Perfume年越しライブで考えさせられた「繋がる」ことの意味
2019年の始まり。その瞬間は、Perfumeのはじける笑顔と共に、華やかに幕を開けた。
生まれて初めて参加したカウントダウンライブ。大好きな3人と年越しを共に出来ることの幸せをかみしめながら、最高の年明けを迎えた。
今回のライブはNTTドコモが協賛。「その瞬間を共有せよ。」というキャッチフレーズのもと、会場外の人とも年越しの瞬間を一緒に楽しもうという実験的な試みの舞台ともなった。
最先端の通信技術を活用して、エンタメの新しい在り方を探る"FUTURE EXPERIMENT"プロジェクトの一環という位置付けだ。
私にとっては、技術の凄さ以上に、「人と繋がるということ」の意味について思わず考えたくなるライブだった。
離れた場所にいる人と繋がる
同じ場所にいない人とも「その瞬間」を、空間ごと一緒に感じることができたなら。 (FUTURE EXPERIMENT 公式サイト)
ライブの模様をネット配信で生中継する、ということは事前に告知されていた。
驚かされたのは、渋谷にサテライト会場を作って観客を入れ、パブリックビューイングの場を設けたことだ。これは一切告知なく行われた。
現地の横浜アリーナではペンライトが、渋谷会場ではリストバンドがそれぞれ事前に配られた。これが、Perfumeの手の動きに合わせて光るという仕組み。
映像・音声に加えて、光の演出も現地と同じように楽しめる。そのためには大容量データを送る必要があるけれど、5G通信を使うとこれが実現できるらしい。
これがネット配信を見ている人も楽しめるようになると、より「参加してる感」が出て良いなと思う。
ライブで初めて感じた違和感
もう一つ特別演出があったのだが、こちらに私は随分と違和感を覚えた。
ライブ恒例の「P.T.A.コーナー」である。
これは「パッと 楽しく 遊ぼう」の略で、通常はリズムに合わせて声を出したり体を動かしたりするコーナーである。
「男子〜!女子〜!そうでない人〜!」「メガネ〜!コンタクト〜!裸眼〜!」など色々なパターンでコールアンドレスポンスが行われる。
Perfumeと観客の距離が一気に縮まり、会場の一体感が最高潮に達する瞬間だ。
前半では少し恥ずかしそうにしていた人も、このコーナーが明けると一気にテンションが上がってノリノリになってしまうくらい。
ライブの空気感を司る要と言っても過言ではない。
だがこの特別バージョンとして披露されたのは「デジタルP.T.A.」。問い掛けに対する答えをスマホから送信するというものだ。
目の前に3人がいるのに、一斉にスマホの画面に目を落とす観客。回答はスクリーン上に円グラフで色分けされて表示される–。
うーん、違和感。
さらに実はこれ、ドコモの「高効率Wi-Fi」という技術が使われていた。会場の1万2千人が一気に接続しても大丈夫!というのがウリだったらしいが、実際は違った。事前テストでは繋がったのに、いざ本番では繋がらない人が続出。
こうなると盛り上がるどころではない。近くに助けてくれるスタッフもおらず、ステージ上では次の質問へとどんどん進行してしまう。
結局私は最後まで回答に参加できなかった。
同じ部屋で 触れていても距離は遠くに 感じてるの(Perfume「スパイス」)
まさにこんな心境だった。いつもの一体感を知っているからこそ、同じ空間にいるのに「置いてけぼりにされてる」ような気がして物凄く寂しかった。
大事なものは何なのか
私の知っているチームPerfumeが大切にしてきたのは「Perfumeとファンが一緒になって作り上げる」ライブであったはずだ。
そしてその象徴的存在がP.T.A.コーナーであったはずだ。
それが今回は、どこか「最新技術を実験する場」にされてしまったようでとても残念だった。なんかチームPerfumeらしくないなぁと思った。
ライブ自体はもちろん最高に楽しかったけれど、どこか心に引っかかるものが残った。
NTTドコモさんの全面協力があってのライブだったことは理解できるが、だからと言って技術が目的になっては本末転倒だと思う。だって、ライブがPerfumeと私達ファンが触れ合える貴重な場であることはいつもと同じはず。
でも本当はドコモさんだって分かるはずなのだ。
FUTURE EXPERIMENTの第一弾で、10,000キロ離れた三都市に散らばったメンバーのパフォーマンスを遅延なく融合したステージは本当に感動的だった。
離れていても一緒にいるかのように感じられる、そんな技術があるんだと圧倒された。それが「繋がる」ってことなんだ、と思った。
だからこそ言いたいのは「ドコモさんもっとやれたやろ!」ということなのだ。
一緒にいたいけどいられない、そういう時に「繋がる」ためのものが通信技術じゃないのか。それを前回は示してくれたじゃないか。
会場内の観客にわざわざスマホを介してコミュニケーションさせるのではなくて、家からネット配信を見ている人もP.T.A.コーナーに参加できるようにする。そんなツールとしてなら、もっといい使い方ができたんじゃないのかな。
今ここで一緒にいるなら、直接コミュニケーションすればいい話なのだから。
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