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利用前からはじまるUXリサーチ @ BUSINESS&CREATIVE

NIJIBOX社主催のBUSINESS & CREATIVEに登壇させていただきました。今回のテーマは「つながることでひろがるUXリサーチの可能性」ということで、私はマーケティング担当とつながることでひろがる可能性をお伝えしたく、「利用前からはじまるUXリサーチ」というタイトルでお話しました。資料はこちらで公開しております。

質問をたくさんいただいてイベント中にすべては答えられなかったので、こちらのnoteで私がお答えできそうなものだけ取り上げて紹介していきます。

質問

いわゆる事業会社のUXデザイナーと呼ばれる職種の方は1日の中でどのような業務を行われるケースが多いのでしょうか?

プロジェクトベースで仕事をしているのでルーティーンワークがあまりなく1日で表すのは難しいですが、リサーチ設計〜実査〜分析という大きな流れの中で今どのフェーズにいるかでその時々のメイン業務は変わります。

自身がマーケティングリサーチャーという職業なのですが、UXリサーチャーとの違いはどこにあると思いますか?まずリサーチ(定性モデレート、統計、多変量などすべて)を完全に理解してないとUXリサーチもできないと思いますが、その点教えてください。

こちらはイベントでも回答しましたが、リサーチから生み出したいアウトカムが違うので、進め方や手法に差が出ているのであり共通しているところは多いのではないかと個人的には思っています。ただ、UXリサーチャーである自分の立場からの意見に過ぎないので、マーケティングリサーチャーの方からはどう見えているのかぜひ聞いてみたいですね。リサーチを完全に理解していないとできないということはないですが、専門性を広げて高めていくほうがよりできるリサーチの幅も広がると思い自分も定量調査を勉強中です。

ユーザーインタビューの対象は数十人程度になるかと思いますが、対象ユーザーの声がマイノリティである可能性もあります。 マイノリティの場合だと一般ユーザーに受け入れられないサイト設計になる可能性がありますが、どのようにしてマジョリティかマイノリティか判断しておりますでしょうか

事実だけを取り上げるのではなく、その背景にあるお客さまのコンテクストを理解して、他との共通点や差異を見出して判断していくことが大事だと思います。目的によっては、マイノリティと思われるエクストリームユーザーの方に着目したほうが発想が広がる場合もあります。

弊社の場合、役割を超える≒やることが増えるという印象があるらしくあまり実行に至りません。役割を超えるために周囲のメンバーをどう巻き込んだのか工夫された点があれば教えていただきたいです。

自分ができることを「UXリサーチ」という言葉ではなく相手の文脈にあわせて説明して、まずは小さく試してもらいリサーチの効果を体感してもらうようにしていました。

インハウスUXデザイナーです。UXリサーチに興味を持ってくださる社内の他業種の方を巻き込み一緒にリサーチを進めたい気持ちはあるのですが、リモートワークの中コミュニケーションに困っています。皆さんおすすめの方法等あれば伺いたいです!

「リサーチ」「ユーザーインタビュー」などのキーワードをslackですべて拾ってこちらから積極的にコミュニケーションを取るようにしています。

UXリサーチャーは、ウェブ改善に特化した職種ということを指しているか知りたいです。UXという定義であれば、飲料や食品、FMCGや耐久消費財といったプロダクトに対応できるべきだと思うが(店頭での体験や棚前での経験など)そういった企業には職種は存在していないのが実情かと思います。UXリサーチャーは対応できるのでしょうか?

おっしゃるようにどんなサービス、プロダクトでも適応できる考え方だと思います。自分自身はウェブ界隈でしか経験がないので想像でしかありませんが、リサーチのスキルだけではなくその領域の知識も必要となり、それはウェブであっても消費財などであっても同様なのではないでしょうか。

⑦オンラインでどのようにユーザビリティテストを実施していますか?

以前同僚がまとめてくれたのでご参考にどうぞ。

アンケート結果は単純に回答数の多いものを採用するのでしょうか?マイノリティな意見はどのように扱っていますか?

目的によりますが、アンケートだけで判断することはあまりなく、あくまで一つの参考データとして意思決定することのほうが多いかもしれません。

あらゆる定性調査に共通なのかもですが、UXリサーチもリサーチャー個人に知見やスキル、思考を頼りがち(集中しがち)な気がしています。本人への負荷の面でも、品質としても、組織としてもネガになりそう。これを分散させたり、組織力を活かして「より良く行っていく」工夫ってありますか?

現在リサーチの学習コンテンツを整備中です。これからは自身がプレイヤーとしてリサーチをするだけではなく、組織のリサーチ力を底上げしていくようにも動きたいと思っています。

UXリサーチャーは、基本調査会社出身でリサーチャーをになっていた者が、一定の基本を身につけてから派生するのが一般的かなと思ったのですが、その点いかがですか?

そんなこともないと思います。私の周りのUXリサーチャーの方は、プロダクトマネージャーやデザイナー出身が多いです。

一部の人しかリサーチを使わない状況があります。複数のプロデューサーにUXリサーチを使ってみようと思ってもらうための働きかけのヒントがあればいただきたいです。

自分たちができることを知ってもらうこと、関わり方のイメージを掴んでもらうことが大事かと思います。全社定例などで最近の事例を紹介するようにしています。

コロナでできなくなったリサーチややり方が変わったリサーチはありますか?

こちらご参考ください。

ユーザーの定性調査をしたいと思っても、上長からコストを掛けないように、なるべく社員で調査しろという指示もよく出るのですが、社員だとかなりバイアスがかかってしまうと認識しています。社員調査でクイックにやる場合、メリットデメリットをどう認識されていますか?

そのサービスを使いたいか?などを知りたい受容度の調査の場合はたしかにバイアスがかかってしまうと思いますが、ユーザビリティの検証であれば参考になります。なるべくプロダクト関連から遠い部署の方にお願いするなどの工夫をしながら実施しています。

リサーチする際は、どのくらいの人数で調査にあたるのですか?

インタビュー自体は1人で行うこともありますし、チームで分担して3-4人で行うこともあります。

UX Researchの成功と失敗はどのように判断していますか?

事業へのアウトカムで判断できると理想ですが、定量化しづらかったりタイムラグがあるので、中間指標として意思決定に活用されたかどうかが一つあると思います。

リサーチ結果をどれだけ活用できたかをフィードバックしてもらえるような環境をつくるためにはどのような働きかけをしたらいいと思いますか。

リサーチを依頼してくれた方に、利用後のアンケートをやっていたことがあります。

リサーチャーはそれぞれプロジェクトにわかれて業務に当たると思いますが、リサーチャー同士の情報交換などはどのように行っていますか。人数が少ないほど、それぞれのスキルやコネクションが属人化してしまうケースがよくあります。

定例でプロジェクトの情報共有をこまめにしているのと、QごとにResearchOpsのスキルワークショップを行っています。これはスキルの棚卸しによくておすすめです。


みなさまの登壇でよく「毎月/毎週定期リサーチを行っている」というお話が出ますが、実際にどのように実現できているのでしょうか。オペレーションにかかる時間やコストの面もですが、リサーチの案件をチームからどのような形で吸い上げて、スケジューリングしているのか気になります。

こちらご参考ください。リサーチ案件はslackで募集し、OKRを考慮して優先度をつけつつスケジューリングしています。

リサーチを外注することはありますか?外注したことがあればどのような場面で利用しているのか、外注したことがなければその理由をお聞きしたいです。

前職では例えばクラスター分析など専門性の必要な分析を行いたい時など外部の調査会社のお力を借りていました。現職ではあまりないです。

日本のリサーチサイクルは海外に比べて遅いと思います。原因として、UXリサーチを取り入れようにもウォーターフォールから抜けきれていないことや関わるメンバーにUXのインプットが足りない事が考えられますが、それ以外にリサーチサイクルを遅くしている原因は考えられますでしょうか?

リサーチサイクルを遅くするひとつの原因として、リクルーティングに時間がかかることが挙げられると思います。小さくリサーチしながらプロダウト開発を進めることを前提に考えれば定常的にリサーチを行う体制を作ろうとなると思うのですが、いきなりそこまで投資判断がもらえないというジレンマがあるのではないでしょうか。

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