う人たちへのメッセージを聞いてきました。

すこし、生き方見本市でつくりたい空気が伝わったらいいなあ。
長いけれど、よければ最後まで読んでみてください。

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素敵な人たちと共に生き、美しい瞬間を次々に手に入れていきたい
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添田:さっそくなのですが、平戸さんの理想の生き方を聞かせてもらってもいいですか・・・!

平戸:理想の生き方、、言語化すると2つあるんです。
1つは「素敵な人たちと共に生き、美しい瞬間を次々に手に入れていくこと」
大学時代、全国の農家さんをめぐって日本2周する中で、想いある農家さんや、食や農に熱い想いを持った同世代の仲間たち、たくさんの素敵な生き方をしている人たちに出会いました。

自分が好きな言葉に、吉本ばななのある小説の一節の「止めることのできない時間は惜しむためだけではなく、美しい瞬間を次々に手に入れるためにながれていく」という言葉があるんです。

自分がこれまでに出会ってきた、そしてこれから出会う素敵な人たちとともに生き、この小説の一節のように、彼らと共に美しい瞬間を次々に手に入れていきたい。
それが1つの理想の生き方です。

もう1つは「どや顔の自分で生きていきたい」ですね笑
自分、調子いい時ってドヤ顔になるんです。笑
何かに対して目標があって自信を持って向かっているときは特にそうかな。
調子よく、どや顔の自分で生きていきたいですね!

添田:平戸さんの思う美しい瞬間って、どんな瞬間なんですか・・・?

平戸:たくさんあります。
例えば、農作業した後に農家さんとお疲れって言いあって、山村の景色に囲まれて、囲炉裏を焚きながら、食を共にする瞬間とか、みんなで語らっている時間とか、旅の中で美しい景色に出会った瞬間とか。
あとは、自分、農水省の講堂で、大勢の前で農業に関する提言や思いを話させてもらったことがあるんですけど、「日本の農業盛り上げていこう!」という思いで会場が一体になった瞬間も、すごく美しいなと感じました。

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一人一人の「食の感動」をデザインしていきたい
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添田:そんな理想の生き方で生きていくために、これから30代、どういうことしていきたいな、と思ってますか。

平戸:実は今年の9月まで修行期間中で。会社の出向で、2年限定で経営の勉強として、ハウステンボスや伊豆の旅館の経営に携わってきました。
いろんな世界を見て、いろんな知見を深めてきたこの2年間。ここで感じたこと得たことをこれから先は農業に思い切り発揮していきたいと思っています。

添田:伊豆の旅館での経験はどうでしたか。

平戸:経営に携わってきたハウステンボスの飲食店や伊豆旅館に共通するのは「人を感動させる拠点」であるということ。この2年間、人の心が動く瞬間に何度か立ち会うことができました。経営のスキルアップはもちろんですが、”人はどうすれば感動してくれるのか”ということに向き合い、試行錯誤することができた2年間だったなあと思っています。
この経験を活かして、これからは、食を通した”感動”を作っていきたいと思っています。

感動ポイントは人それぞれ違うと思うんです。
なんのなしに食べたものがめちゃくちゃ美味しかったことに感動する人もいれば、その農作物に込められたストーリーに感動する人もいる。
その人その人が何に心動かされるのか。そんな一人一人の食の感動をどうデザインしていけるのかがとても大事だと感じています。

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やりたいことが見つからないのであれば「とにかく動け!」
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添田:自分らしい生き方に一歩踏み出そうとしている人に伝えたいメッセージはありますか。

平戸:2つあります。
まず、やりたいことが見つからないのであれば「とにかく動け!」と伝えたい。
自分自身、農家さんを巡った日本2周も初めの1歩があったわけで、初めに足を運んだ農家さんにめっちゃ感動したことで、他の農家さんのところにも足を運ぶようになった。そして気づいたら37都道府県訪れていて、それなら日本1周したい、と思って全都道府県を巡りました。
最初は「楽しい」という感情だけだったけれど、様々な農家さんに会いに行くことをひたすら続ける中で、農業の現実や課題も見えてきました。
311の原発事故で農地を失った人、集落を閉じることになった人たち、、日本を1周し終わって素敵な人たちに出会えた一方で、農家さんが涙ながらに話す場面にも何度か出会いました。

そんな中で、農業の現場をよくしていきたいと思いが芽生えたのが、自分の活動の始まりです。

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そこから、学生として日本で初めて政策提言して国の政策を変えたり、社会人になってからも、社会人だからこそできる農業の課題解決をしていこうとGOBOというネットワークに関わるようになったり。
1件の農家さんを訪ねた始めの一歩が、気づけば大きな「やりたいこと」になっていました。

全ては、まず一歩から。継続は力、月並みな言葉ではあるけれど、100回、200回、何かを続けていったら何か生まれると考えています。
もう一つ大事なのは、「自分がどう生きていきたいか」を自分に問い続けること。“自分らしい生き方”は探し続ける人にしか見つからないもの、問い続け、探し続けた人の元に降りてくるものだと思っています。

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まずは畑に行ってほしい!
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添田:食や農に関わりたい人へのメッセージをお願いします!

平戸:まずは畑に行ってほしい!
食ってドラマだと思っています。
誰がどうやって、どういう文化の中で、いつ収穫して、それを誰がどうやって選んで、誰が誰を思いながら料理したのか、、
一つ一つの食の裏にある、ドラマに触れてほしい。だからまずは畑に行ってほしいんです。

まずは、知り合いの農家さんのところに行ってみるでも良い、農家体験に飛び込むでも良い、もしツテがなければGOBOに飛び込んでみてもいいと思います。
まずは畑に行ってみて、と伝えたい。


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常に自分の意思でなにかを選択しているんだ、という感覚を持って生きていってほしい
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平戸:「ストーリー訴求」「映え」が溢れる時代。そんな中で、なんとなくストーリーがあるものや見栄えの良いものに価値があると感じて、なんとなくみんなが良いというものに流されてそれを享受する、そんな人も増えている気がします。
顔が見えるって良いよね、ストーリーの見える食って良いよね、と思考停止してしまい、気づけば”農家さんのストーリーを享受しているだけ、消費しているだけ”になっている人も多いのではないでしょうか。

僕は、ストーリーがあるから価値がある、ないから価値がないというわけではないと思っています。例えばコンビニご飯でもいい。その裏にも安定的な食料供給に貢献するんだという思いを持ってコンビニにお米を下ろしている農家さんがいて、彼らに安定してお金を支払って農家を支えている企業がいる。
そんな彼らもとても格好いいと思うんです。

大事なのは、みんなが良いというものを選ぶことではなく、一つ一つ、自分の意思を持って選択すること。
まずは目の前の日常の食事から。なんとなく、ではなく、常に自分の意思でなにかを選択しているんだ、という感覚を持って生きていってほしい、と思います。

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ー編集後記ー
自分の人生にもっと意思を通わせて生きる人を増やしたい。
自分の人生にもっと愛着を持って生きる人、自分の人生には価値があると信じられる人を増やしたい。

そんな思いを持ちながら採用やキャリアアドバイザーなど人のキャリアに関わる仕事をしている自分ですが、今回平間さんのお話を聞き、「食」って自分の人生に意思を通わせて生きること、自分らしい選択をして生きることへの身近な第一歩なのかもしれない、と感じました。

毎日3食を「なんでもいいや」「みんなと一緒でいいや」ではなく、自分で食べるものを選択し、食べる時間を大切にすることで、自分の人生ももう少し好きになれるんじゃないかな。
自分が食べる物に意思や思いや愛着を持つことが自分自身に対する愛にも繋がるんじゃないかな。

食べることは生きること。
食と向き合うことは人生と向き合うこと。

少し大げさかもしれないけれど、そんなことを感じたインタビューでした。

当日はぜひ直接平戸さんの口から、平戸さんの「食」やそこに繋がる生き方働き方の話を聞いてみてください。私も、当日のライブな空気感の中で、平戸さんからどんなお話が聞けるか、すごく楽しみです。

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インタビュアー: 添田瑠璃
1993年生まれ。静岡県三島市出身。ゆとり世代ど真ん中。
優等生タイプで「こうあらねば」と強く意識しながら、人の顔色を気にしながら生きてきた学生時代。大学3年生の時に地元熱海でのまちづくりの活動や全国のゲストハウスで、社会の「こうあるべき」に捉われずに生きる様々な大人の人に出会い「いい学校に入っていい会社に入る」だけが全てではない、自分の人生は自分で選択することができるのだ、社会の物差しでなく自分の物差しで生きることが幸せに繋がるのだ、と人生観が変わる。
そこから「まちづくり」「ひとづくり」に漠然と興味を持ち、コワーキングスペースのコミュニティマネージャーやブックカフェの企画立ち上げ、イベント企画運営などに携わった前職を経て、FoundingBaseにジョイン。自分の周りの人に「自分にとって何が大切かを知って、それを大切にできる選択ができる人生」を歩んで欲しい、という思いを持って、人事、キャリアアドバイザーとして奮闘中。。


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