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現物を配る政策の目新しさ

マスク、つまり物を配る政策って過去にあった?そんな素朴な疑問からはじまるのですが。現金を配る政策はあっても物を配る政策は聞いたことがなくて、びっくりした。

そこで、海外の政策を調べてみたが、なかなかネットの情報では全世帯の国民に現金以外の物を一律支給する政策は見つからない。

ただ、近いものはあったので、紹介してみたい。

育児パッケージ フィンランド

出典:Finland Abroad

育児パッケージは出産に際し、KELA(フィンランド社会保険庁事務所)から支給される母親手当のひとつです。母親手当そのものには、1子170ユーロの現金支給または育児パッケージの二つの選択肢があります。ほとんどの家庭、特に第1子を迎える家庭では育児パッケージを選択します。育児パッケージには所得制限はありませんが、ネウボラもしくは医療機関での妊婦健診の受診が必要です。このようにパッケージを無料で提供する仕組みは、民間団体の発案ではじまり、1937年に法制化された母親手当の現物支給として位置付けられるようになり、1949年からは所得制限が撤廃されています。

育児パッケージは日本でいう育児手当に近いもので、先進的な取り組みとして注目されている。現金給付でないのがこの施策のポイント。1949年からは所得制限が撤廃されていることなどからより多くの人が恩恵を受けられるような仕組みになっている。

少し趣向を変えて
オリセット®ネット 80以上の国々に供給

国が買い取り、販売する仕組みをとっているわけではないが、多くの地域に無料で供給されたことで、結果として一般販売にもつながった事例だ。

出典:住友化学HP

ポリエチレンにピレスロイドという防虫剤を練りこみ、薬剤を徐々に表面に染み出させる技術「コントロール・リリース」。もともとは工場の虫除けの網戸として使われていた技術ですが、住友化学は、これをマラリアに苦しむ人々のために役立てられないかと考え、研究開発を積み重ねた結果、防虫剤処理蚊帳「オリセット®ネット」を開発しました。2001年には世界保健機関(WHO)から世界で初めて長期残効型蚊帳としての効果が認められ、使用が推奨されています。現在、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関を通じて、80以上の国々に供給されています。

この事例では企業のCSRの取り組みがマラリアに苦しむ多くの国々への供給に結び付いたということがわかる。事業に関わった人々の情熱がこの取り組みの成果につながっている。これからこの事業がどのような広がりを見せるのかということにも目が離せない。

地域レベルでの政策はある

今回のコロナ対策としてのマスクの全世帯配布は国際的に見ても稀有な事例だ。ただ、一律で現物を支給するということは地域レベルでは比較的珍しいことではないようだ。

参考

追記(2020年6月8日)

この記事を執筆後さらに調べた結果、シンガポールではマスクの全戸配布が行われていることが判明しました。詳しくは下記URLをご参照ください。

https://www.nna.jp/news/show/2002033?id=2002033

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