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提案にネーミングすると注目される

 キャッチコピーと似ているけれど、やはり違うのがネーミング。
 商品やサービスにおいて、その特長や用途、メリットを端的なフレーズに煮つめたものであり、キャッチコピーのように手軽に変更はできません。
 一般に、商品開発には時間やコストをかけるものの、ネーミングは発売の段階になってから間に合わせで考えることが多いものです。そのため、イマイチな商品ネーミングにはことかきません。

 販売促進のセミナー・講演で地方に行くと、地元で企画された六次産業の商品が売れないとご相談を受けることがよくあります。
 そのとき、商品が売れない理由の9割はネーミングとパッケージであるとお話ししています。
 日本の食品であれば、おいしいのは当たり前。平凡なネーミング、意味不明のネーミングをつけられ、売場で埋もれるような地味なパッケージで発売されたために売れないわけです。


ネーミングに凝るだけでずば抜けられる

 一般の市場でも、ネーミングを変えたところ注目されて売れた商品はたくさんあります。よく知られている例では、男性用靴下の「フレッシュライフ」という商品が「通勤快足」にネーミングを変えたところ、話題になり大ヒットしたというもの。
 あるいは、高級ティッシュペーパーが「モイスチュアティッシュ」では売れず、思い切って「鼻セレブ」とネーミングをしたら追随商品が出るほどヒットした、など。

 よくセミナーでもお話しするのですが、キャッチコピーが話題になってもメディアで紹介されることは少ないのですが、ネーミングが面白いとなるとメディアで紹介されます。中小企業の商品であっても、ネーミング大賞(日刊工業新聞社)を受賞して注目されたりします。

 一方で、社会的現象などが広く人口に膾炙(かいしゃ)するとき、キャッチーでぴったりなネーミングがなされていることが多いように思います。
 たとえば、「アベノミクス」「草食男子」「帰宅難民」「ゲリラ豪雨」「爆弾低気圧」などは、語感のユニークさであっという間に広がりました。
 また、最近はなんでも「○活」「○○ハラ(スメント)」をつける傾向も見受けられます。

〈例〉就活、婚活、終活、朝活、タピ活、セクハラ、パワハラ、マタハラ、スメハラ

 ビジネス書でも、仕事術のノウハウにネーミングをすることで肩肘張らずに取り組んでもらえるように工夫をしている例を見ます。「アイスピック仕事術」「仕事が早く終わる人はスタバ思考、終わらない人はマック思考」などです。

 いわば短いフレーズの典型的なものがネーミングであり、多くの人が力を入れていないからこそ、ここに時間と知恵を傾けることで効果が生まれるのです。
 それも、新商品・新サービスばかりではなく、企画のプロモーション案や提案書のタイトルにネーミングをすることで記憶されやすくなり、採用に近づきます。その場合は、「○○式」「○○の公式」「○○流」「○○力」などのようにキーワードっぽく加工するとよいのです。
 たとえば企画を提案するとき、「子持ち主婦層との接点を増やして売るという案です」ということであれば次のようにネーミングするのです。

〈例〉ママローラー作戦

 また、コンサルタントが提供するようなコンサルティング系のサービス商品はつかみどころがありません。初めて検討する会社にとっては、提供者が想像する以上に中身がわかりづらく、そのため依頼しづらいものであると考えるべきです。

 そのため、同様のソフトサービスを提供している業種の方なら、聞いてすぐにイメージできるようなネーミングを冠するのも1つのやり方です。

 私はWebサイトで支援メニューを列記していますが、中でも問い合わせが多いのは次の2つです。

〈例〉「展示会出展ご支援パック」
〈例〉「グッドデザイン賞受賞支援パック」

 特定の目的に絞り込んでいることと、提供するサービス内容がズバリ伝わるネーミングの効果が大きいのではないかと考えています。製造業が課題として入力、検索することのある「展示会」と「グッドデザイン賞」というキーワードがSEO的に有効であるともいえます。

〈フレーズテクニック〉核心を抜き出す

 たとえば、遠足に行った日のことを子どもが要約すると、「朝、バスに乗って海に着いて、潮干狩りをしてお弁当を食べて帰りました」のような気の抜けた話になってしまうことがあります。
 それよりも、遠足について何が一番心に残ったのかを優先してまとめれば次のようになり、イキイキとした感想が伝わります。

〈例〉大好きなA君と一緒に行けてすごくうれしかった。潮干狩りも面白かったからまた行きたい。

 何を一番に伝えたいのか、何を伝えたら聞き手の心に引っかかるのか。その核心(コア)こそが絞り込むべきポイントです。そこへ向けて考えをまとめる方法が「コアライズ」です。